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【ペーパーレス動向】令和2年度税制大綱

こんにちは。ペーパーレスコンサルタントの松崎です。毎日1原稿書くのは大変ですね。ネタはあるのですが、静かにデスクに向かって執筆する時間が取れるのが早朝か深夜だけです。昼間は、在宅学習している長男(9才)と次男(3歳)の世話(勉強の面倒)と家事などで忙殺されます。
(※ 在学学習などの話は、別のテーマで共有しています。こちらもボチボチ共有するので、よろしくお願いします。)

で、今回は去年の年末に発表され、今春法案が通る予定の「令和2年度税制大綱」の中から、ペーパーレスに関係する部分について解説します。

今回の改正は、実はここ数年ペーパーレスコンサルをしていて実はすごく気になっていた「痒いところ」に手が届いた画期的な法律改正でした。

大綱の内容

まずは、当該部分は以下の通りです。

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(出典:令和2年度 税制改正大綱

これだけをみると、正直何も知らない人が見るとよくわからなかったのですが、財務省のページに今回の税制改正に関するパンフレットが上がっていました。

スクリーンショット 2020-04-23 23.47.35

(出典:財務省ホームページ より)

これって結構今回は画期的な変更だったりするのですが、何も知らない人からは伝わりにくいと思うので、この「財務省の資料」をベースに進めていきます。

電子データのやり取りの仕方=法令で規定されていました。

  これまでも、皆さん、普通にメールなどで領収書や請求書のPDFファイルをやりとりをしていたかと思います。これって、実は電子帳簿保存法のいうところの「電子取引」(第10条に記載)というものにあたります。メールなどで取引情報をやりとりをする場合は、この「電子帳簿保存法10条を守ってね!」という決まりがあります。なので、「メールでPDFファイルの領収書や請求書を送り、そのままそれをファイルで保管しておく」というのは、実は法令違反なのです。(とはいえ、罰則規定などはないです。) 

で、電子帳簿保存法において書類をやりとりをする場合は、こういうルールがありました。

相手から受領する領収書や請求書などの電子データは、
1) 遅滞無く(「受け取ったらすぐに」という意味です)タイムスタンプを付与して、保管する。 または
2) 受領した電子データを改ざんさせないための事務処理規程を作成し、その規程をもとに保存を行う

  そのため、法律に基づく処理をする場合は、「受領した電子データにタイムスタンプを打つ」もしくは「受領した書類を改ざんしないよう適切に保管管理するルールを作って運用する」かのいずれかが義務付けられていたのです。

今回の変更ポイント


それが、今回の改正で実情に合った形に変更されました。

今回これまでのやり方に加えて、以下の2つの方法が許可されました。

1) 電子データ発行者がそのデータにタイムスタンプを打ち、送ってきた場合は、その受領者は、そのままデータのまま保管・管理することが可能。(タイムスタンプの打刻は不要) 
✳︎ ただし、発行者がタイムスタンプを打たずに、データを送ってきた場合は、受領者側でタイムスタンプを押す必要がある

2) もしくは、受領者側で自由にデータを改変できないようなシステム(改変や削除の記録が残る仕組み、または改変や削除ができない仕組み)を利用し、電子データの授受や保管を行う。(クラウドでも可)

  特に今回大きいなと思っているのは、1)です。これまでのルールだと、電子データ(PDF)で請求書が来る際に、受領する側でタイムスタンプを打刻しなければならなかったのですが、多くの電子データは、編集防止のパスワードロックがかかっていることが多く、タイムスタンプが打てないという問題が結構ありました。(改変できないように編集不可にしておくのは普通のことだと思うので、当時は「実情に合わない法令だな」と思っていました。
  それが、受領した領収書や請求書にタイムスタンプを打たれていれば、そのまま自社のファイルサーバーやストレージに格納し、保管することが法的に可能になります。

  また、2)の変更も大きいです。クラウドの会計システムや経費精算システムやオンラインストレージなどのシステム上で取引情報のやり取りをする場合、改ざんや削除が自由にできないような仕様になっていれば、そこでやり取りや保管・管理をすることもOKだというのは、クラウドサービスを利用してやりとりができることを法的に保証するものであり、これも画期的です。

おわりに

 以上、改正のポイントについてまとめてみました。最近、クラウド上でタイムスタンプを打刻し、電子データをやりとりできる仕組みは、色々出てきています。この法改正は、こういったソリューションの利用を促す上でもよい改正だな と感じています。





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