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てまひまたのしむ

あっ…
そうか、チョコレートにもカフェインって入ってるんだよな。
まあ、メーカーによってばらつきはあるけれども、ミルクチョコレート100gに対して、だいたい30mgかそこらなので、よっぽど気にしている人でない限りは微量と切り捨ててもいいくらいだ。
健康な成人であれば1日のカフェイン摂取量を400mgに抑えれば、まあ問題なかろうとされていると聞く。
それよりミルクチョコレート100gといえば、明治とか森永の板チョコレート2枚分なので
糖質やら脂質の方を気にしたほうが身のためだ。(昔は1枚70gの時代もあったものだが…)
とはいえ、だ
これはあくまでもミルクチョコレートの話で、カカオポリフェノールが注目されるようになってから多く見られるようになったハイカカオチョコレートとなると、ええと、これまたばらつきはあるものの、だいたい100gに対してカフェイン含有量が80mgを超えてくる。

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/01/dl/s0114-10j.pdf
独立行政法人 国民生活センター
高カカオをうたったチョコレート(結果報告)

それくらいになってくると、気にする人は気にすると思う。…やっぱり糖質や脂質の方が気になるけれども。
参考までに、なぜか手元にある7訂食品成分表2020よると、標準的な淹れ方をした
お茶1杯   20mg
紅茶1杯   30mg
コーヒー1杯 60mg
調整ココア  微量

とのこと

何で今こんなことを気にしているかというと、2月といえば日本における奇祭バレンタインデーがあるからに他ならない。
…?
そのはずだ。

別に、チョコが欲しいとは言っていない。
いや、貰えるんだったら嬉しいが、
ボクはむしろ、手作りチョコレート菓子を引っ提げて奇祭に参戦する側だ。
「踊る阿呆に見る阿呆」というやつだ。
で、あるならば、作る側としては

チョコレートにはカフェインが入っていて
世の中にはカフェインを摂取したくない、しないほうが良い人がいる

ことを考慮に入れておいたほうがよさそうだ。と思い至った。

ボクが製菓用に使うチョコレートはだいたいビターとかハイカカオのやつが多いし、チョコレートにプラスしてココアパウダーを入れるものがだいたいなので、カフェイン量、計算したことないけど、1切れで紅茶1杯分超えるくらいにはなっちゃうんじゃないだろうか?

なので、今年はカフェインレスなチョコレートスイーツも用意して選択の幅を広くすべく、
つまり、ホワイトチョコレートのケーキを作ろうと思う。

何で、そこでホワイトチョコレートが出てくるのか?を、ちょっと説明しよう。

チョコレートの典型的な製法をざっくりいうと
カカオ豆をロースト、粉砕してカカオニブにする。
カカオニブをすり潰してカカオマスにする。
カカオマスにミルクや砂糖、カカオバターなどを配合して機械にかけて滑らかにして、練り上げて一定の温度で安定させて…
とまあ、色々やってチョコレートは出来上がる。

この中に出てくるカカオマスからカカオプレスという機械で油脂分を圧搾して得られる圧搾粕はココアケーキと呼ばれる。このココアケーキを粉砕機で粉にしたものがココアパウダーで、分離させた油脂分がココアバター。
カカオのカフェインやポリフェノールはだいたいココアパウダーの方に残っていて、カカオバターにはほとんど入っていない。
ホワイトチョコレートはカカオバターをゴリゴリに入れることで、チョコレートを名乗るための「カカオ成分21%以上」を満たしているもののことなので、チョコレート色をしていないし、カフェインもほとんど入っていないけれども、れっきとしたチョコレートなのだ。

問題は、ホワイトチョコレートを使った焼き菓子のレシピがあまり出回ってないことだ。
まあ、確かに。ありがたみ薄いよね。って思わなくもない。普通にバターケーキ作って、ホワイトチョコレートでコーティングって流れの方が自然と言われれば、まあ、そうかとも思う。
けど、そこはまあ、年に1度の奇祭にかこつけて、猫でテーブルを拭くようなことをしてみてもいいんじゃないだろうか。
ということで、普通のガトーショコラのレシピを参考に、ホワイトチョコレートをたっぷりと焼き込んだケーキを試作してみることにした。

お菓子作りというのは基本的にまず、すべての材料をきちんと計量することから始める。ゆえに、いきなりそこで壁にぶち当たった。

ココアパウダー使えないじゃん。

バターケーキ類はだいたい粉類、バター、砂糖が同じ重さ入る。ガトーショコラも分類としてはバターケーキの類なので、粉類は結構なウエイトを占める。そして、これまただいたいこの手のケーキは、
小麦粉:ココアパウダー=1:2〜3
となることが多い。それだけ入るものをゴッソリ入れないという訳にはいかない。

困った。

どうしよう?

まあ、今回は試作だし、とりあえずコーンスターチでも混ぜておこう。それで、出来上がって、もう少ししつこくしても良さそうならアーモンドパウダーにしてみるのも良いだろう。
粉類全体の分量さえ合わせておけば、まあ、形にはなるものだ。

とりあえず、マフィンカップに入れて焼き上げたのだけれども、思ったより膨れてしまった影響で型からはみ出たり、縁に乗っかっちゃったりして形がガタガタになってしまったので、一旦全部マフィンカップを外した。

今回は金柑の甘露煮と合わせようと思ったので、金柑シロップと柚子ピールシロップ、それとオレンジキュラソーを混ぜ、ハケで塗りつけて、柑橘風味をたっぷり染み込ませた。

溶かしたホワイトチョコレートと温めたクリームを混ぜ合わせたものでコーティング…
と思ったのだけれども、クリーム多すぎて常温にしても固まらず、粘度の高い液状を保っていた。

仕方がないので、暖房を入れていない部屋に移り、氷点下の中作業。薄くチョコレートをかけてから半分に割った金柑を乗せる。

その上からチョコレートをたっぷりとかけて、今回の試作品は出来上がり。
ケーキ生地に入れるホワイトチョコレートを溶かした時に、マスカルポーネチーズを合わせたのと、隠し味的に柚子ピールシロップも入れたためか、ホワイトチョコレートの風味がありつつも、想像以上に爽やかなものが出来上がった。
うん、もっとしつこいくらいに甘くなるもんだと思ってた…


今期のアニメ主題歌の中でお気に入りの曲に
『贅沢な匙』というものがある。
その中でも特にお気に入りの1節があって、

満開の笑みが見られたのなら
創造の手間もどうだっていい
贅沢な匙
Van de shop

というのだ。
そもそも、趣味で作っているので、「手間」の方を楽しんでいるようなものなのだけれども、
それでも、「満開の笑み」と引き換えることができるのであれば、そんなのどうだってよくなるよなぁ。



さて、
ここで1番の深刻な問題に気がついた。
ボクが今日、パソコンを立ち上げたのは、チョコレートのカフェイン含有量を調べるためではなかったはずなのだ…

そろそろ確定申告進めないとなって…
思ったから…だったはずなのだ…

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