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本を地図に旅したい

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書評というより、本を読んで自分の生活や考えが具体的にどう変わったか、みたいなことを書こうと思っています。
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2014年7月の記事一覧

プロはパターンをたくさん知っている

売るためのコピーライティングにはパターンがある。ということが、『セールスライティング・ハンドブック』を読んでわかった。

この本はコピーライティング、つまり「商品やサービスを売るための文章」を書くときのポイントについて、まとめてある。だいたいのパターンは網羅されているので、とくにアイデアが出ないと悩むときには役に立ちそうだ。

この本を読んで思ったのは、プロというのはパターンをたくさん知っている人

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現場はたいてい思い描いていたものとは違う

以前、海外を旅行しているときに、治験バイトの話を耳にしたことがあった。その話から、治験はけっこう稼げるらしいというイメージは持っていたけど、自分は体験したことはないし、体験した人から具体的な話を聞いたこともなかった。

実際どういうことをするのか興味があったので、『職業治験 治験で1000万円稼いだ男の病的な日々』という本を読んでみた。

著者はおそらく30代くらいの男性で、これまでおもに治験のバ

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リフレッシュとは、客観視すること

「エクストリーム出社」とは、サラリーマンが会社に行く前の早朝の時間を使って、何らかのアクティビティをしようという活動である。

例えば、朝早くサイクリングをしたり、山に登ったり、海に行ったりといったアウトドアアクティビティをはじめ、カラオケ、合コンなどインドアの活動もありで、そのまま何事もなかったかのように会社に出社して仕事をしようというものだ。アメリカなどで流行っているエクストリームスポーツにな

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主婦回帰現象から、個人と社会について考えた

アメリカでは主婦への回帰現象が起きている。アメリカ人の女性ジャーナリストによる『ハウスワイフ2.0』という本を読んで、そのことを知った。

主婦といっても、1950年代の主婦とは違う。タイトルに「2.0」がついているのは、そのためだ。かつての家事は苦痛なもの、そこから女性が解放されるべきものと考えられていたけれど、新しい主婦は自発的にその道を選び、その仕事に価値や喜びを見いだしている。家事をより先

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「何か」がある文章の秘密

高橋源一郎さんの『ぼくらの文章教室』という本を読んだ。

文章教室っていうタイトルだけど、文章の技法を教える本ではない。うまい文章を書くコツのようなものが書かれているわけでもない。高橋源一郎さんが「何かある」と思った文章を取り上げ、それを読み、それについて考えるという内容だ。

いい文章には、いったい「何が」あるのだろうか。

取り上げられているのは有名な文書もあれば、全くの素人が書いたものもある

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あるものを使って、ぜいたくに暮らそう

人は退屈に耐えられない。いくら暇があっても、部屋で何もせず、じっとしていることはできない。それはどうしてなのだろう?

『暇と退屈の倫理学』は、そんな「暇と退屈」をめぐって、人類の歴史や、過去の哲学者が考えた理論をたどる。そして、「退屈から逃れられない私たちは、ではどうやって生きていけばいいのか?」を考え、結論を導き出す。

その結論は‥‥と、本の最後の章を先に読もうとすると、「この結論だけを先

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「面倒くさい」に正面から向き合う

『四次元温泉日記』は、「面倒くさい」に正面から向き合う本である。

温泉に興味もなかった著者が、迷路みたいな温泉旅館なら興味を持てると思い、日本全国の温泉宿をめぐる旅をする話だ。

ひょんなことから、なぜかおじさん3人旅となり、そんなスタイルも可笑しいのだけど、旅の中でたどりついた答えのひとつが「温泉は何もしなくていい」というものだ。つまり温泉旅行は、面倒くさい人に適した旅行なのである。

面倒く

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一人一人の意思では社会を変更できない?

結局は惰性なのではないか、と思うことがよくある。

先日読み終わった、川上量生さんの本、『ルールを変える思考法』にも、人間はたいてい惰性で行動している、みたいなことが書いてあった。自分の意志ではなく、社会の仕組みやルールによってそれをやらなければいけないと思い込まされ、その結果、惰性で行動しているだけだ、と。たしかにそうだろうなあ、と自分の行動を振り返ってみて思う。

川上さんは、競争社会では、ル

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自由な働き方とは、自由に仕事を断れること?

自分で仕事をコントロールすることについて考えている。
というのは、『未来の働き方を考えよう』という本を読んだからだ。

この本が勧めているのは「キャリアの途中で進路を見直して、2回目の働き方を選んでみてはどう?」ということだ。

旅行のたとえがわかりやすかった。たとえば、初めてパリを訪れる場合、行きたい場所はたいていみんな同じだ。だからツアーを利用したりする。けれど、2回目のパリだったら、自分で自

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地味だった窒素が主役に躍り出た

畑で重要な役割を果たしているのは微生物だと、いくつかの本を読んだりしているうちに思うようになった。化学肥料を使ったら土地がやせるとか、肥料や農薬がなくても作物は育つという話は、微生物がどのように働いているかがポイントなのだ。

そんな関心から『土壌微生物の基礎知識』を読み始めた。その序文に、農業における微生物の歴史が、わかりやすくまとめられている。

かつて肥料が乏しかった時代は、作物への養分供給

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旅してみたくなる昔の日本

昔の日本って、実際どんな感じだったんだろう? 
『逝きし世の面影』を読んで、その一端がちょっと味わえた気がする。

この本は、江戸時代ごろに日本を訪れた外国人が日本をどう見ていたかという内容だ。彼らが書き残した文章を集めて、テーマごとに考察している。

「むかしの日本って、ユニークでいい世界だなあ」と思った。イメージしていた江戸時代とちょっと違って、庶民は健康的で、笑顔にあふれ、おおらかな性格の日

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