タラ

タラ、24歳

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タラ、24歳

最近の記事

冬のこと

規則的な電子音が鳴る いつでも心地良いのは柔軟剤 泳ぎきって壁にへばりついた洗濯物 冷たく濡れて生気を失った衣類をからだに抱きしめ、まだ大丈夫と冬のベランダに出た。鼻から空気が流れ込み、この時季特有の、匂いの中にいる孤独が精神を突き刺す。 季節が移るにはあと何回、凍える手を数えるのか。大丈夫、君はまだ生きている。また乾いたら、

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    • YUKI COSMIC BOX

      最近でた檸檬堂のレモンサワー 9%の鬼レモンでも雑なアルコール感がなくて飲みやすい。500m缶1本でけっこういける。 深夜 溜まった洗濯物を干しながら 今年は凍えるほど寒い夜が少ない。 何事も途中にいる時は気づきにくい? タオルタオルインナー下着 干し終わりベランダでタバコを吸う。駅近くのタワーマンションの灯りを眺めながら心をすり減らす。 YUKIちゃんの音楽をきき宇宙へride on こんにちはCOSMIC BOX シラフで聴いても情景が映し出されるのに 鬼レモンが入

      • 流れる時代のなかで

        年が明けた。 1つの区切りとして、自分と向き合い整理するきっかけになるから季節感のある行事は好きだ。 今年はどうだった、来年はああしたいなど考えながら、夜景のみえる山の頂上でひとりごちる。 他の団体が遠くから俺をみて、あれ銅像? と言っているのも丸聞こえなほど、深夜の山は想像を絶する静けさだ。 近くの銭湯にゆき、1年間の出来事を振り返る。 自分の中で今年は1つの分岐点で、これから生きてゆく為の土台を基礎から変えてしまおうと試みた年だった。 仕事を辞め引っ越し、転職するな

        • コインランドリーの冬

          コインランドリーが好きだ。 不摂生な俺は、この日も夕方のやわらかな光に後ろめたさを感じながら、コインランドリーへ向かった。 コインを入れて動き出す巨大な乾燥機の中で、踊り狂う衣を眺めていると妙に落ち着く。 いつもは主人の身を包むだけの、おとなしい衣服の破天荒な振る舞いに、自由とはなにかを考える。 ほとんどの人が洗濯物を入れてすぐに立ち去るなか、無職の俺は回るという仕事に従事する機械に囲まれて、本を読む。鼻を掠める柔軟剤の香りが心地いい。 コインランドリーには様々な人た

        冬のこと

          早朝ハイキング

          4時50分 星が綺麗 始発にて出発 気分が良かったので一駅歩く。 途中、おにぎりとコーヒーで身体を起こす。 登山口に到着し、霜の張る山道を聞き慣れない足音をたてて登る。山の中で吐く白い息はなんとなく特別感がある。 山頂に着く。日の出には数分間に合わず、ニット帽の上に

          早朝ハイキング

          東京での暮らし

          ふたり暮らし 東京へ来たが、なかなか職が決まらず気持ちが沈む。 地元から一緒にこっちに来た大学院生の同居人は、あっけらかんで少しネジが抜けているところがある。 東京へ来て1ヶ月、浮浪人の俺はあまりに余った時間を潰すため、ある日の夕方、カレーを作っていた。そこに帰宅した同居人が 「何か作ってるの?」 ときた。 「カレー作ってんだ。」 そしてルーを入れる前の鍋を覗き、煮込まれている具材達を見るなり、 「ほぉ、いい匂い。これにシチュー入れたらシチューができそう。」

          東京での暮らし