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ミュージシャンの伝記映画特集

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ロック、カントリー、ブルーズ/R&B、ヒップホップ、ジャズ、クラシックなどジャンル問わず、ミュージシャンやソングライターの伝記映画をコラム化して紹介。随時追加。
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記事一覧

アマデウス〜 衝撃の告白「モーツァルトを殺したのは私だ。あいつは私の憧れだった」

『アマデウス』(AMADEUS/1984年) クラシック音楽の話題を口に出すと、上品だとか教養だとか、いまだにそんな印象を持っている人が意外に多い。ピアノやバレエを、子供に無理矢理習わせるというのもこれに近いと思う。 要するに、こう見られたい。そう思われたい。純粋に音楽に取り憑かれることとは程遠い感覚を目にすることがある。「ジャズは何かオシャレだから」「美術鑑賞はデートコースの一環で」にも、同じ臭いがするのは気のせいだろうか? ブルーノートでモダンを演っていた偉大なジャ

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不滅の恋/ベートーヴェン〜偉大な作曲家が密かに愛し続けた“不滅の恋人”とは誰なのか?

『不滅の恋/ベートーヴェン』(Immortal Beloved/1994年) 1827年3月26日。ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが病に倒れてこの世を去った。享年56。 その死の翌日、株券に隠れるように“ラブレター”が見つかった。そこにはこんな言葉が並べられていた。 と言っても、女性の名前はどこにも記されていない。年代もない。分かっているのは7月6日朝、夕方、7月7日朝に書かれたこと。そして、温泉療養地であるカールスバートの宿に来ていた恋人に向けたものであること。

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シャイン〜ラフマニノフの難曲を弾き続けた実在する天才ピアニストの奇跡

『シャイン』(Shine/1996年) 「若いピアニストにとって、ラフマニノフに挑むのは危険な行為だ。気が狂って廃人になる」 長年、クラシックを聴くたびに、こんな台詞が頭の中にまとわりついてきた。一体どこから仕入れてきたんだろうか。音大出の友人から? それとも何かの文献? 『シャイン』(Shine/1996年)を久しぶりに観て謎が解けた。この映画だ。 オーストラリア出身の実在のピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴットの半生を描いた『シャイン』には、「ラフマニノフのピアノ協

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パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト〜悪魔と取引して超絶技巧と名声を手にした男

『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』(Der Teufelsgeiger/2013) この世には特定の分野で、圧倒的な才能で人々を魅了する者がいる。 だが、あらかじめ兼ね備えた天才でさえ、努力や屈辱や孤独の積み重ね、それを知らしめる手段があって、はじめてその領域に達するのが事実。我々が愛する音楽の世界も例外ではない。 しかし、その登場の仕方や技巧があまりにも驚異的だった場合、人々はこんな噂を流してきた。 「あいつは悪魔と取引をしたに違いない」 こう聞いて真っ先

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ラウンド・ミッドナイト〜酒と煙草と真夜中のモダン・ジャズ

『ラウンド・ミッドナイト』(ROUND MIDNIGHT/1986年) 20世紀の幕開けと共に生まれ、それまで陽気なダンス・ミュージックだったジャズが、1940年代のビ・バップ登場によって鑑賞芸術となり、以降~1960年代までジャズは“モダン・ジャズ”として真の黄金期を迎える。 チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、セロニアス・モンク、マイルス・デイビス、バド・パウエル、アート・ブレイキー、アート・ペッパー、クリフォード・ブラウン、ソニー・ロリンズ、オーネット・コー

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ナイト・アンド・デイ(夜も昼も)〜ポピュラー・ソングに“永遠の若さ”を刻んだコール・ポーター

『夜も昼も』(Night and Day/1946年) 「壮大な音楽探求」という旅路を愛する人たちがいる。 英米や日本のオールドロックの呪縛から解き放たれ、世界中の国々や土地の音楽、ロック以前以外の時代やジャンルの音楽を開拓している。あるいは映画や文学、歴史や文化や経済など様々な観点も含めて楽しんでいる。このコラムに繋がったのは、きっとそんな人だと思う。 音楽の場所や時を、自由自在に移動しながら旅することは、たとえそれが部屋や頭の中であっても立派な体験になり得る。何も無

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パープル・レイン〜真のスーパースター誕生の瞬間を描いたプリンスの自伝的映画

『パープル・レイン』(Purple Rain/1984) 2016年はデヴィッド・ボウイやイーグルスのグレン・フライなど大物ミュージシャンが相次いで亡くなったが、その度に彼らの過去の代表作やベスト盤を購入する人が多かったようだ。 同年4月21日に亡くなったプリンスも、直後の5/7付のビルボードのアルバムチャートで、1位・2位・6位とTOP10に3枚が突如ランクインした。1位と6位はベスト盤で、2位が『パープル・レイン』。これはプリンスと言えば、やはり『パープル・レイン』を

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ローズ〜すべての歌い手とロックを心から愛する人々に捧ぐ

『ローズ』(THE ROSE/1979) その圧倒的な演技力と歌唱力で、観る者の心を完全に魅了してしまう女性エンターテイナーが稀に存在する。 映画ファンや音楽ファンなら、まずはバーブラ・ストライサンド、ライザ・ミネリ、そしてベット・ミドラーの名を挙げておかなければならない。バーブラの『スター誕生』やライザの『ニューヨーク・ニューヨーク』も素晴らしかったが、何と言ってもベッドの『ローズ』(THE ROSE/1979年)には心打たれた。 スーパースター歌手の愛と激情と孤独な

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ドリームガールズ〜黄金期のモータウンとシュープリームスをモデルにした物語

『ドリームガールズ』(Dreamgirls/2007) マーティン・ルーサー・キング牧師らが先導した公民権運動は、1950年代中頃から始まって、60年代前半には大きなうねりとなってアメリカに浸透した。 それはブラック・ミュージックのシーンにおける「R&B」から「ソウル」への移行や発展という流れともシンクロした。ソウルは黒人たちの誇りなくしては生まれなかった。 その代名詞的存在となったのは、言うまでもなく1959年に誕生したデトロイトのレコード会社、モータウンだ。 “サ

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ラプソディ・イン・ブルー〜ジョージ・ガーシュインは短い生涯で大量の名曲を書き上げた

『アメリカ交響楽』(Rhapsody in Blue/1945年) 1920〜30年代にポピュラー音楽とクラシック音楽の両面で活躍し、「アメリカ音楽を作り上げた作曲家」として知られるジョージ・ガーシュイン。 「やりたいことが多すぎる」「失敗してる暇はない」「音楽が僕の生きている証」と本人が言ったように、38年というその短い生涯で大量の名曲を書き上げた。 20世紀を代表する名曲「ラプソディ・イン・ブルー」「パリのアメリカ人」、オペラ「ポーギーとベス」をはじめ、スタンダード

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キャデラック・レコード〜ビヨンセも出演した伝説のレーベル“CHESS”の物語

『キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語』(CADILLAC RECORDS/2008年) レコード会社を描いた映画はこれまで数々作られてきたが、中でもメンフィスのサンやデトロイトのモータウン、NYのアトランティックといったインディペンデントと呼ばれる独立レーベルの物語は実に見応えがある。そしてシカゴの名門チェスのストーリーも例外ではない。 映画『キャデラック・レコード』(CADILLAC RECORDS/2008年)には、レナード・チェス、マディ・ウォ

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8 Mile〜マイクを一度握ったら“裁かれる世界”を舞台にしたエミネム主演作

『8 Mile』(2002年) かつてデトロイトは、フォードやゼネラル・モーターズやクライスラーといった自動車産業の本拠地が置かれて栄華を極めていた。 しかし、1960年代に入ると、人種間の摩擦が起こって暴動沙汰が発生。裕福な白人層は郊外へ逃れ、街の中心部は次第に荒廃化。1980年代には産業自体が衰退して失業率や貧困率も上昇。 ソウル・ミュージックを牽引したモータウン誕生の地は、いつしか荒れ果てた姿に変わり、治安の悪化も問題化していった。 エミネム自身が言うように、“

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ボヘミアン・ラプソディ〜「グラムロックの残りカス」と酷評されたクイーンの快進撃

『ボヘミアン・ラプソディ』(Bohemian Rhapsody/2018年) クイーン、そしてフレディ・マーキュリーの知られざる姿を描いた映画『ボヘミアン・ラプソディ』(Bohemian Rhapsody/2018年)が日本でも大ヒットした。 クイーンがデビューしたのは1973年。その奇抜なアイメイクやファッションのせいもあって、本国イギリスの音楽メディアからは「グラムロックの残りカス」などと酷評されながらも、日本では女性ファンから火がついたというのは有名な話。 (ちな

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ジェームス・ブラウン/最高の魂(ソウル)を持つ男〜伝説の裏に隠された真実と友情

『ジェームス・ブラウン〜最高の魂(ソウル)を持つ男』(Get on Up/2014年) 「ゴッドファーザー・オブ・ソウル」「ファンキー・プレジデント」「ショービジネス界一番の働き者」「ソウル・ブラザー・ナンバー・ワン」などの愛称で知られるあの「JB」こと、ジェームス・ブラウンの伝記映画『ジェームス・ブラウン〜最高の魂(ソウル)を持つ男』(Get on Up/2014年)。 ライブシーンが圧巻のエンターテインメント作品というだけでなく、これまでの数々の伝説の裏に隠された真実

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