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スクール内外全域が学びのフィールド 【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(6/7)

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おもしろいガッコウに出会うのって、なんでこんなに難しいんだろう? あちこちウェブサイトを見てみても、なんだかどこも似たりよったり…。説明会や公開授業に足を運んでみると雰囲気は多少わかるけれど、もっとリアルな声が聞きたいところ。

「こんなガッコウ探検してみた」では、各地の面白い学校やスクールに突撃訪問!在校生や卒業生、子どもの保護者やその学校を詳しく知る人などに案内してもらいながら1日密着し、その学校ならではのカルチャーや工夫を探していきます。

第一回は、東京・中野にある東京コミュニティスクール(以下TCS)を訪問。案内人は、娘さんをTCSに通わせている保護者の1人・ケイさん(仮名)。国立や私立の小学校をあちこち見学した上で、最終的にTCSを選んだというケイさん。どこが面白いのか、じっくり聞かせていただきました。

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―― ところで、今日の時間割には「体育」の時間がありますが、校舎には運動場や体育館はないですよね?

ケイ:今日は区の体育館に行ってますね。そのほかにも、近くにある公園のグラウンドを使ったり、学校の周囲の地域のリソースをフルに活用しています。体を動かす機会は結構大事にしていてほぼ毎日体育の時間がありますし、授業とは別に毎週金曜は晴れていれば全学年で1200メートル走るんです。

あと、アウトドアディ(ODD)が年に数回ありますね。入学して最初のアウトドアディは、代々木公園近くのプレーパークで遊ぶというものでした。その日はあいにく雨が降っちゃって、中止になるのかなと思っていたら、「歩いて行こう」ってなったんです。で、異年齢混合で縦割りのグループになって、6年生が地図を持って、みんなを連れていく。

プレーパークまでは5キロほどあって、低学年の子の足だと2時間はかかる。その間に、雨で地図が破れたり、歩みの遅い低学年を励ましたり、途中でどっちの道にいくかで喧嘩したりもしながら、レインコートを着てみんなでずんずん歩くんです。先生はもちろん同伴するけど、基本的に子どもに任せて、子どもが道を決めて。その日は、幸い午後には晴れたので、無事にプレーパークを堪能して帰ってきました。年に4種類のキャンプもありますし、運動量も相当だと思います。

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―― ついこの間まで年長さんだった1年生を連れて、自分たちで歩いていく。ちょっと驚いちゃいますね。地域のリソースをフル活用とのことでしたが、街にでていく機会が多いんですね。

ケイ:学びの場は学校にとどまらないですね。とにかく学校にいなくて、現場にどんどん行っちゃう。1年生のときには、「共存共生」という探究領域で、井の頭公園に行っていました。外来種と在来種を学ぶという内容で、池に放たれちゃった外来種の話を調べたそうです。多摩川にも行って、研究者に話を聞いていましたね。

2年生になると『築きに気づく』っていうテーマ学習があって、いろんな建築物の構造などを学ぶんです。その時は、浅草から船に乗って、いろんな橋の下の構造を見ていました。今日の午後は『表裏一体』っていうテーマ学習で、自然の恩恵と自然災害などの驚異についての理解を深めるために墨田区の防災館に行っているんです。他にも、スクールがある中野界隈をフィールドとして、テーマ学習の学びのために街歩きをしたり、商店街を訪ねたり、といったこともしています。

東京以外の場所に行く機会もあります。米探(コメタン)は山梨に行っているし、本格的な装備で富士山に行くこともありますよ。サマーキャンプは自分たちで竹を組んで野宿したり、フィールドにどんどんでかけます。

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―― スクール内外全域が学びのフィールド。多くの学校は、学校の中に図書館や体育館やいろんな設備があるけど、それがないことで子どもたちが閉じずに街にでていくのかもしれませんね。

ケイ:図書館はTCSの校舎にはないけど、徒歩30秒の所に区の大きな図書館があります。全員がそこの図書カード持っていて、テーマ学習のために資料を探しに行ったりは普通にしています。区立中央図書館が自分たちの図書館ですね。学校の中に全てが用意されてなくっても、実は全く不便じゃないんです。

椅子や家具を作ったりするための板や木工用品は徒歩1分のホームセンターに買いに行きますし、徒歩3分のスポーツジムと年間契約してプールの授業も1年中あります。無理なく日常的に使える地域のリソースを、本当に上手く使っているなと感じます。

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