マッチングアプリで勧誘された、感想

博士課程を修了して、ようやく社会に出られて、「うっひゃ〜〜〜!」と開放感に浸っていたら、マッチングアプリで出会った人に勧誘された。
『セミナー』のようなわかりやすい単語が出てこなかったので、勧誘だと見抜けず、メンタルを削られてしまった。

第三者に会わせようとしてくる、「美容」「金」「勉強」という感じのワードが出てくる、こういうのは勧誘だと思う。
あと、洗脳のために人格否定をしてくるが、人格否定を受け入れてはならない。
どんな理由があれ、人格否定は許されない。数回しか会ってない人間ならなおさらだ。
相手がトイレにでも行った隙に逃げていいよ、こんなのは。

勧誘されるまでの流れ
① 会うまで
Aさんと少しだけメッセージでやり取りした後、通話 → ライン交換
② 会う(1回目)
仕事終わりにご飯に行く(勧誘らしいことはない)
③ 会う(2回目)
休日の夕方にご飯に行く
→ 仕事のことで悩んでいると言ったら、次回"すごい人"に会って相談することになる
④ 会う(3回目 with すごい人)
・すごい人に会って話をする
・居酒屋でAさんから3時間説教(地獄)

"すごい人"というのは、Aさんが仕事について悩んでいる時に色々教えてくれた人らしい。お金のこととかもこの人から教わったとか。
とにかく③の時にAさんは「この人はすごい」「予想の斜め上の回答を提示してくる」と言っていて、正直、期待してしまった。

すごい人からまず聞かれたことは、「自分に自信ある?」だった。
(私は「ないです」と即答した。勧誘しがいがあるかの見極め?)
そして、すごい人からされた話は、「見た目のこと」「(生涯に必要な)お金のこと」「勉強のこと」
(今思えば、「美容」「投資」「セミナー」のどれで勧誘するかを判断するために食いつきを見ようとしたんだと思う。)
仕事のことも相談したんだが、「営業成績良い人いないの?その人に相談してみればいい」という浅い回答が返ってきて退屈だった。

すごい人と話が終わったあと、Aさんと居酒屋に移動。
「どうだった?」と聞かれ、悪く言うのもアレかと思い、「話力のあるすごい人だった」と言ったら、Aさんには「浅い」と言われ、そこから説教タイム。

「すごい人はたくさん事業をやっていて、忙しい中で親身になって話を聞いてくれた。それなのに、その浅い感想はなんだ。感謝の気持ちはないのか。さっき、話が終わったあとの態度もよくない。『わざわざ聞いてくださってありがとうございます』って、心の底から思って言葉や態度に出すのが普通。」
「人が真剣に話してるのに、飲み食いするな。ちゃんと聞け。」
「それで、すごい人と話した感想は?」
私が思ったこと(すごい人が言ったことの中で参考になるなと一応感じたこと)を言うと、
「さっきの感謝の話、本当にわかってる?わかってないよね?」
また同じお説教後、「感想は?」っていう繰り返し。

『Aさんの望む回答をしないと、この問答は終わらない』ということに気づき、アルコールが入ってしまったことで思考力が低下し、何を言うのが正解かわからずに黙ってしまった。

「あなたは人の気持ちがわからない人間だ」
「人の気持ちがわからない人間はクズ野郎だ」
(私に言わせる隙を与えないのに)「思ったことはちゃんと言えるようにならないとダメだ。」
「言い訳は絶対にしちゃダメ。仕事で言い訳したら終わりだよ。」
「あなたは変わった方がいい。俺ならいい方向に絶対に変えてあげられる。」
(自分のペースで変わりたいと言ったら)「期限を設けないと逃げるでしょ。逃げちゃダメ。」

こんなことを3時間ほど言われ続けた。
この時はずっと話を聞くばかりで、時間が経つにつれてどんどん疲弊していった。
気づけば23時くらいになっていて、「明日仕事で早いから帰りたい」と言った。
「あと5分だけ話したい」と言われ、話を聞いたが、何も変わらないと思って、5分も待たずに無理やり帰った。
帰ってつらくてしんどすぎて泣いた。

私は昔、友人だった人から人格否定をされたことがある。
自分にも落ち度(友人を不愉快にさせる言動)があった。
「あなたのことが死ぬほど嫌いだ」「もう二度と連絡してくるな」と言われた。
その数ヶ月後に、その人から謝罪された。
「なんであれ、人格否定は許されることじゃない」と、彼は言った。

私はその謝罪を受け入れず、人格否定の言葉を受け入れ続け、その人を崇拝し、"憧れ"とした。
その人の心を理解するために、自分を変えた。
ただ、その人の心を変える(友人に戻る)ことはできなかった。
そのうち、この崇拝が間違っていることに気づき、崇拝をやめた。

その経験があるから、Aさんが私に対して間接的に「人間として終わっている」と言われた時に、「これを受け入れていいのか?この人格否定は正しいのか?」という疑念を抱けた。
Aさんが"すごい人"の言っていることを崇拝して、自らが思考することを捨てているように見えた。
私の話を聞こうとしない(私の心を理解しようとしていない)姿勢が、「人の気持ちを理解できない人間はダメ」という発言と矛盾していて気持ち悪かった。
"絶対"を実現できるのは自分にまつわることだけで、他者に対する"絶対"は存在しないことを知っていたから、「あなたを絶対にいい方向に変えられる」というのが嘘だと思った。

試しに、「私は"絶対に"良い方向に変われる」と言った。
(これまでも、"絶対に変わる"という強い信念を持って、自分を変えた経験があるから。)
そしたらAさんは、あろうことか「なんで絶対とか言えんの?」と言った、自分も"絶対に"と言ったのに。

とにかく、Aさんやすごい人のたくさんの矛盾や嘘、思考放棄、浅い言葉、何もかもが気持ち悪かった。
ただ、疲弊していたことや、過去に人格否定されたこともあって、言い返せなかったのは、ちょっとだけ悔しい。
人格否定を許す(何も言わずに通す)べきじゃなかったと思う。
だから、「あと5分だけ」なんて、『もうちょっと粘ればコイツは落とせる』みたいに思われたのだ。

"すごい人"はマルチの上の方の人間で、Aさんは下っ端なんだろう。
ネットで調べると、盲信してしまっているが故に、悪気なく勧誘してくる人もいるらしい。
Aさんもそうなのかもなぁ、と思う。
Aさんは、地元から遠い大学に進学し、大学の人とは折りが合わず、最低限の付き合いしかしていなかったらしい。
理系(学部卒)で研究室にも所属していたが、人が多くて機械が使えないからという理由でコアタイムを無視し、夜中にラボに行って実験をしていたそうだ。
そりゃ孤独にもなる。
研究内容を聞いて「その研究ってどういう技術に使えるの?」という展望を聞いたら、「知らない。そこまでは考えなかった。」と言っていた。
そして、"すごい人"は大学の先輩だそうだ。

これが事実だとしたら、Aさんは身近に頼れる人もおらず、学部卒で就職して、仕事もうまくいかず、悪い人(すごい人)に捕まってしまったんだろうな、と思う。
研究の展望も考えない(自分で思考せず言われたことをとりあえずやる)から、"すごい人"がそれっぽいことを言い、盲信してしまったんだろう。
私には、Aさんはすごい人と話す時、どこか緊張しているように見えた。
お互いが本当に心から慕い合っているのであれば、対等な関係で、もっと自然に話せるはずなのに。
だから、上下関係がしっかりしているマルチなんだろうな、と今は思う。
あと、Aさんは2回ばかり、トイレが非常に長かった。
たぶん、すごい人にどう勧誘すべきか指示を仰いでいたんだろう。

Aさんにマルチの勧誘としての自覚がないなら、彼は非常に可哀想だと思う。
自ら思考しないこと、孤独であったこと、その結果、アラサーにもなって、悪い人の言うことを聞いて、他人の人格を否定して、「勧誘」をして、他人を傷つけている。
とても残酷な世界だ。あまりにも痛々しい。

面白い体験ではあったが、その時はメンタルをひどく削られたので、もう懲り懲り。










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?