オカルトへの期待

正直言えばオカルトが好きだ。いや、好きと言うのはちょっと違うかもしれない。なにせ全く信じていないのだから。しかし、信じていないにも関わらず、オカルトには惹かれるものがある。いや、すごく期待している。

残留思念が残っていたとか、異世界に飛ばされて帰ってきたとか、臨死体験して戻ってきたとか。もしそれが本当だったらどれだけ面白いだろうと思うのだ。恐怖体験は正直遭遇するのは御免だが、そういった話ですら本当だったらいいのにと思うのだ。そんなことで、その手のサイトを見ているとついつい時間を忘れて読んでしまうのである。

しかし、やはりオカルトというのはなかなか説得力が伴わない。そもそも説得材料がないのでオカルトなのではないかという話もあるわけなのだが、そうは思っても疑り深いため、何か確証を求めてしまうのである。いや、正直に言えば疑り深い自分を引っ繰り返す、驚くべき事態が欲しいのである。

オカルトを信じるにあたり一体何が必要なのか、なかなか悩ましいところだが、やはり本来起こらないであろうことが起こった痕跡が見たい。それも、特定の霊感のある人しか見れないというのではなくて、誰でも見れて博物館に展示されるレベルが望ましい。

エクトプラズムが見えてしまう呪われた本であるとか、誰の前でも動いちゃう日本人形とか、誰でも来て見て触れる幽霊屋敷のポルターガイスト現象なんかがあるとこれはもう説得力以前に事実として認めざるを得ないだろう。いや、疑えば疑えるが信頼に足る科学者が複数検証して何が起こっているのか解らないと言われたら悶絶ものだ。

異世界から、こちらでは作られていない様な文明機器なんかを持ってきてもらえると検証には期待大である。贅沢は言わないので現地の新聞やせめて携帯で撮った写真くらいは欲しいところである。撮った写真がブレブレで何が写っているのか判らなかったり、消えたり黒くなったりというのは一体どんな現象なんだろうか。シミュレーションマスターの介入だろうか。

小中学生位の時は超能力にも大いに期待していたが、デューク大学のESP研究所も閉鎖され、最早望みは無い気がしている。ESPが無いという事は私が何かに覚醒することは無いということである。かめはめ波までは望まないが、せめて空を浮くぐらいの夢は見たいものだ。

ESPであれば能力なので、再現性は高いはずだが、誰か私に脳の隠された潜在能力を証明してくれないだろうか。科学がどんどんと事実を明らかにしていった前世紀によって抹殺されたオカルトの中で一番残念な出来事である。

予言なんかは案外未来を見通す能力と言う点で実現性が一番あるのではないかと思っているが、今のところ本物っぽい予言には出会えていない。まぁいくつか言っとけば一つくらい当たるかな?というところである。

物事の多くが説明可能なこの世界で、たった一つの検証可能なブラックスワンが出てくれば良いだけの話なのだが、在るはずでも無いというのがオカルトである。もはやいい年になり、オカルトは全く信じることのできない物語になってしまったが、たまに読みながら、否定しがたい証拠を突き付けられるのを期待しているのである。

オカルトには期待しているのである。