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“つよい人”の弱音と本音

優勝から一夜明け、2日続けて現地観戦の今日だった。
かつて年間100試合を観戦していたにも関わらず、出産を機に少しブランクが空いただけで2日連続の現地観戦で体力を持って行かれている私がいるから、まったく時間とは残酷なものだ。

昨晩は深夜3時近くまで優勝特番を満喫して、寝不足の身体に鞭打って出かける準備をしていた私。カメラのバッテリーの充電とSDカードの残量確認、娘の育児用品の用意一式で体力はいっぱいいっぱい。とりあえず現地へ、とタクシーに飛び乗った。


予想はしていたがドームの観客は昨日と比べて目に見えて少ない。入場制限をしているとはいえ座席後方は空席が目立つ。チケットを購入していれば話は別だが、福岡では珍しくない現地引き換えの招待券や当日券のチケットで今日わざわざ行く人は少ないような気がしていた。

そんな私も昨日の金吹雪が舞う写真を見返したいと着席するなりタブレットを開く。球場のごはんを食べながらカメラのセッティングもほどほどに完全に気を抜いていた私だが、プレイボールのたった1球で空気は激変した。

正真正銘の1球目から豪快に響く打球音、ロッテ藤原選手のいきなりのヒット。ソフトバンクからすればいわゆる消化試合だが、ロッテからすればクライマックスシリーズ進出がかかった本気の一戦。あのヒットで夢見心地から引き戻されたのは私だけではなかったように思う。


今日の千賀投手のピッチングは鬼気迫るものだった。トータル12奪三振。投げた球数は128。8回も登板すると思わず、球場では8回オモテ開始時に拍手が巻き起こった。

そんな “エース千賀” のヒーローインタビュー。

「昨日から言って回っていたので、明日も試合あるよって。」
「千賀が投げるから頑張るよって言ってくれた人もいて。」

ぽろりこぼれた本音。

そうだ、野球は個人戦ではなくチーム戦なのだ。……と当たり前のことに今さら気が付く私。「今日は勝っても負けても」と浮足立って球場に向かっているのは私だけではなかったかもしれない。人間どんなに気合いを入れようとしても昨日のセレモニーから一夜明け、寝不足と夢見心地でふわふわしてまうものだろう。

優勝の翌日に投げたい投手なんて早々いないだろう。エースといえど人間だった。そんなことが少しばかり新鮮な私がいた。


一方で千賀投手は「今日を全力で投げるだけ」「完投は意識していない」とあっけらかんと答える。私の好きな言葉に「勝って奢るな 負けて腐るな」という言葉があるのだが、「負けて腐るな」はともかく「勝って奢るな」に関してはすぐに舞い上がりがちな私にとってはなかなか難しい。調子に乗りまくった日はいつも、夜布団に入ってひとり反省して落ち込む始末だ。今日なんか私だったら完投したいと鼻息を荒くしてしまいそうなところが、私がいつまでも小物である所以だろう。


テレビ中継だと「時間の都合で」と断ち切られがちなヒーローインタビュー。いつも思うが、現地で聞くノーカットのヒーローのコメントにこそ、人間クサいプロ野球の面白さが詰まっていると確信する私である。

最後に。本日ホームランを放った打のヒーロー・栗原選手はいつまでもそのままでいてください。(笑うところ)


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明日もソフトバンクの快勝を祈りたい。
今日も最後までお付き合いいただいたあなたに感謝を。おやすみなさい。


2020/10/28 こさい たろ

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