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自分たちで文化祭の決済アプリをつくる 【こんなガッコウ探検してみたvol.1】 東京コミュニティスクール編(5/7)

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おもしろいガッコウに出会うのって、なんでこんなに難しいんだろう? あちこちウェブサイトを見てみても、なんだかどこも似たりよったり…。説明会や公開授業に足を運んでみると雰囲気は多少わかるけれど、もっとリアルな声が聞きたいところ。

「こんなガッコウ探検してみた」では、各地の面白い学校やスクールに突撃訪問!在校生や卒業生、子どもの保護者やその学校を詳しく知る人などに案内してもらいながら1日密着し、その学校ならではのカルチャーや工夫を探していきます。

第一回は、東京・中野にある東京コミュニティスクール(以下TCS)を訪問。案内人は、娘さんをTCSに通わせている保護者の1人・ケイさん(仮名)。国立や私立の小学校をあちこち見学した上で、最終的にTCSを選んだというケイさん。どこが面白いのか、じっくり聞かせていただきました。

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―― 午前中のクラスは終わり、ランチタイムに。全学年の子どもたちとスタッフが、1階でワイワイとお弁当を広げます。

ケイ:お弁当は自宅から持ってきている子が多いですが、TCSで給食を頼むこともできます。朝に頼むと、昼に届けてもらえる仕組みなので、保護者としてはとても助かりますね。「今日はお母さんと喧嘩しちゃったから、給食頼む!」なんて子もいますよ。

―― 楽しく食べた後は、自発的に片付けがはじまります。お弁当箱を新聞紙でていねいに拭いている子と話してみると、「テーマ学習で水質汚染について学んだから、汚れを流さないように」とのこと。学んだことは、ちゃんと日常の習慣になっているようです。

ところで、テーマ学習に非常に力を入れているという話を前回聞きましたが、ICTなどもテーマ学習や普段のクラスの中で学んでいく感じでしょうか?

ケイ:PCやタブレットに自然に触れる機会は多いです。1年生からITの授業があり、低学年はひとり1台iPad、高学年はひとり1台MacBookが貸し出されます。家に持って帰るのもOKなので、家で作業もできます。課題はアップロードして提出していますね。

たとえば2年生には、自分の好きな本を紹介するブックトレーラーをiMovieでつくるという課題がありました。つくった動画は文化祭で流していて、授業で作って終わりではなく、発表の場が用意されていることも、本人たちのモチベーションになっていると思います。

TCSではテーマ学習が多いですが、4年生からは「個学」という時間があって、スタディサプリを各自それぞれ進めることになっています。各教科、自分で計画を立てて、ヘッドホンをしてそれぞれのペースで進めていきます。

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―― 1人1台のタブレットは、これから公立校にも導入されて、メジャーな学びの形になっていきそうですね。プログラミングなどにも取り組んでいますか?

ケイ:1年生からITの授業があるので、低学年のうちから、プログラミングには触れる機会がありますね。さらに高学年になると、『ハイ!テック』という探究領域「万象究理」のテーマ学習があり、プログラミングして何かアウトプットするっていうことをやります。

毎年TCSの文化祭ではカフェをやるのですが、その会計が現金で毎年すごく大変だということで、今年は「Tペイ」っていうアプリを5-6年生がつくっていました。ちょうど文化祭の日の朝にギリギリそのアプリが完成したらしくて、遊びに行ったらTペイで決済できるようになっていたので、カフェの注文がとてもスムースで驚きました(笑)

ちなみにカフェは、自分たちでメニューも決めて、保健所に行って許可をもらったり、仕入れや在庫管理もしています。今年は「マカロニサラダは火を通さないし食中毒の危険があるね」と保健所に却下されたメニューもあったみたい。いろいろ工夫しながら毎年進化しています。

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―― Tペイ、面白い!ちゃんとニーズを拾って学校運営に役立つ物をつくるというのが、いいですね。

さて午後に教室をのぞいてみると、のこぎりを持って木材を一生懸命に切る子どもたち。どうやら椅子をつくろうとしているようですが…?

ケイ:これは「社会寄与」領域の、『いい仕事してますね。』というテーマ学習です。木工職人さんの仕事を見学に行って、自分たちで設計図を書いて、トンカチやノコギリを使って椅子や家具をつくります。

なんで「社会寄与」なのかっていうと、学校生活に必要な物をつくっているんですよね。学校生活を豊かにするために、自分たちでつくって、できたものを学校に納品する。学校のあちこちの机や椅子や棚も、よく見ると上級生がつくったものがたくさんあります。

社会寄与領域では、こうやって所属するコミュニティに対して自分に何ができるかを学んでいきます。「役に立つには”いい仕事”をする必要があるけれど、”いい仕事”って何?」と問い続けて考えやスキルを追究するんです。

―― どこの学校でも工作の時間などはあると思いますが、こういう風に「何のためにつくる」と意味づけされると、また違う学びになりそうです。

アプリでも椅子でも、学校運営で必要なものを自分たちでつくり、目の前で仲間に使ってもらい、フィードバックを受けて…というのは、いい体験ですね。

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