全員が納得行くまで話し合う 【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(3/7)
――「基本的なルールはあるけど、それ以外は話し合って決める」とのことですが、具体的なエピソードをもう少し聞きたいです。
ケイ:週に1回、火曜日の午後に「アセンブリ」という1年生から6年生まで一堂に会して一緒に過ごす時間があります。基本的には子どもたちでどう過ごすかを決めるんですね。例えば運動会や文化祭などの行事の前なら、それに向けた準備をやる。
私が最初に見学したときは、行事も終わっていて、ちょうどイベント準備などがないタイミングでした。6年生の男の子が「この後のアセンブリ、アジェンダがないよ!つまり遊べます!何して遊ぶかこれから決めよう」って話し始めて。
で、6年生の男の子が「学校の中で遊びたい?外で遊びたい?」ってみんなに投げかけたんです。大多数が外で遊びたがったけど、少しだけ手をあげなかった子がいた。そしたら6年生の男の子は、外で遊ぶのに手をあげなかった子ひとりひとりに「なんで嫌なの?」って聞いていったんです。
―― なるほどー。普通だと、多数決で多い方の意見になってしまいそうですよね。「外で遊びたい人が多いから、外に決定!」みたいに。
ケイ:少数派の意見を1つ1つ聞いて、一緒にちゃんと考えていくんですよね。「僕はボードゲームがやりたい」という子には「そのゲームは難しいから低学年の子たちが参加できないかなあ。アセンブリはみんなで一緒に遊べることがルールだから、みんなでできるものにしようよ」とか、「暑いから外行きたくない」という子には、「こっちの公園だったら日陰がいっぱいあるから、日陰で休みながら遊べるかもね」とかね。
そのアイデアがなぜ駄目かを説明したり、代替案を提示したりしながら、全員が納得できる形で話を進めて、最終的に「木の多い公園で、みんなでドロケイをやる」ってなったんですよ。スタッフの介入は全くなしに6年生がみんなをまとめた。
私、そのプロセスに感動したんです。「多数決とらないんだ!こんなにちゃんと話し合うんだ!」って。普段から、少数意見でも馬鹿にされたり揉み消されたりしないでちゃんと意見を拾ってもらえるっていう体験をしてるから、こういった合意形成をリードできるんだと思います。
話し合いで決めるといえば、クラスの名前も自分たちで決めます。たとえば去年の1年生のクラス名は、「また会おう」でした。「ま」は学ぶ、「た」は楽しむ、「あ」は遊ぶ、「お」は面白い、「う」は宇宙の果てでまたあおう、という意味だと聞きました。今年2年生になって、「今二千和」というクラス名になって。1000個のたくさんの思い出をみんなで作って仲良しのクラスになろうねっていう意味だそうです。
どんな名前でもいいのですが、ちゃんと意味があって、全員が理解・納得して説明できることが絶対条件で。なので、全員でかなり話し合ってクラス名を決めていくみたいです。
―― 普段から話し合う機会をたくさん重ねているんでしょうね。みんなの意見をまとめる先輩の姿を見て育つのも、いい影響がありそうです。
ケイ:5〜6年生は「自分たちがこの学校のリーダーだ、この学校をまとめていくんだ」っていう自覚がありますね。行事が多い学校ですが、行事をひっぱっていくのも5〜6年生。上級生は「低学年がなかなか動かないんだよね、どう伝えるのがいいかな」と話していたりして、大人のマネジメントの悩みと同じで面白いです(笑)。
低学年の子たちは、「高学年の子たちは自分たちをリードしてくれている、自分たちもいずれそうならなきゃ」って感じているみたい。先輩たちの背中を見ながらリーダーシップが少しずつ育っていくのかなと思います。
―― もともとは地域の子どもたちも、いろんな年の子が混合で遊んで、その中で上の年齢の子たちを見ながら振る舞いを学んでいたはず。年齢別にきっちりと分けられている学校の方が不自然で、異年齢混合で学んでいくのは実は自然なあり方なのかもしれませんね。
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