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メンテナンス

先日、売場を巡回していたら恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』の文庫版上下巻が1面に重ねてまとめられていた。
わかりにくいよ、確かに。ぱっと見別の商品には見えないよね。でもそれを発見して、こういうメンテナンスさせてるのはこちらの責任だよなぁ、と気落ちした。

メンテナンスのレベルを決めるのは売場の責任者の意識の問題と、なぜやらなければいけないかをスタッフにきちんと説明できているかどうか、あとは意識せずとも細かくメンテする仕組み化かと思う。

メンテナンスは売上に繋がる実感がなかなか持てない。だから細かいところまで気を回さないのかもしれない。そこそこ綺麗に陳列されてるから気付きにくいかもしれないけど、メンテナンスされてない売場では商品が汚れて見えてしまうと思うのだ。お客さんは一度でも気になってしまったら、「ここの店では立ち読みして他の店で綺麗な本買おう」って心理が働く気がする。

きちんとメンテナンスされた売り場は乱れにくい。お客さんが立ち読んだ本を元にちゃんと戻してくれることが多いから。戻してくれないことも多いけど、割合は減る。結果的にメンテナンスにかける時間が少なくなるはず。

メンテナンスと一言で言っても場所によって行うことは違うし、時間的制限があるからどこまでも細かくできないことも多い。例えばレジカウンターから事務所までの往復でずれて置かれた雑誌を整えるなど、ちょっとできることを全員がやるのと、1時間割り当てて棚を順番に整頓していくのではやることが変わる。昔とある店舗でメンテレベルを3段階に分けて、「じゃあ、今手が空いているからこの棚メンテBやってきて」など指示を出していたこともあった。

『メンテナンス』は言葉に幅がありすぎるので具体的なアクションを分解して、且つ時間制限をかけることが一番効果が上がると思っている。あとまず大事なのは、一緒にやって見せること。メンテナンスを重要視していないスタッフに対してはゴールを見せておかないといくらでも手を抜ける。やっていることに変わりはないけど、完成された売り場は違ってしまうから。

メンテナンスをする意味を理解して実行する人は、お客さんとしての視点を持っている。売場にいるとつい自分たちの都合で売場を見てしまいがちだけど、お客さんとしてみると売場が違って見えるから不思議だ。なんでここ本が空いているんだろうとかちょっとしたことに気付く。売場に立つメンバーがこの『お客さんの視点』をしっかり持てればそもそも仕組み化なんて不要なのだけど。




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