抗酸化の要ビタミンEの教科書~腸活ラボマガジンVol.48~
はじめに
こんにちは、やまだです。今回は、ビタミンEについて解説したいと思います。ビタミンEは、抗酸化作用をもつビタミンACE(ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE)のひとつで、脂溶性ビタミンであることから脂質の抗酸化など非常に大切な役割を持っています。一方で、あまり理解されていないところも多いです。トコフェロールとトコトリエノールの違いなどはほとんどの人は知らないのではないでしょうか?そのあたりについても解説します。
ビタミンEの魅力とその効果について
ビタミンEは、1922年に緑黄色野菜から発見され、当初は人間の生殖において重要な栄養素と考えられていました。その後、脂質過酸化の防止やフリーラジカルの除去に効果があることが証明され、強力な抗酸化物質として認識されるようになりました【1】【2】【3】。
過酸化脂質やフリーラジカルは、老化にダイレクトに影響を与えるもので除去することは非常に大切です。
ビタミンEの種類と構造
ビタミンEは、脂溶性化合物のファミリーで、大きく分けてトコフェロールとトコトリエノールの2つのグループがあります。それぞれがさらにα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、**δ(デルタ)**の4つの異性体に分けられます。これらの異性体は、クロマノール環のメチル基の有無や位置によって決定されます。
トコフェロール:長い飽和側鎖を持つ
トコトリエノール:不飽和結合を含む側鎖を持つ
トコトリエノールのほうが脂質膜への親和性が高いことが知られています【4】。
天然と合成の違い
ビタミンEの合成品のうち、α―トコフェロールだけが、合成品として市場に出回っています。天然のものは、1種類の構造を持ちますが、合成品は、8種類の混合物で、7種類は活性がありません。
そのため、活性も合成品は半分程度です。ですから、選ぶ際は、天然のものを選びましょう。選ぶときのポイントは、以下の通りです。
天然品:D-α-トコフェロール
合成品:DL-α-トコフェロール
Lがあるかどうかですね。
食品中のビタミンE
ビタミンEは、さまざまな食品に広く含まれており、特に植物油、米ぬか、小麦胚芽、オリーブ、大麦、大豆、ナッツ、穀物などに豊富です。一方、トコトリエノールは米ぬか(50%)、パーム油(75%)、アナト(99.9%)などに多く含まれます【5】。
ビタミンEの抗酸化作用
ビタミンEは、**活性酸素種(ROS)**やフリーラジカルを除去する強力な抗酸化作用を持っています。クロマノール環のヒドロキシ基が水素原子を供与することで、これらを中和します【6】。さらに、抗炎症作用も持ち合わせており、COX-2酵素や炎症誘導性シグナル経路(NF-kβやSTAT-3など)を抑制することが示されています【7】。
吸収と生体利用率
ビタミンEの吸収
ビタミンE(トコフェロールおよびトコトリエノール)は、食事に含まれる脂溶性ビタミンで、特にナッツ、植物油、穀物の胚芽に多く含まれます。
食事で摂取されたビタミンEは、他の脂質(コレステロールやリン脂質、トリアシルグリセロール)や胆汁酸と一緒にミセルと呼ばれる小さな粒子を形成します。このミセルが腸内で吸収されやすい形です。
小腸の細胞に吸収されたビタミンEは、キロミクロン(脂質を運ぶための特殊な構造)としてリンパ管を通り、血液循環に運ばれます。
肝臓での代謝とα-トコフェロールの優先的輸送
キロミクロンに含まれるビタミンEは、まず肝臓に運ばれます。
肝臓では**α-トコフェロール転送タンパク質(α-TTP)**が特に高い親和性でα-トコフェロールを選び出し、他のトコフェロールやトコトリエノールは分解(代謝)されやすくなります。このため、α-トコフェロールが血中で優先的に分布します。
代謝される際には、まず**シトクロムP450(CYP)**酵素によるオメガ酸化が行われ、その後β酸化が進むことで短鎖の代謝物に変化します。これらの代謝物は主に尿や糞便として排出されます。
血液や体内分布への移行
肝臓から血液中に放出される際、α-トコフェロールは**VLDL(超低密度リポタンパク質)**に乗せられます。これにより、全身の様々な組織に運ばれます。
α-トコフェロールの特性として、心臓、肺、筋肉、皮膚など幅広い組織に分布しますが、特に脂肪組織に蓄積されやすい傾向があります。
トコトリエノールの動態と特徴
トコトリエノールはα-TTPとの親和性が低いため、α-トコフェロールほど血中に放出されません。このため、組織への分布は限定的で、特定の組織(脳や脂肪組織)に直接蓄積されることが多いと考えられています。
脳でのトコトリエノールの蓄積は、抗酸化ストレス作用により神経保護効果が示されています。
臨床試験と健康効果
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