生命の誕生が全然特別ではないと本で読んで衝撃を受けた話

 ビッグバンが発生して宇宙が誕生したという話は未だに驚きを感じるが、我々が次に驚くべきことというのは生命の誕生ではないだろうか。巷では生命の誕生はあり得ないほどの奇跡と言われている。むしろビッグバンより確率低いんじゃないかぐらいの勢いである。よく言われる例えは自然の中で勝手にトゥールビヨンの腕時計が出来てしまうくらいの軌跡である。しかし「生命、エネルギー、進化」という本には実はそうでもなかった可能性が示唆されている。多分著者は確信を持っているし、読んでいた自分も従来言われている説よりかなり説得力のある話と感じた。

この本によると生命の誕生は奇跡と言えば奇跡だが、ある環境が整っていれば、生命の誕生はむしろ必然である可能性が高いというのである。私は専門家ではないので正確で詳細な説明は出来ない上に未だに不思議に感じるのだが、是非誰かに知ってもらいたい話なので拙い文章でまとめた(興味があればこの本を読むのが一番お勧めだ)。

 約40億年前、マグマに覆われた原始地球は蒸気と雨の発生により徐々に地表が冷め、生命の元となる有機化合物が壊されることのない環境が整ってきた。ここで環境が重要なのだが、どうやらある程度温度の高い海底の多孔性の岩の中でイオン交換の出来る環境があると(実際に地球にある)細胞壁が無くても孔が細胞壁のような役割を果たして熱のエネルギー勾配を利用してイオンを取り出し、タンパク質が連結しやすい環境となるというのである。

ここで細胞壁の重要性を説明しておくと、細胞壁は細胞内部と細胞外部を切り分け、エネルギーが漏れ出さないように内側に留めてエネルギー勾配を維持しておくことを実現する重要なパーツである。全生物の細胞は外界と分ける壁を持っているが、これが無ければ直ちに細胞は四散して物質になってしまう。

そのため、細胞が細胞として誕生するためには細胞壁をもった細胞が突然誕生しなければならないと考えられていた。しかし一体どうすれば最初から細胞壁をもった細胞が生まれてくるようなことがあり得るだろうか、それが生命の誕生が奇跡と言われていた一つの原因である。

自分が小学生の頃は海にタンパク質の海(原始スープ)に雷だかが落ちて、そのエネルギーによって生命が誕生したと言われていた。今考えるとそんなにエネルギーかけてタンパク質壊れるんじゃないかな、と思わなくもないが、実際に試験管に高圧電流を流して生命の元ができないか実験していた人もいたと記憶している。

近年の説では高いエネルギーと循環によってタンパク質が合成され生命が誕生したとする説が有名であった。しかしこの場合もタンパク質の化学合成的な点では実現可能な環境ではあるが、循環しているチムニーの流体の中でそれなりに複雑な細胞へ進化するタイミングがあるのかというところが疑問として残る。

しかしチムニー程の高温でない環境であっても、ある多孔性の岩石の孔の中では隣の孔との壁をイオンが通り抜け、あたかも細胞壁のようにエネルギー勾配を保つ壁の役割を果たした、ということらしい。イメージとしては地面に一杯のアリの巣のような穴があいており、その中のいくつかの袋小路には薄い壁を隔てた隣の穴があり、そこに溜ったタンパク質が徐々にエネルギー勾配を維持しながらタンパク質鎖を作り、DNAやRNAのような遺伝子的物質が出来たということである。ここで補足を入れるとDNAのように折りたたまれたタンパク質というのは分散している状態よりエントロピー的にも高く、安定しているらしい。

遺伝子的物質が出来たなら、タンパク質をコピーして増殖するのは遺伝子の理である。これは生物学的反応ではなく、化学的反応であるので環境と素材があれば自然発生する現象である。もちろん遺伝子的物質は色々な長さや組み合わせで存在するわけで、それらがどんどん増殖しながらタンパク質の密度を高めて行くのである。

そこまで来ると進化は目前であろう。周囲のタンパク質を利用しながら、増殖、結合し、交換し、協力しながら試行錯誤?を繰り返すことで複雑な働きをするタンパク質の共同体ができたのだろう。そして遂には細胞壁となるモノを手に入れて孔からはい出したのである。これはもはや細胞であり、ここから先の話はまた長いので省略するがそれらが進化をしていって我々が生まれたということなのだと思う。

高いエネルギー環境が無くてもエネルギー勾配を維持できる環境があれば生命が普遍的に発生しうるというのは衝撃である。生命が普遍的であるなら、我々も当然普遍的存在である。ひょっとしたら宇宙には地球の何万倍もの人間様のものがいるのかもしれないのである。普遍的存在になったことを喜ぶというのも変な話だが、我々がこの宇宙で孤独な存在ではないことに少し安堵の気持ちを持ったのであった。

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色々と考えて出た今時点での結論を記録しておくために記す。 意見が斜め上から目線なのはご勘弁頂きたい。