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【タノム投資家対談 第2弾】 元メルペイ松本龍祐氏が挑む「守破離の道」

チーム・タノムには、豊富な経験を持つ多くの投資家・VCが資本参加くださっています。そんな投資家のみなさんと、当社代表・川野による対談シリーズ。

今回は投資家であり、自身も起業家である元メルペイの松本龍祐さんにお話を伺いました。『リアルビジネスとテクノロジーの融合』を掲げ、2019年8月に完全キャッシュレスカフェ「KITASANDO COFFEE」をオープンした松本さん。アナログ体質をデジタルに変えていくためには何が必要か、じっくり語っていただきます。

【プロフィール】松本 龍祐 株式会社カンカク 代表取締役
2004年より中国企業のSNS立ち上げに参画。2006年にコミュニティ企画・運営に特化したコミュニティファクトリーを設立し、同社アプリ開発室本部長を経て、2015年5月よりメルカリに参画。同年9月、新規事業を行うグループ会社、株式会社ソウゾウの代表取締役社長に就任。2017年11月金融関連の新規事業を行うグループ会社、株式会社メルペイの取締役に就任。2018年4月、同社取締役CPOに就任。現在、株式会社カンカクの代表取締役。

※以下、敬称略

KITASANDO COFFEEを起点とした「リアルとデジタルの融合」

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ーー今年の7月にKITASANDO COFFEEをオープンされてから約半年が経ちましたね。

松本:早いですね!この半年間はチームを作ることと、カフェのコンセプトを固めることに注力していました。もともとはコーヒーだけのシンプルなお店で打ち出したんですけど、カフェとしてフルラインナップの店にしていくことになり、プロの手を借りながら試行錯誤してきたイメージです。今は次に出す新規店舗の準備をしているところですね。

川野:IT畑からリアルビジネスの運営にシフトされて勝手が違うと思いますが、実際に店舗の立ち上げと運営をされてみていかがですか?

松本:リアルほんと大変だなって毎日思ってます(笑)実は大学時代にも同じようにカフェの運営をしたことがありますが、その経験を経てもなお難しさを感じます。

当たり前のことですが、リアルの場合は商圏が有限なんですよね。そこに加えて法規制による制限などもあり、画一的なサービスを広く届けることはネットとくらべて大きなハードルがある。

でも難しいからこそ面白いという事も言えます。この点は川野さんもTANOMUを運営する中で重なる部分があると思いますが、KITASANDO COFFEEを通じて『世の中のリアルとデジタルの融合』を目指したいんです。

ーー「リアルとデジタルの融合」とは具体的にどのような未来をイメージされていますか?


松本:そうですね。KITASANDO COFFEEはキャッシュレス店舗としてデジタル化を進めていますが、ただのキャッシュレス店舗として留まりたくはないと思っています。そこを起点として一歩先に向けたデジタルトランスフォーメーション(DX)を提供していけるといいなと。

今はまだまだネットとリアルが分断されているんですよね。例えば現代の生活において、コンビニにおやつを買いに行った時に、商品そのものを手にとってもその評価は分からない。一度オンラインに情報を取得しに行かなければいけない。こういう、オンラインとリアルの垣根を無くしていきたいなと考えています。

川野:たしかにカフェに入ろうとしたときにも、電源はあるか?とか、子ども椅子はあるか?とか、それぞれのシチュエーションによってスマホで調べますよね。

オンライン化が進んでいるとは言えまだ分断されていると...なるほど。

松本:まさにその例えですね。世の中のB2BのDX(デジタルトランスフォーメーション)は、iPaaSやRPAといった「自動化」が主流ですが、コンシューマー向けについてはコミュニケーションやSNSを絡めた消費行動のシフトだと思っています。僕はそこがやりたい。今のKITASANDO COFFEEもその実験としての位置付けでもあります。

ピボットを経てなお「起業家・川野」を全力サポート

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ーー松本さんと川野が出会われたのは、エンジェルとして本格的に活動されていた頃ですよね?

松本:そうです。もともと食領域への関心が強かったのですが、当時ミールキットが大きく伸びていて。
エンジェル投資家の赤坂さんがChefy(タノムの前身。ミールキット事業を展開)にすでに出資をされていて、僕から赤坂さんに紹介してほしいって頼んで繋いでいただいたんですよ。

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川野:2017年頃ですよね、当時のことよく覚えています。実はそのとき、会社としてミールキットでやっていくかどうか迷っている最中でした。

ミールキット事業からの撤退経緯は、こちらの記事をご覧ください!

そんな状態だったので、松本さんから出資を受けるタイミングとしてふさわしくないと思っていました。結局、直前になって松本さんに「ピボットする可能性があるからちょっと待ってほしい」と言ったんです。

そしたら「川野さんがやるならなんでもいいよ」と言ってくださって、結局出資をいただいて...

自分的にはかなり衝撃でした(笑)


ーーそれは確かに衝撃です!松本さんの当時の心境はどうでしたか?

松本:ミールキットやめるかもって言われたときは正直「マジかよ!」と思いはしたんですけど(笑)

やっぱり川野さんの人柄ですね。そもそも起業家が魅力的じゃないと、どれだけビジネスの領域が好きだったりマーケットフィットしていても最終的には出資するに至りません。

その点で川野さんは事業のお話をする中で出資したいと強く思えるポイントがありました。特に魅力的に感じたのは「知識」と「マインド」両方を兼ね備えていることですね。

川野さんはとても真面目で自分の領域に対してとにかく深く向き合っています。その中で独自の知識やナレッジが蓄積していく様子を見ていたんですよね。これって言うなれば「川野さんの秘伝のタレ」なんですよね。ここが川野さんの強いところです。

川野:ありがとうございます。「とにかく真面目」という点は他の投資家の方も言われます。真面目すぎる、とも(笑)

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川野:ピボットを決めた当時は、何があってもPMFさせるぞ、という強い意思もありました。そこで、先ずは現場を知らなければいけない、そのために実際にその領域で働いている方に何人も話を聞きにいったんですね。

代表川野がサービスに着想するまでのエピソードはこちら


松本:そこです!川野さんはさらっと言いますが、足を使って卸業者さんに現場のペインをインタビューしていましたよね。簡単に聞こえますが、マルチタスクな起業家にとってなかなか実行に移すのが難しいんですよ。

本来であれば課題を解決したい現場の人がビジネスにおいて一番大事な鍵を握っているのにも関わらず、です。それを当たり前と思える川野さんは十分に投資家としての目線でも魅力的ですし、「真面目」という川野さんの人柄が集約されていると思いました。

卸業界のデジタル化、最大のライバルは商慣習

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ーー松本さんはリアル店舗の運営者としてTANOMUをどう見ていますか?

松本:川野さんが試行錯誤した結果もありとても良いサービスだと思います。

レガシーな業界だからこそIT化が進んでいない、けれどもマーケットとしての規模は非常に大きい。業界が抱えるイシューの深さとしても、事業のスケーラビリティとしても、大きな可能性を持ったサービスだと思います。

一例ですが、KITASANDO COFFEEは業務をほぼデジタルでやっています。電話もFAXも置いてないし、発注も全部メールと受発注サイトでやっています。Zapierなどのツールも駆使して仕分けも全て自動化しているんです。

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実際それで得られる工数メリットって非常に大きくて、それも曖昧な雰囲気とかではなく体感値として「もう現金払いの店舗は二度とできないかも...」と感じるんですよね。

卸業者さんにおいても、TANOMUのメリットを一度実感できたら、無かった過去には戻れなくなると思いますよ!

川野:実際にご利用いただいているお客様にもそう仰っていただけています。ですが課題はまだまだあります。

TANOMUの領域でデジタル化の最大のライバルといえば、商慣習・ローカルルールです。例えばコーヒー豆も何十年も何百年も売り買いされてアナログで文化が固まってる世界だと思います。そこに「業務をデジタル化しましょう」と言っても、なかなか受け入れられない。

松本:それは本当に感じますね。個人消費者向けのサービスであれば「失敗したら、次はやめておこう」で済むけど、業者は組織全体のリスクヘッジを考えなければいけない。「会社に損害を与えるくらいなら新しいことはしなくてもいい」という思考に陥りがちです。

川野:卸業者の「慣習」を変えるということは、劇的な現場の改善を通じて、態度変容を起こしていかないといけないんですよね。

一番簡単なのは、売り先である飲食店・発注側からの攻略です。「店舗がデジタル導入し始めたから」という理由で導入する卸業者もいるくらいですから。それでもTANOMUはあくまで卸業者にアプローチをしていきたいと考えています。過去のnoteの記事でも触れていますが、

業界を変えるためには店舗からの圧力ではなく、卸業者が主体となり、能動的にDXの流れに乗ることが必要だと思っています。だからこそTANOMUは店舗ではなく卸に寄り添う形の事業にしたんです。

松本:なるほど、たしかに個別の店舗ではなく流通の要である卸業者のデジタル化を進めることによって、業界が変わるスピード感もサービスのスケーラビリティも違いますね。でも、「業界特有のしがらみ」があるぶん難しい道ではあると思います。ハードな方を選ぶところがまた川野さんらしいですね(笑)

業界へのリスペクトとビジネスにおける「守破離」

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ーー商慣習を変えていく、デジタル化でどのような点がポイントになると思いますか?

松本:そうですね。やはりターゲット顧客に対して「当たり前に利用すると思わせる仕組み」を作り、マーケットにフィットさせることだと思います。ただ真正面から課題解決をぶつけても長い年月をかけて固められた慣習を変えることは難しい。例えばKITASANDO COFFEEの事業を展開する上で参考にしたLuckin coffeeは、慣習をブレイクスルーするという点で良い例ですね。

【luckin coffee/ラッキンコーヒー】
創業からわずか1年半で米国ナスダックに上場したコーヒーチェーン。2018年12月には2億ドル(約230億円)の資金調達に成功。注文・支払いが全てアプリを通じて行われる「待たずに買えるキャッシュレスカフェ」として、中国では店舗数がスタバを上回る勢いで急成長している。
https://www.trans-plus.jp/column/luckincoffee_20190218/

川野:2018年に創業からたったの1年で巨額の資金調達を達成しましたよね。松本さんから見てLuckin coffeeが成功した理由がまさしくその仕組みを作れたということですか?

松本:Luckin coffeeが成功した理由は2つ。「中国がオンライン決済率・EC利用率が高い」ことと「サービスを提供するリアルインフラが整っていない」こと。そもそも中国の場合はコンビニの数が人口比率でみて日本の数分の一しかないんですよね。オンライン化が進んでいる分リアルで提供できる価値はまだまだあるんです。

そういった背景がありスタバなどの代表的なコーヒーチェーン、元々の市場よりも安いコーヒーを出すことでマーケットフィットしたんだと思います。Luckin coffeeはオンライン決済が前提のリアル店舗であり、既存の「リアル店舗の商慣習」を見事に覆して成功していますよね。

しかし仮に同じことを日本で行っても恐らく成功はしません。日本では既にコンビニコーヒーが取っている領域であり、また中国ほどオンライン決済が浸透していないのでフィットさせようとしても前提条件が整っていないので参入障壁は高いです。

川野:導入しやすい状況を作り出し、ユーザーが「利用して当たり前」と思えるような環境にすることが慣習を打ち破る条件ということですね。

ーー「KITASANDO COFFEE」と「TANOMU」。食の業界に関わる中でそれぞれが描く業界の未来についてお聞かせください。

松本:難しい質問ですね(笑)。でもそうですね、川野さんが自らの足を使って卸業界のペインを聞いて回ったように、僕もまだ飲食業界の慣習や作法を学んでいる最中なんです。

Luckin coffeeを例にあげましたが、商慣習を変えるということは並大抵のことではありません。飲食業界はとても大きな市場で、たくさんの方が携わってきた歴史ある産業です。それこそ一朝一夕では完成しないいろんなノウハウの積み重ねがあっての今なんですよね。デジタル化を謳ってはいますが、既存の仕組みをリスペクトしつつ変革していく必要があると思います。

川野:とても共感します。IT畑は何でもデジタルにすればいいと思われがちですが、そうではないんですよね。もともとその業界で紡がれてきた歴史があって、業界をリスペクトするマインドがあるからこそ「もっと良くしていきたい」と思えるんですよね。その気持ちが原動力となって新たなソリューションが生まれる。

私たちの会社の価値観に「現場ドリブン」という言葉があります。現場を否定するアプローチではなく、現場に徹底的に寄り添いともに前にすすむようなプロダクトであり続けたいと思います。

松本:業界が長く太く続くために、ニュースタンダードを作っていく。多分KITASANDO COFFEEもTANOMUも、根っこの部分は同じなんでしょうね。お互い業界に携わる人間として頑張っていきましょう!

ーーお二人とも、ありがとうございました!

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ーーいかがでしたか?チーム・タノムでは、事業を共に成長させる仲間を募集しています。


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