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わたしが舞台にハマったとき

今年、2020年にコロナで中止になったエリザベート(東宝)が再演する。

2020年には、トートWキャストのいっくんと古川くんどちらのファンクラブにも入っていて、約2ヶ月の公演のチケットを、4,5日程分確保するくらいに力を入れていた。

だけどこの2年の間に、というよりコロナの間に、わたしはすっかり舞台を観に行かなくなった。ファンクラブも、退会してしまった。

だからこのエリザベートの再演も、
知ってはいたけど、あんまりしっかり情報を目に入れないようにしていた。

していた、はずなんだけど、
横目でちらっと見てはさっと目をそらす、みたいな見方をしながら、やっぱりどこかで気になっていた。

東宝のホームページで抽選をやるという情報まで見た上に、その抽選日をしっかりと2ヶ月前ぐらいから覚えていた。その日がきたことにも、ばっちり気づいてしまった。すごすぎる、自分の記憶力……


申し込んだ。





外れた。

まさかである。
1つくらい当たるだろうと思っていた。



ぴあの抽選にも申しこんだ。






外れた。







やっぱり、ファンクラブの力はすごかったのか…
それとも待ちに待った再演であまりにも多くの人が応募しているのか…


1度ならず2度も申し込んでしまって、わたしの中では再びエリザベート熱に火がついてしまった。


公演には行けそうにはないけれど、火がついてしまったもんだから、ここに思いを吐き出すことにした。



わたしが初めてエリザベートを観たのは、2012年のとき、まだ大学生のときだった。その頃はまだそこまでミュージカルや舞台にハマってはいなくて、サークルの先輩に誘われたから行くことにしたという感じだった。

実際、話の内容もあまりわからず、とにかく周りに座っている人の熱がすごいことにびびりあがってしまって、舞台を見ていたのか、双眼鏡を絶妙なタイミングで構え出すお姉様方を見に行っていたのか、わからないぐらいだった。


だけどこの、大学時代にわけもわからず見ていたいくつかの舞台のおかげで、社会人になってからのわたしの大きな趣味が花開いた。

きっかけはなんだったのか、未だによくわからない。

友達が舞台関係の仕事をしていたり、俳優さんの仕事をしていたりしていたこともあって、社会人になってからもちょこちょこ友達の舞台を観に行く機会があった。

そうしているうちに、当たり前だけど世の中にはいろんな舞台(会場)があることを知って、三軒茶屋のシアタートラムとか、池袋の芸術劇場とか、また行きたいなと思う舞台でやっている公演を片っ端から見始めるようになった。

だんだん、気になる劇団ができて、
好きな劇場も増えて行った。
1つ公演を見ると、この役者さんが出ている他の舞台も観に行こう、とどんどんつながっていく。

時代や同じテーマでつながっていくこともある。

多いときで週に1つか2つくらいのペースで見に行っていた。当時は、パルコ劇場などでU25の制度があって、3000円くらいで観に行くことができた。しかも1番前の席で。


いくつも観ていると、だんだんと自分はこういう内容やテーマが好きなんだなという発見もあったりする。

舞台を観ている時は、意外と頭の中が忙しい。
現実の世界を忘れさせてくれるというより、わたしはいつも仕事のことや自分のことを考えていた。
どれだけ自分とリンクするか、どれだけ自分の心を奮い立たせてくれるか。

わたしは、広い意味でなにかを創る仕事をしているから、舞台のあらゆる刺激の中で、自分の想像力を掻き立てて、仕事に向かう力にしていた。

そういうところに、観る喜びを感じていたような気がする。

なにより舞台はその瞬間だけのものだからよい。
自分の仕事もそうだけど、わたしは演劇に限らず音楽も、生の舞台が大好きなのは、その時だけのものなのが大きい。


そうこうして舞台にハマりこんでいくうちに、大学生の時に見たエリザベートを再演することを知った。2015年になっていた。

その頃にはもう気になった舞台は観に行く癖がついていたので、すぐにチケットをとった。メンバーが変わって、城田くん演じるトートを観に行った。

席に座った瞬間、見え方が全然違った。前よりずいぶん前の方で、舞台がよく見えたというのもあるんだけど。赤を基調にした帝国劇場の座席はふかふかで、舞台のセットはこまかく作り込まれ、生のオーケストラの練習する音が聴こえる。それだけでもう特別な場所に来たと思った。

まだ舞台が始まっていないのに、わたしはすっかり帝国劇場の空間に夢中になっていた。


舞台の幕が開いて、少ししてトートが登場した。
城田くん演じるトートに、どハマりした瞬間だった(早い)。

しっかりとした体つきとは裏腹に少し寂しげな目とか、綺麗な顔立ちに少し子どもっぽさが見える感じとか、ちょっと高い、甘くひっかかる声とか、すべてが、わたしの中で、トートとはこうあってほしいという願望にぴったりとハマった。(といいつつも、2012年に観た時にはあんまり話の内容も理解していなかったんだけど)

もちろん、エリザベートも。
2015年に観た時はもう花總さんがエリザベートを演じていた。
花總さんの力強く気持ちよく抜ける歌声は、芯の通ったエリザベートそのもののように思えて、いつまでも聴いていたくなった。時代が違っても、自分の足で生きていきたいと思った女性がいたことに、なんとも心強く思う体験は初めてだった。


エリザベートは、劇中で歌われる歌もとにかくよい。
舞台を観に行ったあと、頭から離れなくなるし、必ず歌いたくなる。なんなら帝国劇場を出たあとすぐにでも口ずさみたくなるし、気づくと声に出てるから危ない。だいたい一緒に舞台を観た人と駅まで一緒になるから、あの人そんなに楽しかったのねと思われる。(あれ、それは別に良いかも)


2015年に観た時、幕間に慌てて次の日のチケットを探すくらいにハマって、それから、2016年、2019年と、取れるだけのチケットを取って観てきた。


エリザベートに限らず、もうどれだけの公演を観てきたかわからない。その中でも、印象に残っている舞台、俳優さんはそんなに多くはないけど確かにいる。

最近、キンキーブーツのチケットも全然とれなかったんだけど、

かつて、春馬くんのキンキーブーツを観た時は、
勝手ながら、
ああきっと春馬くんは、年齢を重ねてもこのキンキーブーツが代表作と言われ続けるんだろうな
と思った。

春馬くん演じるローラの登場シーンは、本当に鳥肌が立った。舞台を見ていると、時たま、登場するだけで鳥肌が立つ役者さんがいる。当たり前だけどそんなに多くない。

立ち振る舞い、声の出し方、溢れ出る存在感。
こんな役者さんになったのかと、親戚のおばさんみたいな気持ちでいっぱいになった。

春馬くんがこんなにすごい役に出会えて、
わたしはその瞬間に立ち会えて、どれだけ幸せだろうと思った。



舞台には、もう二度と再演されないものもあるし、
その俳優さんの演技をもう一度見られるとは限らない。

映像に残らなければ本当に観ることは叶わないし、
映像に残っていたとしても、やっぱり違う感じがしてしまう。自分の目で観て、その瞬間に感じた感覚は、映像では味わうことはできない。と思っている。

だから観る方もめちゃくちゃ本気だし(考え事はするけど)、良かったと思ったものはずっと残り続ける。


大好きな舞台の話をする時は、いつもより声も大きくなる。何年経っても、何度でも興奮できるものが自分の中にあるのは、なんとも心強くて嬉しい。


今は、コロナ禍をきっかけにして観に行かなくなってしまったけど(チケットもとれないし)、いつかまた、行く時が来たら、それもまた楽しみ。



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