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荒廃した未来を映画で見ると、気持ちが高まる

未来をテーマにしたタイムトラベルの話が好きだ。

タイムトラベルした未来は、ディストピアなことが多い。でも、いまの社会から変わり果ててしまった様子を見ると、ものすごくドキドキする。

昨日から今日は何も変わらないし、今日から明日もほとんど何も変わらない。でも明日を数万回くり返した先は、見たことのない世界になっている。

いつか、このつまらない世界が変わるのかもしれないと思えて、ものすごく気持ちが高まるのだ。

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タイムトラベルものを好きと感じたのは、中学生の時に見たタイムマシンという映画がきっかけだった。

タイムマシンのストーリーは、「ある男がタイムマシンを開発し、恋人が殺される過去を変えようとするも変えられず、その理由を探りに未来に行く」、というもの。

そして時間を跳躍していくうちに、数十万年後に行きつく。その未来はインディアンみたいな人類と原始人みたいな人類が争っている世界。

最後、主人公はインディアンみたいな女性と恋に落ちて、原始人とたたかうというストーリーだった。かなりシンプルでエンタメ感のつよい映画だ。

ちなみに、過去を変えられない理由は、「恋人が死ななければ、タイムマシンは開発されない」からというものだった。中学生にとっては分かりやすくて、「へー、そういう理屈だったのか」とものすごく納得したことをよく覚えている。

映画を見た後に知ったのだけど、このタイムマシンは過去にも映画化されていて、原作の小説もある。

最初に公開されたタイムマシンも原作の小説も、リメイクされたタイムマシンとテーマが異なる。戦争や資本主義に対する風刺が入っていたりして、ちょっと重めの作品になっている。

最初のタイムマシンも原作の小説も面白いのだけど、中学生にとってはむずしいテーマだった。

そのせいか中学生の僕は、分かりやすくてちょっとチープな感じのするリメイク版の「タイムマシン」が好きだった。

好きになった理由は、中学生にありがちな「だれも知らない世界に行きたい」という願いが、映画の中で叶えられていたからだと思う。あの時、勉強もスポーツもできない自分は、学校のない世界に行きたいと思っていた。学校によって決められた価値観が存在しない、ここではないどこかへ行きたかった。

映画のタイムマシンでは、自分の望んだ「ここではない世界」が、描かれていた。そして、「ここではない世界」はいまと繋がっていた。だからタイムマシンを見たことで、「いつかこの世界が変わってくれるのかもしれない」という希望を抱いたのだと思う。

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あれから20年経っても荒廃した未来を描いた物語は心にひびく。人生に楽しいことはあるものの、つまらなくて辛い今日がほとんどだし、いまでも「ここではない世界へ行きたい」と思うことは多い。そんな日常から解放されたいという願望をかなえてくれるのが、未来をテーマにしたタイムトラベルの話なんだと思う。

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