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【読書の魅力】自分に合った花が咲く〜個性的な読書感想文のヒント


1.玄関の椿

我が家の玄関には高さが五十センチくらいの木の枝に似せてある一輪挿しがあります。昨年の末あたりから妻が庭に咲いた椿のつぼみを挿しています。我が家の春は玄関の椿から始まります。(2019年2月の書き込みです)

庭には赤、ピンク、白の三色の椿があり、一輪挿しには、ある時は濃い赤のつぼみ、ある時はピンクと白のつぼみが挿してあります。

数日後には椿のつぼみは少し開き、一番の見頃になります。思わず写真に撮りたくなるくらいです。そのうちに少しだけ開いて見頃だった椿は、大きく開くようになります。一輪挿しに三本の椿を挿していたときなどはそれは見事なものでした。向日葵の花のような形に咲いてしまうと、もう盛りは終わりです。

数日後の朝、玄関の床に花びらが落ちていることに気づきます。不思議なことに朝気づくのです。つぼみのときには濃い赤だった花が満開となり、花びらが落ちる頃には赤も随分と薄くなります。それでも床に落ちた花びらは椿が生きてきた最後の美しさを感じます。

花びらがすっかり落ち、もう花ではなくなった椿の姿は悲しいですが、次の日には妻は新しい椿のつぼみを挿して楽しませてくれます。
このようにして正月が過ぎ、二月の半ばの先日、
「これで最後なの」
と言いながら、妻がピンクの椿のつぼみを飾っていました。
「今年はたくさんの椿に楽しませてもらったね」
私は椿の蕾の形を整えている妻に言いました。妻は何も答えませんでしたが、妻の自然への気遣い、家族への気遣いは、まだ寒い時期に温もりを与えてくれました。

何よりも椿の花が毎年毎年こうやって同じ時期に咲いてくれることに感謝しました。そして妻が椿のつぼみを気遣いながら、たぶん、
「ごめんね」
とつぶやきながら、鋏を使う姿を思うとき、人の幸せとはこのような自然との共演なのだなあと感じるのです。

2. 心の中に花を咲かせる。

毎日を気ぜわしく動き回り精神的にも疲れきって、不安でしょうがないときに、どうしたらこのような心の余裕ができるのだろう。この文章を読んでいる人の中には
「私にはそのような心の余裕はない」
と思う人がいるかもしれません。

もちろん、朝早くから夜遅くまで、この人手不足の時に残業残業で玄関に花を飾ることさえ忘れてしまっている。いや、そんな気持ちになれない人がたくさんおられるでしょう。
しかし、少しだけ考え方を変えれば心の中に花を咲かせることができるようになります。

それは会社の行き帰りに、休み時間に、休日に本を開いてみることです。

本は狭く硬くなった心に花を咲かせてくれます。心の花を咲かせてくれるのです。
「本は本であり、心の花にはならない」
と思う人もいるでしょう。

しかし、本を読んだ時間、たとえそれが十五分であったとしても、その時間だけは本に没頭することで、何もかも忘れることができるのです。

私たちが花を見るときのことを考えてみましょう。花壇の花でも、一輪挿しの椿でも、花を見ているその瞬間は他のことは忘れているのです。もちろん、見ている瞬間だけかもしれません。しかし、私がこの文章の前に書いたように、椿のつぼみのことを考えている間も、心は他のことは忘れているのです。

心の中に花が咲いている時、他のものが入ってくる余地がなくなるのです。いわゆるマインドフルネスの状態です。

📌心に花を咲かせるとは、本を読むことです。本を読んでいるときは嫌なことを忘れています。本は心に花を咲かせることができるのです。

好きな本を一冊手に取ってみてください。写真集だって漫画だっていいですよ。パラパラとめくってみてください。

その瞬間、本を読んでいる時間のなんと静かで自由だろうかと思います。この静かで自分だけの自由な時間……考えてみれば、この自分だけの自由な時間はとても貴重なものです。心の花を咲かせるとは自分だけの貴重な時間を心の中に持つことなのです。

会社にいるときは仕事をしなければなりません。自由な時間なんてないですよね。窮屈な気持ちにもなります。このような状態が続くと心身とも不調になります。本はあなたの不調を救ってくれる心の花なのです。

3. 今のあなたに合った花が咲く。

例えば太宰治の小説は暗くて嫌だなと思う人もいるでしょう。
「太宰治の小説を読んでも心の花なんて咲かないよ」
と思う人もいるかもしれません。しかし太宰治の小説を何冊も読み、彼の人生を考えるとき、私の心の中には家の玄関の椿がつぼみから大きく開き、花びらが散るまでの椿の一生を、小説の中に感じることができるのです。心の花は華やかなものばかりではありません。心の花は、実は、今の自分に合った花をきちんと咲かせてくれるのです。

あなたが好きな本は何ですか? あなたはどんな本に感動しましたか? もう一度その本を手に取ってみましょう。二度でも三度でも読んでみましょう。子どものときに感動した本は、それこそあなたの心の花になるのです。

📌あなたの心の花を一冊バッグに入れておきましょう。心が狭くなったとき、心が寂しくなったときに、あなたの心の花を取り出してみましょう。

📌その時、あなたの目の前に、今のあなたに合った花が咲いているのです。

個性的な読書感想文のヒント
 季節になると花が咲く。
 本は心の中に花を咲かせてくれる。





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文字を媒体にしたものはnoteに集中させるため
ブログより移動させた文章です。

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