時間を止める三ステップ③

《第一、第二ステップ・中篇》


第一、第二ステップで皆さんに取り組んでいただくことになる心をフルに(100パーセント)働かせるための二つの方法について、今回はお話しします。

今申し上げた二つの方法のうち一つは-「全心没入法」と言い、もう一つは「全心観察法」と言います。「全心没入法」とは、「今の自分の行為に百パーセントの心で没入すること」です。そして「全心観察法」とは、「今の自分の行為を百パーセントの心で観察すること」です。

ここに言う100パーセントの心とは、自分から見ての100パーセントの心、あるいは自分の主観に映じる100パーセントの心という意味です。

従ってそれは、客観的に厳密に調べたら100パーセント未満の心である可能性もあります。というより実際にはそういうことの方が多いでしょう。しかしそれで良いわけです。100パーセントという言葉に囚われ過ぎないようにしてください、ということです。

「全心没入法」も「全心観察法」も、どちらも心を100パーセント働かせる方法という意味ではお仲間ですが、それぞれの具体的な中身は百八十度違うと言えます。

何故なら、私たちが「全心没入法」を実践している時、心は今の自分の行為の中に入っているのに対して、私たちが「全心観察法」を実践している時、心は今の自分の行為の外に出ているからです。つまり、今の自分の行為の中に心が入っているか、今の自分の行為の外に心が出ているかの違いが、そこにはあるということですね。

このことは、没入という言葉と観察という言葉の、それぞれの意味合いを考えてみればお分かりいただけると思います。

ご存じのように私たちは、今の自分の行為がどんなものであれ、ソレの中に心が入ってなければソレに没入することはできませんし、また、ソレの外に心が出ていなければソレを観察することはできません。つまり私たちにとって、没入とは今の自分の行為の中に心を入れるということでもあり、また、観察とは今の自分の行為の外に心を出すということでもあるわけです。

「全心没入法」と「全心観察法」の間に前述のような違いが見られるのは、そのために他なりません。

今回の話は以上です。

中島タローでした。

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