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福祉業のタマゴに伝えたい話

 福祉行政に携わっていると、研修生にお話しをすることもあり、そう必ずお話させていただく私なりの気づきがあります。こんな話です。

 皆さんは「介護福祉学科」の生徒さんと聞いております。福祉の業務に携わることを目指して「社会福祉主事」という資格を取得するための研修ということですね。

 始めに申し上げたいのが「福祉」というのは、とても幅広い概念ということです。極端に言えば「困っている方の役に立つ」ということになるかもしれません。それを細分化して専門的に実践していくために「高齢者福祉」「児童福祉」「障害福祉」など対象者を類型化したり、地域性に着目した「地域福祉」という言葉や「地域包括ケア」という言葉もあります。

 また、私どもが実践するのは「福祉行政」という言い方もできます、さらに私はその中の小さな領域である「生活保護業務」を専門としています。
 「福祉」というのは非常に幅広い概念ですが、現場で実践する際には非常に小さい領域になります。そこで自分の領域での高い専門性が求められる一方、他の制度や機関などと連携する力も必要になると考えています。

 皆さんが「介護」という領域で活躍するためには、他者との連携も必要になるということを御理解の上で、私のお話を聞いていただけたら嬉しいです。

 また、ここ大事なところになりますが、福祉という現場で大切にしていただきたいのは、相手はサービスを受けるお客様ではないということです。
 福祉というのは「幅広い概念」「困っている人の役に立つ」と冒頭申し上げましたが、福祉に携わる者として、一番大切だと感じていることは

「尊厳を守る。基本的人権を守る」

ということになると考えています。福祉サービスをお客様に提供することが目的ではないのです。

  ここ大事なので、メモをお願いします。
「福祉とは尊厳を守る、基本的人権を守ること」
になると考えています。
   制度やサービスの受益者ではなく
「一人の人間として、よりよく生きる権利があります」
 そのために何ができるか、何をしなければならないかを模索していくのが福祉を担う職員の役割だと考えています。

 例えば、高齢者の方が「最近、手足の麻痺が増えて家事が不安定になってきた」という状況の時、介護のケアマネジャーさんの中には「ヘルパーを入れると良い」と短絡的に考えてしまう方もいらっしゃる印象です。
 しかし、この方は自分でお料理を作るのが大好きで、楽しみにしている。時間がかかっても自分でお料理をしたいと希望していることもあります。このような場合にヘルパーを入れるのが良いのかどうか、相手に寄り添い考える。
 その方がその方らしく、よりよく生きる道を考えていく。限られた時間、人員の中で難しい現状でもありますが、一番大切なのは「尊厳を守る」ということを、心の片隅に置いていただきたいと思います。

 そのためには、その方の価値観を知る必要があり傾聴という技術や信頼という関係性も重要になります。ただし傾聴や信頼は目的ではなく、尊厳を守るための手段でしかありません。そして日本国憲法にはこうあります。
「全ての権利は公共の福祉のために行使する責任を負ふ」
   尊厳や人権を守りながら「公共の福祉」を担い、街を創り上げていく。それが福祉の仕事ではないかと考え、迷い、戸惑いながらお仕事をしています。

 今はタマゴの皆さんにはピンとこないかもしれませんが、私なりの経験に基づく気づきをご紹介しました。
 皆さんが自分なりの志、価値観を抱き福祉の分野でご活躍されることを期待しています。

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