コロナで学校が休みだからこそ生まれるもの。

NPO法人翔和学園。自閉症スペクトラムの子どもたちが通ってくる学校である。

コロナウィルスで小中高等部は、
臨時休校。
3月15日まで子どもたちはお休み。
予定していた卒業式も延期になった。

前に似たようなことがあったのを思い出す。
東日本大震災の時だ。
教室で授業をしているとき、グラグラグラっとロッカーが揺れだした。窓の外の電柱もすごい揺れ。
急遽、職員室に対策委員会を設置された。
ほとんどの子どもが電車通学だったので、そのまま帰すわけにはいかない。
保護者に連絡を取り、学校に迎えに来てもらうまで、子どもたちは学校でお預かりすることにした。

保護者に連絡をする部隊。
食べ物を確保する部隊。
毛布を確保する部隊。
それぞれの先生に学園長が役割を振っていく。僕の役割は、TUTAYAに行くことだった。

子どもたちがパニックにならないように、
映画を借りてきて、落ち着かせるという役割だった。TUTAYAに走っていったら、お店の中も大惨事。
棚が倒れ、DVDやビデオが散乱していたのだ。「すみません。今日はお貸しできません」と言われたので、食ってかかった。
「お願いします!子どもたちが学校で待っているんです。パニックにならないためにも、DVDが必要で。命にかかわるんです。(どんな手を使っても持って帰らないと、学園長はゆるさないので、僕の命がないんです!)」

※うちの学園長、尊敬できるけど。エネルギーすごいのだ…。

「そこまで言うなら…。落ちているものから拾っていってください…」お店の人もそう言ってくださった。
落ちていたバックトゥザフューチャー2を借りて帰ると、学園長に怒られた。
「なんで2なんだ!バックトゥザフューチャーは、1か3だろ!!」
自分の詰めの甘さを悔やんだ…。

幸いにも、子どもたちを落ち着いて過ごさせることができた。「お泊り会みたい!」とウキウキしている子もいた。
子どもたち全員が帰った後、今後どうするかを決めた。

結果、長期休みを取ることにした。
卒業式も延期になった。
でも、子どもたちの安心を優先することにした。

学園長から手紙を届けることにした。
「悔しいし、残念だよな。でも、必ず素敵な卒業式をやろう。待っててね」という内容で熱いメッセージが書かれていた。そこにCDをつけることにした。
タイトルは学校の名前をつけ『翔和魂』
翔和学園の卒業生たちが作詞した曲を2曲レコーディングして、CDでご家庭に送ることにしたのだ。

CDづくりの仕事に任命されたのは僕だ。
たまたまギターが引けたから任命されたのだ。
(無茶苦茶である…。)
初めて使う専門のソフトを動かし(プロが使うやつだった…)、分厚い説明書片手に、パソコンと向き合い続けた。
全く訳が分からなかったけど、人間やればなんとかなるものである。3日徹夜して、説明書を3周くらい読んだら、録音できるようになった。
結果、ギターだけでなく、ドラムやベース、シンセサイザーなどの楽器も入れ込んで曲が作れた。
ドラムもベースも、シンセサイザーもやったことなかったから奇跡だと思う…。

あれから何年か経って、翔和学園の同窓会で当時の学生たちと会うことがある。みんな社会に出て立派に働いている。
「大変だったけど、先生たちの手紙とCD。今でもよく覚えています」多くの学生にそう言ってもらえた。

ピンチなように思える時ってある。
でも、そこには感動の芽や、チャンスの種が埋まっているのかもしれない。
エネルギーをためて行ったあの年の文化祭。
多くの保護者が感動的だったといってくださった。

コロナウィルスで小中高等部が休校になった。卒業式も延期。だから、考える。
「ここに埋まっているチャンスの種は何だ?」と。

だから、
「オンライン学園翔和」を設立した!!
子どもたちが家庭で、質の高い特別支援のサービスを受けられる仕組みを作ってしまおう。目指せ!家庭学習のTRYに負けないサービスである。

※翔和学園在籍の子を対象にしたサービスです。