時間を止める三ステップ⑥

《それは数息観と組み合わせることもできる・後編》

ここで、「全心没入法」もしくは「全心観察法」と数息観を組み合わせて実践する場合の、具体的なやり方を述べておきます。

既に分かっておられるものとは思いますが、「全心没入法」と数息観を組み合わせて実践する場合は、息を数えながら、百パーセントの心で息を数える行為に没入いたします。そして、「全心観察法」と数息観を組み合わせて実践する場合は、息を数えながら、百パーセントの心で息を数える行為を観察いたします。

いずれの場合も、心を百パーセント働かせなければならないという、ハードと言えばハードな条件が実践者に課せられておりますので、普通に数息観を実践する場合よりも長くは続けられないと思います。しかし、それはそれで良いのです。

さて前にも申しましたように、「全心没入法」と「全心観察法」は基本的に、日常生活の中で自分が今行っている運動とか作業とか仕事などを通して実践するものです。

ピンと来ない方のために具体例を挙げておきますと、それらの中には例えば、歩くこと、料理すること、土をいじること、床にモップをかけること、楽器を演奏すること、皿を洗うこと、大工仕事をすること、といったものも含まれております。

が、人には、今申し上げたようなことをしていない時間帯というものも当然あります。そして人が過ごすそうした時間帯というのは、合計すると決して短くはありません。

前述のような形での数息観のやり方を知っておくことのメリットの一つは、そうした時間帯の中にあっても、「全心没入法」や「全心観察法」を実践するためにわざわざ「やること」を探す必要が無いことです。前述のような形での数息観のやり方を知っていると我々は、いつでも、どこでも、「やること」が無くても、また広い場所がなくても、「全心没入法」や「全心観察法」を実践することができます。

今回の話は以上です。

中島タローでした。


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