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【レビュー】『HSK6級 読む聴く覚える2500』ってどんなテキスト?効果的な勉強法も紹介

こんにちは、中国語コーチングthe courageでコーチをしている伊地知(@taroijichi)です。

今までカリキュラム作成のために100冊以上の文法書に目を通してきましたが、そうした経験も元に、みなさんが「買ってみたいけど、どんなテキストなんだろう」と気になるテキストについて、私も気になるので、レビューをしていきたいと思います。

今回レビューするのはこちら!


どんなテキスト(教科書)なの?

HSK6級単語を単語帳の丸暗記ではなく、しっかりと定着させるのにとても有効、そして「聴く」ということにも力を入れた非常に良いテキストです。

タイトルに2500とある通り、HSK6級合格に必要な2500の単語を覚えることが目的のテキストで、全部で72の音源付き文章が掲載されています。

ここから具体的な特徴を見ていきましょう。

特徴①HSK6級の単語が盛り込まれている

HSKには要綱があり、その中で各級で使用される単語も定められてい流のですが、この本は要綱で定められたHSK6級の単語2500個を盛り込んだ文章を掲載し、文の中で単語を覚えることを目的としているという、画期的なテキストです。

今まで「文章の中で単語を覚えられたら良いのになあ」とか、「覚えた単語が文章で出てきたらテンション上がるし覚えやすいのに」と感じていた方にとってはヨダレが垂れるほど欲しい本だと思います。

ちなみに音源は東方書店のWebサイトで、ダウンロードキーを入力することでダウンロードできます。サンプル音声も聞けるので、難易度の確認をしてみてください。

特徴②文章の中で単語を覚えられる

「文章で単語を覚えよう」というコンセプトですが、ただただ文章を読んで単語を覚えようという単純なものではなく、単語を覚えるという目的に適した3部構成になっています。

①単語:35個程度のHSK単語

単語

まず、文章中で使われる単語が日本語の意味とセットで羅列されています。単語帳のような感じで、一度単体で覚えるところから始めます。

②センテンス:本文から抜粋したHSK単語が含まれている文

センテンス

単語単体の次は、そのまま本文ではなく、本文の中でもHSK6級単語が含まれている箇所を抜き出したセンテンスが掲載されています。


このセンテンスは単語部分が空欄になっているので、発音しながら空欄に単語を埋めるように読むことで、センテンスの中での使われ方もイメージできるので記憶として定着しやすい作りになっています。

③本文:HSK6級レベルの700〜800字程度の文章

本文

最後に700〜800字程度の本文が掲載されています。本文の中で単語は空欄になっていませんが、赤字になっています。付属の赤いシートを使うことで単語を隠すことができるようになっています。

特徴③聞いてもわかる状態に仕上げられる

センテンス部分では、あえて単語部分は空欄にすることで、自分で音読することが推奨されています。そして、本文部分では赤いシートで単語を隠した状態でリスニングを行い、その答えあわせ後に何も見ないで聞くようにと推奨されています。つまり、リスニングでもちゃんとわかる状態に仕上げることを想定した作りになっているというのも大きなポイントです。

ただ、音源のスピードは実際のHSKよりもゆっくりなので、最終的な目標としては、1.3〜1.5倍速でもしっかり聞いてわかるという状態を作ると良いです。

意外な効果:タイトル付けのヒントになる!

本文として掲載されている72編の文は、全てタイトルがついています。HSK6級では約1000字の文章を400字に要約しなさいという問題があり、タイトルは自分でつける必要があります。72もの文章とそのタイトルを読むことで、タイトル付けのヒントにもなるという副次的効果もあるので、いつもタイトル付けが苦手と感じている方はその視点も忘れずに読むようにしてみましょう!

HSK6級の要約文対策についてはこちらの記事をご覧ください。

もっとこうだったら良いのに

強いていうと、本文は700〜800字ではなく、HSK6級の要約文と同じ1,000字だったらより良かったと感じます。1000字であれば、6級対策の人は実際に要約文を作ってみることもできるので、一石二鳥です。

こんな人におすすめ

このテキストはこんな人におすすめです。

・HSK6級合格を目指している
・すでにHSK5級合格相当の実力がある
・単語帳で単語を覚えるのに限界を感じている

特に検定には興味はないよという方であれば、わざわざこのテキストの文章を読むのではなく、何か興味のある分野のテキストの方が楽しみながら学べるかと思います。(もちろんYouTube動画などでもOK)

もしHSK4級合格したばかりという方の場合、今回の覚えたい単語以外にもわからない単語が多く、全てを徹底して反復練習することが難しくなってしまいそうなので、これからHSK6級に向けて勉強をしたい方、つまり、HSK5級合格済、中検であれば2級合格済の方におすすめです。

効果的な勉強法

もしthe courageでこのテキストをカリキュラムに入れるとしたら、HSK6級を目指すコースで、HSK6級単語を単語帳で一通り覚えた後に、その定着用として使用します。

①まず単語帳を使用して単語単体で音読して暗記する

できれば、アプリを使用することで隙間時間を使い倒すのがおすすめです。使うべきアプリについてはこちらの記事をご覧ください。

1週間で500単語の暗記を目指し、5週間で2500単語を一旦インプットします。覚えるときには必ず声に出して覚えるようにしましょう。

単語の覚え方についてはこちらの記事を参照してください。


②『HSK6級 読む聴く覚える2500』を使いシャドーイングを行う

シャドーイングというと、とにかく音源の後からついて言えるようにするという根性論のようなやり方にハマってしまう方が多くいますが、そうならないように、音を捉えるシャドーイングと、意味を捉えるシャドーイングを分けて以下の❶〜❺のステップで行うようにしてください。

❶精読(リーディング)を行い、不明な単語や文構造がないことを確認
自分のペースで音読を行う

❷テキストを見ながら音源に合わせて音読をする(オーバーラッピング)

❸テキストを見ずに音源を聞いて、少し後追いで真似して発話する(シャドーイング①)

❹テキストを見ずに音源を聞いて、少し後追いで、自分のセリフのように感情を込めて発話する(シャドーイング②)

❺シャドーイングのスピードを徐々に上げて、1.3倍速でも問題なく感情を込めてシャドーイングができる状態に仕上げる

※特に上記❹と❺では、スピードに追いつけないと思ったら必ず減速再生をしてから、徐々にスピードを上げるようにしてください。

再生スピードを変えるアプリについてはこちらの記事をご覧ください。

これだけ丁寧に完成度を上げるとなると、1日に2~3時間を全てこのテキストに充てられるのであれば1日1文クリアができるかと思います。頑張ってください!


もし短期で確実に中国語力を伸ばしたい場合には中国語コーチングがとても有効なので、こちらもチェックしてみてください。

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