見出し画像

【先生体験談インタビューHさん編①】オンライン形式でおこなう日本語学習の流れ

「にほんごせんせいサーチ」チームの知人で、オンラインによる日本語学習をやられているHさんにお話を伺ってみました。スカイプを使って学習者へ日本語を教えていらっしゃいます。コロナ禍でなかなか対面での学習機会をつくることが厳しい状況のなか、どのようにオンライン授業を行っているのか。学習方法に悩むみなさまにとって、少しでもヒントになればと思っております。ぜひご覧ください。

(※インタビュー内表記 インタビュアー→イ インタビュイー→H)

Q:学習者とオンライン学習を行う流れ(アポイント~授業終了まで)を教えてください。
イ:Hさん、本日はオンラインでWEB会議ツールを使った日本語学習について、日頃取り組まれていることを教えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

H:よろしくおねがいします。

イ:これまで対面でのみ、学習者の方に日本語教えられていた方が、このコロナの状況で、否応なくオンラインに切り替えることになったというケースも多いと思います。その時、そもそも何から手をつければ良いのかがわからない方もいらっしゃると思うので、Hさんが普段やられているオンライン学習の流れをかんたんに教えてください。

H:はい。まずは、レッスン前の準備で「学習者の方と、レッスンの曜日や時間を設定」します。

イ:学習者さんによっても、お仕事やご家庭の事情で、生活スタイルがバラバラだと思いますが、日程調整で何か工夫されていることはあるんですか?

H:レッスン当日が近づいてきたら、「キャンセル・時間変更が必要かどうか改めて学習者と確認」しています。

イ:事前にリマインドをしっかり行うわけですね!

H:そうです!日頃の忙しさのなかで、つい予定を忘れてしまったり、日にちを間違ってしまっていたり、直前に大事な予定が入ってしまって学習ができなかったりすることもありますからね。

イ:確かに、急遽学習ができなくなったり更が必要なときに、学習者さんからの連絡をまつだけでなく、こちら側から数日前に連絡をすることで、学習日をお互い再認識できますし、当日に向けての気持ちもつくれると思います。続いて、レッスンそのものですが、どのような流れで進められているんでしょうか?

H:まずは「日本語/英語でお互いの近況」を話します。

イ:本格的なレッスン前のアイスブレイクですね!

H:そうです。いきなり学習を始めるのではなく、お互いのできごとや気持ちを話して、場をあたためます。

イ:オンラインだと、通話をする/切るで、はじまりと終わりがハッキリしているので、対面の時と比べて雑談の機会を持ちづらい、なんて話も聞いたことがあります。Hさんは、学習のはじめで意図的に、雑談の機会を設けていらっしゃるんですね。

H:場をあたためる効果もありますし、語学においては、こういったくだけた日常会話は、むしろそれ自体も学習の一環になりえますから、一石二鳥です(笑)

イ:そうですよね!雑談、大事だと思います。本格的な学習に入ったら、どのようなことをされているんですか?

H:相手や日によって、やることも当然変わるので、学習に入る前に「学習項目(今日のポイント)を簡単に紹介」します。

イ:その日の学習の方向性をしっかり示すわけですね。

H:はい。それからあくまで一例ではありますが、「フラッシュカードという道具を使ってで語形変化などを反復練習」します。

イ:フラッシュカードってどんな道具ですか?

H:みなさんも英単語を覚えるときにつかったような単語帳をイメージしていただければ良いと思います。この道具を使って、語形変化を覚えていく。例えば、カードの表に「赤い+「ば(助詞)」」と書いてある場合、裏には「赤ければ」と書き、それを答えてもらうような感じです。

イ:反射的かつスピーディーにいろいろな問題をこなせますね。外国人にとっては難しい内容だと思いますが、あまり考えこまずに数をこなせるのが良いですね。

H:あとは、テキストを使った学習も行います。

イ:どんなテキストを使われているんですか?

H:私は、「みんなの日本語」というテキストを使ってます。文型の練習や実際にテキストの問題を解いてもらうこともありますよ。

イ:テキスト選びも教える側としては悩みどころかもしれませんね。ぜひ、みなさんも参考していただければと思います。

H:それから、実践的な学習もやりますよ。

イ:例えばどんなことをされていますか?

H:レッスンで学習した文型を使って「作文/会話の練習」をします。

イ:文型って、日本語が話せる人でも難しいですよね。なかなか学習者さんにとっても、教えるにあたってハードルが高かったりしますか?

H:確かに難しいです。私の学習者さん達は、学習回数が足りないのか、私の教え方が悪いのか、学習した事はすぐ忘れてしまうんです・・・。だから、教えた文型は一度きりでなく2、3回は繰り返す事を前提にレッスンしています。

イ:根気強く回数をこなして、少しづつ定着していってもらうんですね。

H:完璧を目指しすぎず、なんとなく理解度65%ぐらいの感覚を目指したいところですね。学習者さんが飽きないように、他の話題・他の文法や文字の学習に切り替えたりもします。間を開けて後日復習して、完成度を少しずつ上げる形ですね。(うまく行っているかは別としてですが・・・

イ:なかなか正解がないですもんね。Hさんも試行錯誤されてるんですね。

H:そうなんです。それで、学習がひと段落したら、「宿題の説明」と「レッスンや日常生活でわからなかった言葉についての質問」の時間を取ります。

イ:宿題も出されるんですね。レッスン外のフォローもされているということですね。

H:はい。でもあまり深追いしないです。負担にならない程度に宿題を出して、たまーに復習で何気なく質問をしてみるとか。

イ:学習者さんに応じて、レッスン外のコミュニケーションもタイミングや量で負担感を与えないことが大事になりそうですね。

H:そうですね。だから逆に復習だけでなく、何となく一人で学習できそうだなって思ったら、英文付きの会話や文型を送って、後日、レッスン内でも使う場合もありますよ。学習者さんが一人で学習してくれていたら、‘あ、これ知ってる‘になるかなという期待も込めて(笑)

イ:レッスンの予習になるから、レッスンそのものもスムーズにできそうですね。

H:はい。それで最後は、「次回のレッスン日時を確認」して、レッスン終了です。

イ:実際にオンラインでレッスンをやられている方の具体的な手順がわかると、イメージしやすいですね。同じように取り入れてみたり、アレンジしてみたり、正解がない分、いろいろ模索しがいがありますね。

H:少しでもみなさんの参考になれば、嬉しいです。

イ:ありがとうございます。

—おさらい—
《オンラインでの日本語学習の流れ(例)》
◆レッスン前の準備
①学習者とレッスンの曜日・時間を設定
②レッスン当日が近づいてきたら、キャンセル・時間変更等を学習者さんと確認する

◆レッスンの手順
①日本語/英語にて近況を話す
②学習項目(今日のポイント)を簡単に紹介
③フラッシュカード等で語形変化等を反復練習
④テキスト(主に「みんなの日本語」)の文型練習
⑤テキスト(主に「みんなの日本語」)の練習問題学習
⑥レッスンで学習した文型を使って作文/会話練習
⑦宿題内容を説明
⑧質問(レッスン内容+その他日常の中でわからない日本語等)
⑨次回のレッスン日時(予定通りで良いか)を確認
⑩レッスン終了