見出し画像

ナントカの申し子

せっかくだから、また久しぶりに子どもたちと会った時のことを書こうと思う。

その前に、ちょっと時間を巻き戻す。

面会日は日曜日、その2日前の金曜日
天気予報とにらめっこして、岩手に帰ってくるまで暑くなりすぎないことを確認した。
そうであるならば、ハウス内の苗は獣害対策としても機能しているプラスチックカバーをかけっぱなしでも暑さで焼かれることはない。
植えられるものは植えてしまい、芽出し用のトレーから鉢上げできるものはしてしまい、苗管理は良しとする。
サツマイモ苗を植えたところは、まだ、蔓の露出が少ないことから獣害はそこまで心配しなくても良いとは思ったが、雨の日は動物の動きに遠慮がなくなることから、獣害用ネットを張っておくことにした。
月曜日は帰ってすぐパートタイムに向かわないと間に合わない予定になっているので、土日月の3日間開けても大丈夫な準備をするのに夕方までかかってしまった。

これからパート先で棚卸しがあるのに…

夜通しの仕事を前に仮眠をとる余裕を持てなかった?
いや、違うな。
ボクは子どもたちに会うために、隙間のない完璧で究極の嵐のようなスケジュールを組んだのだ!


朝6時、仕事から上がって車に乗り込む。
ケンケンチュンチュンなんか鳥が鳴いている。
徹夜でゲームをした訳でもないのに、朝日が目に染みる生活というのはなんと不健康なのだろう…
車を走らせ、紫波中央駅へと向かう。なんだかんだでここの駐車場に停めるのが1番駐車料金がかからない。
駐車場にて、盛岡からの新幹線の時刻に間に合うように仮眠をとる。
さすがに眠い。
アラームにはSSSS.GRIDMANの主題歌『UNION』を設定したから安心だ。
オーイシマサヨシが「目を覚ませ!」って起床時間を教えてくれる。


新幹線内では、予定通り基本的にずっと寝ていた。
お昼の時だけ、弁当を食べた。
隣の老夫婦は2人して黙って駅弁を食べていた。仲が冷え切っているのだろうか?黙食の習慣が身についているのだろうか?そんなことよりも、ボクは眠たかった。


東京駅に着き、実家までの電車に乗り込む。
ここで、後になってこうしておけば…という失敗がある。
ここで髪を切っておけばよかった。
帰りの新幹線に乗る前の空き時間でQBハウスに入った時に激しくそう思った。
この時点では未来の話をしてしまった。
正直にいうと、この3日間の時間の感覚は曖昧で、金曜日なのか土曜日なのか、はたまたすでに日曜日なのかけっこう曖昧に記憶している。


実家に着くと、母は外出中で、父は自宅のワークスペースで居眠りをしていた。次に兄の居城、電子の要塞へと向かう。扉をノックし、入室許可を取る。扉を開けて中を覗くと、以前より一層不健康をお腹に蓄えた要塞の主がのっそり起き上がった。電子装備もそれとなく拡充されている気がする。お互いに軽く近況を話すと、精密機械だらけの部屋からリビングへと移動する。電子の要塞はもはや、人が2人居るには手狭になっていた。いや、単純にうちの長兄が横に伸びたのが原因かもしれない。高2の冬に早逝した弟よ、まさか長兄がお前の胴回りを遥かに超える成長を果たすとは想像もしなかっただろう。
どうしてボクは太ってないのか不思議になってきた…これからなのかな?

実家にいるとだいたい、兄からオタクネット界隈のトレンドを教わる。ボクもそれなりに浅瀬でパシャっとくらいには嗜んでいるつもりではあるが、電子の要塞の主とは観測の範囲において雲泥の差がある。今回熱烈に紹介されたのは、『推しの子』のオープニングと『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』のオープニングを繋ぎ合わせたMAD動画だった。「推しの子 ゲッターロボ」で検索してもらえば今でも引っかかると思う。
『推しの子』主題歌『アイドル』のサビの途中でいきなり『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』の主題歌『storm』へと切り替わる。

「〜君は完璧で究極のアイドル」
「戦うために飛び出せゲッター!明日の希望〜」

この「アイドル」と「ゲッター」が入れ替わる形でそのあとはずっとゲッターロボになっている。
完璧で究極のゲッター…なんて物騒極まりないものだ伝説巨神もびっくりである。
そういえば、久しぶりに水木一郎の「ゲッタァァァァァァァァ!」を聞いたな。
ボクの推しアーティストと言えるのは確かに水木一郎だ。その辺はちょっとだけ『推しの子』みがなくもなくもなくもないかもしれない。
この、「完璧で究極のゲッター」の関連動画を実家のリビングにて何種類も見せられ、ボクは不意に大量のゲッター線と水木一郎を浴びることとなった。


そして、ようやく日曜日。大量のゲッター線を浴びた影響か?まだ身体が重たいのだが、不安と緊張とめいっぱいの楽しみを胸に、待ち合わせの駅へと向かった。

前回との重複になるが、みーちゃん(姉)のお年頃のかわいさには驚いたし、ととちゃん(弟)の変わらなさにも驚いた。そして、ショッピングモールでお買い物するとなった時に、みーちゃんの要望で真っ先に本屋へ向かって買うことになったのがなんと『推しの子』のコミックス…
もうダメだった。
前日に大量のゲッター線を浴びてしまったボクは

「ゲッター!」

と、うっかり叫びそうになった。
もう喉の奥から真ゲッターロボが翼を生やして飛び出す勢いだった。
しかしながら、さすがは話題作1軒目の店舗では売り切れもあって既刊全巻揃わなかった。
それならそれで、またの機会だね。で済ませることもできたのだが、歯欠けというのはどうも具合がよろしくない。後でモール内にもう1軒ある書店に行くことにした。みーちゃんが大量買している最中、ととちゃんは自分の買ってもらいたいマンガ本を1冊…いや、2冊…と、厳選して最強で至高のものを選び抜いていた。それはもうすごい集中力で。

どうやらみーちゃんは流行に敏く、ととちゃんは我が道を征くタイプらしい。今のところは。ととちゃんは小学校に上がった頃からずっと『にゃんこ大戦争』にハマっている。
学校では【にゃんこ三銃士】なるグループの一翼を担っているらしい。

【にゃんこ三銃士】

…さすがは小学四年生設定を盛ってくる。
将来性の塊だ。

この後、3人で色々とお買い物をすることになるのだが、ととちゃんはお会計金額を見るたびにボクの懐具合を心配してくれ、最終的には「大丈夫?明日からしばらくモヤシしか口にできないんじゃない?」
なんて、心配してくれた。

キミは、いいヤツだな。
こんなとこまで、変わってないっていうのもすごいな。

ひとまず、
食べる物なら作ってるから心配するなって、答えておいた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?