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本を地図に旅したい

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書評というより、本を読んで自分の生活や考えが具体的にどう変わったか、みたいなことを書こうと思っています。
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2015年9月の記事一覧

IKEAに自転車で行く

前に津村記久子さんのトークショーを見に行ったのだけど、それに先だって『エヴリシング・フロウズ』を読んだ。

「IKEAに自転車で行く」という設定を知った時点で、すでにやられたという感じがしていた。津村さんの本は設定が毎回おもしろいというか、ツボだ。前の作品でも梅田のスカイビルへの地下道が大雨で水没してしまい、そこをボートで行く設定がとても良かった。ノエウチンダイとかレアな地名が出てくるのもクスッと

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体得する感じを体験したい

高橋秀実さんの『はい、泳げません』を読んだ。

泳ぎ方を解説したり、手ほどきしたりする本は世の中にたくさんある。でもこの本がユニークなのは、著者自身がまったく泳げないこと。そこからのスタートなのだ。水が怖い、という状態から著者は水泳教室に通い、一進一退を繰り返しながら、少しずつ泳ぎを体得していく。

つまり「ずっと泳げなかった人が泳ぎをマスターしようとするとどうなるのか」という体験ルポだ。泳げない

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反対する理由が見つからないけど、賛成する理由も見つからない

『明日の食卓---有機農業と遺伝子組換え食品』という本を読んだ。

有機農業家である夫と、遺伝子組み換えの研究者である妻によって書かれたもので、有機農業と遺伝子組み換えの組み合わせが将来の農業にとって最善の戦略ではないか、と提案をしている。

「遺伝子組み換え」と聞くと、すぐに危険か安全かと考えてしまうけど、そもそも遺伝子組み換えとはどういうものか、よくわかっていなかった。この本を読んで、あいまい

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判断すべき角度を狭めてくれる

エミリー・オスター著『お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント』を読んだ。原題は『Expecting Better』。より良く期待しよう、みたいな意味だろう。

アメリカの経済学者である著者は、最近出産を経験し、そのときに確率的に物事を判断することを迫られた。

例えば、妊娠時にお酒を飲んでいいのか? コーヒーを飲んでいいのか?

一般的にはダメとされているが、それはどのくらいダメ

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