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人生を楽しむ余裕

どうして現代人は精神的な余裕がない人が多いのでしょうか。

僕の周りの大学生は、バイトやサークル、就活など予定を詰めすぎて「キャパる」人も多いし、旅行も遊びも勉強も、全てにおいて「コスパ」を求めます。

電車の中の20代のサラリーマンを見ていると、大抵スマホを見ているか、自己啓発書を読んでいます。小説を読んでいる人はあまり見かけません。

それ以上の年代の方も、よほどの激務でない限り物理的には毎日7時間は寝られるはずなのに、帰宅するとだらだらしてしまい、寝るのは午前1、2時という方も多いのではないでしょうか。

よくニュースでは、若者の出生率の低さ、未婚率の高さを「若者の経済的な苦しさ」のせいにする論調を見かけます。

若者が結婚し、安心して出産できないのは非正規雇用が多く、経済的に不安定だからだ。若者にもっと投資をすれば少子化は食い止められるのだと。

確かに、お金がなければ婚約指輪も買えず、結婚式や新婚旅行もできませんし、当然子どもを持つ余裕はありません。そもそも一人暮らしでカツカツの生活を送っている人は、恋人すら作る余裕がないかもしれません。

しかし、僕は少子化の理由は経済的要因だけではないと考えています。少子化のもう一つの理由は、冒頭に述べた「精神的余裕のなさ」だと思っています。

精神的な余裕のなさには幾つか理由があると思いますが、一つ挙げるとすると、インターネットやSNSから膨大な数の選択肢が提示され続けているということです。

選択肢が多いということは、自分の選択次第で上にもいけるし、また失敗すればどこまでも落ちていくということです。

社会の中で生き残るため、「うまくやること」を求められる結果、過度に生産性やコスパを求め、終わりなき成長に駆り立てられてしまうのです。

良くも悪くも、昔のように「社会に出て上を目指し、その中で身の程を知って自分なりの幸せを実現する」という社会ではなくなったのでしょう。

そして精神的な余裕がなくなるとどうなるか。答えはシンプルです。これ以上複雑なものを受け入れることができなくなるのです。

「複雑なもの」とは例えば、解釈が複数ありいつ役立つのかわからない小説や映画、買い物から調理まで多くの工程がある料理、そして他人です。

日々の生活で余裕がなくなっているのに、わざわざ他人と接して傷つくリスクを負いたくないでしょう。恋愛となればなおさらです。

結果として、日々同じものを食べ、同じ物を着、家電は持たないというミニマリズムや、FIREを目指して倹約生活を送る人が完成します。

もしくは、思考を止めて「行動と成長」を目指し、一日中副業や自己啓発に励み、周りの大切な人を蔑ろにしてしまいます。

このような状態では、仮にお金があったとしても、交際して結婚し、子育てをするということは難しいでしょう。

今の社会では、立ち止まることが許されない風潮があります。そして、いざという時のセーフティネットがなく、自己責任が強調されることもしばしばです。

しかしそもそも、自分の選択で人生が決まると考えている人は、歴史的に見ても世界的に見てもそう多くはないはずです。「神」や「運命」が私たちの人生を規定していると考えている・いた人も多いです。

上昇志向は大切ですが、運を天に任せ、予想外を楽しむようなゆとりや余裕が、現代を生きる我々には必要なのではないかなと考えたりもします。

最後までご覧いただきありがとうございました。これからもよろしくお願いします!

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