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ポスターをデザインした『旅と恋愛』展に行ってきた

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福岡の美術館「九州芸文館」を中心に行われているアートイベントちくごアートファーム計画2020 旅と恋愛の広報物のデザインを担当しました。メインビジュアルのイラストは漫画家のしりあがり寿さん。

展覧会について

 アートプロジェクト『ちくごアートファーム計画』、2020年は、筑後地域の複数地で「旅と恋愛」をテーマにした美術展を開催します。
 テーマである「恋愛」は、歴史を振り返ると芸術の題材としても多く取り上げられ、私たちにとっては身近で関心の高い事柄ですが、その様相は時代によって変容し続けていくものでもあります。
 また、「旅」についても然り、近代以降は様々な乗り物の登場によって、人々の移動距離は国内から海外へ、そして地球から宇宙へと、その距離は計りしれません。
 新型コロナウイルス(COVID-19)によって、人々の身体活動やコミュニケーションが刻々と変化する昨今、さらに変容しつづける恋愛や旅について、5人の作家の作品を通して思いを巡らせてみてください。

ちくごアートファーム計画2020 旅と恋愛
会期:2020年12月12日(土)~2021年1月24日(日)
会場:恋木神社、MEIJIKAN、JR羽犬塚駅、旧八女郡役所、九州芸文館
時間:10:00~17:00(ただしJR羽犬塚駅・恋木神社は終日観覧可能)
観覧無料
参加作家:天野百恵、牛島光太郎、しりあがり寿、鈴木淳、土屋貴哉

というコンセプトの展示です。これまでは九州芸文館を会場にしていたのを、コロナ下の状況を踏まえ、屋外を含む複数の会場を巡る構成にしたことから「旅」と「恋愛」というテーマが生まれました。

いつもならこのデザインについてブログを書くところですが、今回は会期の初日に各会場に行くことができたので、写真で紹介していこうと思います。(ちなみに、写真はSONY α7iii+SEL35f28zで撮影しました)

1. 天野百恵×MEIJIKAN

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まずはJR羽犬塚駅前にある、ホテル・ブックカフェ・ギャラリーの複合施設「MEIJIKAN」へ。1924年から百年以上続くビジネスホテルが2017年にアートホテルMEIJIKANとしてリニューアルオープン。客室は九州ゆかりのアーティストが内装を手がけています。

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入り口では看板がお出迎え。ポスターと比率が違うので、これもデザインしています。

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2FのMEIJIKAN GALLERY CHIGGOで天野百恵さんの展示と対面。空間全部を使い、「人が出会い、距離感によって生まれる関係性の感覚を立体やドローイングによるインスタレーションで表現」しているそう。パステル調の色合いのオブジェクトがふわふわと揺れる様子が印象的でした。

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近づいてみると、衣装などでよく使われるチュールの生地に、植物の種のようなものを混ぜ込んで作られているようです。以前に香川の猪熊弦一郎美術館で見た、大好きなエルネスト・ネトの作品を思い出して嬉しくなります。

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壁にはペインティングの作品も。筑後の土地にまつわる作品のようでした。グループ展だから、それぞれの会場にひとつの作品が展示されているようなイメージだったので、実質的には個展のようなボリュームに、いきなりお腹いっぱいになりました(満足した!という意味です)。

2. 牛島光太郎×JR羽犬塚駅

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次の会場は、すぐ隣のJR羽犬塚駅。「羽犬塚」という駅名はこの土地に古くから伝わる「羽犬」伝説に由来していて、駅前には「羽犬の像」があります(写真撮り忘れた)。

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牛島光太郎さんの作品とわたし。牛島さんが現地行ったリサーチを元に撮影された写真と文章で「日常の延長線上で起こる出来事や記憶の断片をつなぎ合わせながら、人々の中にあるフィクションとリアリティーのあわいを表現」しているそうです。

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多くの人が通勤や通学で訪れる駅に、その土地で生まれた作品が展示されることで、地域の人が自分たちのひとりひとりの人生のワンシーンを「作品」と捉えることができるんじゃないでしょうか。僕が住んでいる六本松も作品にしてほしいです。

3. しりあがり寿×旧八女郡役所

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羽犬塚駅から車で移動して、旧八女郡役所へ。市役所や区役所はたまに行くけど、「郡役所」は初めてでした。酒屋さん、絵本カフェが入った空間の一部を使い、漫画家のしりあがり寿さんの展示が行われています。

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「恋愛や旅によって生まれる浮遊感や滑稽さをアニメーション映像と空間構成によって表現」したインスタレーション。高い天井から吊り下げられたダブルベッドは、この展示のために制作されたそうです。

しかし、前日に設営したときには浮いていたヘリウム風船が、初日の今日にはほとんど落ちてしまうというトラブルが発生…!

定期的にガスは補充されているようなので、しりあがりさんのtwitterをチェックしつつ行くのがいいかもしれません。

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各会場には僕がデザインした公式MAPも配布されています。蛍光グリーンのハートマークが目印。これについてはまた後日、記事を書きますね。

ランチ:そば「史蔵」

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お腹が空いたので近くにある蕎麦屋さん「史蔵」さんへ。ミシュランガイド福岡にも掲載されている人気店で、写真の「きこり膳」が人気。確か1000円ぐらいだったと思うのですが、もりそばに天ぷら、豆腐ハンバーグ、そばの実ご飯の、大満足のセットです。

隣にある切り絵のアトリエ「くろくも舎」にも行ってみたかったけど、時間がなくて断念。いつか行きます!

4. 鈴木淳×水田天満宮・恋木神社

日本で唯一、恋命(コイノミコト)を御祭神とする縁むすびの神社、恋木神社では鈴木淳さんの展示が行われています。「恋木神社の景観に溶け込みながらも、視点を変えることによって空間に違和感を与えるインスタレーション作品」が数多く設置されていて見応えがあります。その中の一部を紹介。

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境内の至るところに見つかるハートマークは「コイバナ」という作品。

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ひとつひとつに「こいは〇〇」という言葉が書かれていて、探すのが楽しい作品です。

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数えてないけど境内に100枚ぐらいあるんじゃないかな…色は一枚ずつ絵の具で塗ってラミネート加工してるそうで、作業量もすごいです。

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本殿の奥にはLEDのハートが光っていました。ハートマークは実は「猪目」という、イノシシの目を由来とする日本古来の文様なんだそう。だから、これは暗闇で光る目でもある、という作品です。

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これは鈴木さんが作った、鈴のなる木「鈴木」。ストレートなダジャレですが、その潔さが素敵です。鈴木さんの物の見方やネーミングにはプリミティブだけどはっとさせられる視点があり、個人的に注目している作家さんです。

5. 土屋貴哉×九州芸文館

最後に訪れたのは九州芸文館。芸術文化・体験・交流の情報発信拠点として、2013年に隈研吾が設計した建物です。その一部を使い、土屋貴哉さんの展示が行われています。「旅と恋愛を人類の大きな歴史として捉え、様々な手法を使った作品を巡ることによって問いかける」展示です。

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いちばん印象に残ったのは、裏に仕込んだ磁石と時計のムーブメントで、2つのネジが少しずつ動き続ける作品。近づいたり離れたりしつつ同じ動きをするネジで、恋愛関係にある二人の距離感を表現していて唸りました。

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消しゴムの屑で一本の線を作った作品。「歴史の表舞台に出てこられなかった、消えてしまった人々」を表現しているそうです。

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スイスで撮影した、雄牛が次々に雌牛を襲っていく映像作品。幻想的な霧と、原始的な生き物の営みの落差に考えさせられます。

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これも消しゴムの作品と繋がっている作品(全て繋がってたけど)。名前のない人々の羅列。この日、唯一ご本人が会場にいらっしゃったので、それぞれの作品や展示のコンセプトについて、たくさんお話をすることができました。

vlog動画も作りました

この日の様子はvlogにまとめたのでぜひこちらもチェックしてみてください。無料で見つけたBGMがおしゃれです。

まとめ

最初は各会場に1つの作品が置かれているような展示をイメージしていたけど、現地に行ってみると会場が離れているせいもあって、それぞれの作家さんの個展を巡っているようなボリューム感があり、満足度が高かったです

現代美術の展示だけど、コンセプトが「旅と恋愛」と明確なおかげで、だれでも楽しめる展示になっていたのも、自治体(福岡県)が行う展示として望ましい形だなと思いました。

会期は1月24日(日)まで。八女は「うなぎの寝床」をはじめ、面白いお店もたくさんありますし、行ってみると充実したお出かけになると思います。(車または電車+レンタサイクルがおすすめです)

公式サイトではアーティストのインタビュー動画なども見られますので、ぜひチェックしてみてください。

↓今回撮影に使ったレンズはこちら。JPEGで撮ってiPhoneのVSCOで色調整しました。





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