条件:「お客様の声」20件以上
セールスコピーライターの谷本 理恵子です。
もともと私は「売れる文章」の制作代行業であるセールスコピーライター(セールスライター)出身ですから、ご依頼を請けた場合には「まったく知らない商品やサービス」を「まったく知らない方」に売ることになります。
つまり、短期間でいっきに勉強して、あたかも専門家のように語れなくてはいけませんし、依頼主になり代わってゴーストライティングしなければいけませんし、そもそも圧倒的に数字を出すことが前提のお仕事です。
けれど、セールスコピーライティングは、決して「魔法」ではないんですよね。
そもそも「売れない商品やサービス」を売ることはできませんし(詐欺師ではないので)、本来的には、ゼロからの立ち上げをお手伝いする仕事でもありません(売り物があるのが前提)。
つまり、もともと小さく売れている状態のものに、いっきにレバレッジをかけ、一を百にも千にもする時にお役に立てる知識でありスキルが、マーケティングやセールスライティングなのです。
もちろん、そんな風にきちんと結果を出すためには、最低限必要な条件が、存在します。
そして、この条件は、私と同じように、マーケティングやセールスライティング、コンサルティングなどの仕事を受注する方にとっても、依頼する側にとっても、おそらく役に立つ基準になっているのではないかと思います。
なので、たまに後輩のライターに相談された時にお伝えして、「なるほど!それいい!!」と言っていただくことの多い「私自身が案件を請けるときにお伝えする確認事項」を説明してみますので、もしパクれるところがありましたら、気軽に真似してみてください。きっと、依頼される側にとっても、依頼する側にとっても、幸せな結果につながりやすくなるはずです。
条件以前:外注するには、まだ早い
しつこいようですが、セールスライティングは魔法ではありません。ですから、もし「誰に売っていいのかわからない」なら、まず自分で売ってきてください。話はそれからです。
そもそも「誰が買うのか」も「なぜ買うのか」もわからないものを、他人に丸投げすればうまくいくなどという甘えた発想自体が、うまくいかない元凶です。
新商品であっても、同様です。無形商材なら、モニターとして試してもらうのは簡単ですが、通販など形がある系の商品でも、現品の有償サンプルを作って、誰かに使ってもらえばいいんです。親類縁者も友人も、使えるツテとコネはすべてたどって、先に使っていただき、リアルな感想を聞くのが先です。とにかくお客様の率直なお声を集めてきてください。
そもそもの話、私は「売る」ことについてはプロであると自負していますので、依頼主の説明を信用していません。もし自分たちの力でじゅうぶんに売れているならば、うちになんて依頼してこないはずだからです。
つまり、どんなに「それっぽい資料」がたくさんあっても、これまでに作った「立派なチラシやパンフレット、ホームページ」があっても、結局は、自分たちの思い込みを展開しておられるにすぎない可能性が高く、もし既存の説明をそのまま信用してして作ってしまったなら、「売れないもの」ができ上がってしまう確率は非常に高い、ということになりますよね。
事実、依頼主が強調していたポイントと、お客様が価値を感じている特長が一致していることは、まずありません。私の経験上は、ゼロです。使うべき言葉も、たいていズレていますから、派手に割り引いて考えなくてはいけないのは当然です。
となると、私が信じられる資料は、ただ1つ。既存顧客の声しかないわけです。その重要な材料がないままで「売れる文章」など作れるわけがありません。「材料」無しで「料理」はできないんです。
ですから、「まだ、全然売れていない」という場合には、順序が逆です。まず、自分たちで売ってきてください。
厳しいようですが、あなたのビジネスなんですから、その程度の気合すらないなら、はじめから商売をやる資格がないと言わざるを得ません。だって、もし「24時間以内に1つも売れないなら、家族皆殺しになる」なら、なんとしてでも売ってくるんじゃないでしょうか。ということは、やろうと思えば誰でもできるような簡単なことを、やってないっていうことです。
そんな舐めた気持ちでできるほど、商売は甘くないんです。言葉は悪いですが、顔洗って、出直してきてという話です。
条件1:お客様の声、最低20件
「細々と売れていて確実に喜ばれる商品やサービスだから、これをもっと拡げていきたい」という場合には、実際にその商品を使ったお客様の声(もしくはモニターの声)が20件以上あることが、最低ラインになります。
楽天市場やAmazonなどに出品している場合には、該当商品のレビューが20件あれば、とりあえずはこの条件を満たしていることになりますが、そうではない場合には、単に自社アンケートなどを使って、既存顧客の声を集めていただければいいだけです。
なぜ20件以上なのかには、経験則上、いくつか理由があります。
1つ目の理由は、アンケートやレビューには、イマイチ使えない内容のものも含まれてくることが多いのですが、それでも20件あれば、おおよその傾向がつかめること(もちろん、数は多ければ多いほどいいので、たくさんあるなら、生データのままで構いませんので、すべて共有していただくと、より精度が高まります。たいてい、依頼主が「これは要らないかな」と思う方の資料に、重要情報が含まれています。なお、「どんなアンケート項目にすればいいのかよくわからない」といった場合には、ぜひ先にうちのオンラインサロンをチェックしてください。すでにいろいろなパターンが過去投稿にあると思いますが、聞いていただければ、あなたの商材に合った形を具体的にお伝えできます。もしくは、うちの「入門講座」にも、ざっくりした内容入れてますし「ライティング講座」には、もっと詳しい話を入れています)。
そして、もう1つの理由は、依頼時には「お客様の声あります」と堂々と嘘をついてくる人がいるからです(私だけじゃなく、あちこちでよく聞きます…)。
必要なのは3件や10件の声でなく、最低で20件です。これが、もし必要数10だったとすると、簡単に「誤魔化そうかな」という気になれるかもしれませんが、はじめから20必要と言われてしまうと、さすがに「本腰を入れて集めないといけない数」だと認識されるようで、威嚇というか駆除というか、とにかく「本気でない人」を弾ける可能性が高くなります。
なにも、嫌がらせをしたいわけではないんです。「自分のお客様についてのリアルな情報がないまま、どんどん突き進んでいこうとしている」危なっかしい人を、今ここで止められるかもしれないのは、外注先のあなただけなのですから、依頼主のビジネスの発展を心から考えるならば、そんな「賭け」みたいな話に乗るべきではありません。
どうにかして、この機会に「会社の角でホコリをかぶっているアンケートを引っ張り出してきていただく」か「実際の購入者の方に、改めてご感想をいただける」ように、説得してみてください。ちゃんと話せば、こちらに理があることは、絶対にわかってくれるはずです。
だって、相手は「売りたい」んですよね?「売れる文章」を作るために必要な「材料」がない状態で、無理に書こうとしたら、当たるも八卦の博打にすぎなくなるのに…ホントにそれでいいんですか?って聞けば、良いはずないに決まってるじゃないですか。
条件2:インタビューできる顧客数、最低3件
「お客様の声」が20件以上すでに集まっていることは最低限の足切り条件みたいなものですが、さらに、こちらから直接インタビューできる上得意のお客様を3人以上紹介していただけることも、とても重要です。
既存のお客様で「この人あと100人増えたらいいのにな」と素直に思える人の中から、ちょっとした頼みごとができるような関係性の良い方にお願いすればいいだけです。しかも、ただ「1対1での1時間くらいの世間話」にお付き合いいただくだけなので、思っているほど難しい話ではありません。
パッとすぐに顔が浮かんだ人で構いません。 なんならスタッフや家族などの関係者でも問題ありません。「すごく気に入ってくれているヘビーユーザー」であるに越したことはないのですが、話を聞くことができる機会があるなら、正直、どんな人であっても参考になります。
さらに、3人という数字にも、当然ながら、意味があります。
インタビューの中で1人の方が言っただけの意見を、そのまま「全体の総意」だと考えるのは危険ですよね。それに、2人だと「偶然の一致」が起こり得るかもしれません。
けれど、もし3人の方が共通して言った内容であれば、それはそのまま「お客様が、あなたの商品やサービスについて、一般的に思っていること」だと考えても、それほど外してはいないでしょう。
セールスライターにとっては、この顧客インタビューこそが、最大にして最高のヒントが得られる場であり、「売れる文章」を作るには欠かせない情報源になるのですが、実は、コンサルティングや社内研修などをさせていただく場合にも、この情報なしでできることなんて、しょせん表面的で場当たり的な施策にすぎませんから、どんな場合でも非常に重要だと、どれだけ口を酸っぱくして言っても、言い足りないくらいです。
ですから、少なくともご自身でインタビューしていただくか、私がインタビューを代行するか、一緒に同席していただくなどしてインタビューをOJTでトレーニングするかのいずれかが必須だと、私は考えているわけです。
「いったい何をどう聞けばいいの?」という方は、ぜひ新刊の『ライティングは「宝探し」』を読んでいただければ、顧客インタビューの仕方を手取り足取りめちゃくちゃ詳しく書いてますので、ぜひ。
それに、そもそも論で言えば、私は「自分のお客様に、ちょっとした頼みごともできない関係性」は不健全だと考えています。
もし、自分たちの商品やサービスを気に入ってくれていると確信しているならば、お客様に連絡して「気に入っている理由を詳しく聞かせてください」と依頼するくらいのことは、難しくはないはずです。お客様にとっても、お気に入りのメーカーや販売店から意見を求められることは嬉しいはずですよね。
にも関わらず、「インタビューの依頼」なんて、やたら心理的ハードルが高いと感じる方が多いので(本当は、やってみると拍子抜けするほど簡単なんですけどね)、「インタビューできる顧客を3人」という条件は、実は、どれくらい本気なのかを見極める試金石だとも言えます。
勘違いされがちですが、プロのセールスコピーライターだって、短時間でパパッと簡単に書いてるわけではないんです。本気でリサーチして、ものすごく悩んで、身を削るような気持ちで、命をすり減らしながら書いています。軽い気持ちで依頼されて、途中で「やっぱ止めた」などと言われたら、たまったものではありません。
つまり、やろうと思ったら誰でもできるはずのことを「無理です、できません」というような人とは、はじめから一緒に仕事したくないし、簡単に諦められるくらいの話なら、はなから巻き込まないでいただきたいわけです。こっちは本気なんで。
条件3:決裁権者同席
こちらが大きな組織でやっているなら別にいいのですが、自分がライティングも請求も連絡も何もかも一人でやっているような規模感なら、その場ですぐに決まらない話には、関わらない方が無難です。
改めて「上の人」と会議をしなきゃいけないなら時間効率が悪いですし、相手先が稟議に時間がかかっているうちに、こっちは何の話だったかも忘れてきます。脳のキャパシティも、稼働時間も有限なのですから、できるだけコンパクトに行きたい。
別に社長や役員が同席しろと言っているわけではないんです。単に、担当者がYESと言ったら、上がそのまま通してくれるとか、肩書は何もなくても、マーケティング全体のデザインをその人がしているといった案件なら、後から誰かに確認しなきゃいけないような話はありませんし、互いにその場で即決していけるので、ノーストレスですよね。
けれど、契約するかどうかの打ち合わせに「その場で決められない人」しかいないとなると無駄も多いですし、早い話が「なめられている」とも言えるので、あとあとやりにくくなってしまいます。なにも「礼儀」の話をしているのではなく、極度に専門性の高い職種だから、という特殊な事情が理由です。
というのも、実際にはじまってみると、そのジャンルにおいての知識や経験はこちら側に多くあるわけですから、ある程度は信用していただき、言う通りに動いていただかないと、依頼主が欲しい結果が得られない、という場面はたくさんあります。
つまり、少なくとも対等な立場、なんなら、できれば、ちょっぴりこちらの方が上のポジションを取れなければ、お互いに仕事にならないし、結果が出せないわけです。
何ができて、何ができないのかを明確に
何度も言うようですが、セールスライティングは、決して「魔法」ではないんです。マーケティングという一連の流れの中の一部を担っているにすぎませんから、全体がわかっていないといけないし、そもそも何ができて、何ができないのか、明確に説明して、納得していただいた上で仕事を進めていかないと、依頼主は「本来、欲しいと思い描いていたはずの結果」が得られないし、セールスコピーライターも自分の非ではないのに「数字が取れない人」というレッテルが貼られて、この世界で行きていけなくなりますから、互いに不幸です。
でも、冷静に考えてみれば、どんなジャンルでも、あまり知識がない状態の人は、ついつい「これさえあれば」と、やたら大きな期待をしがちなものですよね。たとえば、ダイエット業界では、昔から「りんごを食べるだけ」とか「毎日体重測るだけ」とか「糖質制限するだけ」とか「足パカ運動するだけ」とか…
英語業界でも「聞き流すだけ」とか、情報商材に至っては「ボタンをクリックするだけで稼げる」などと、とにかく単純なものが流行るわけです。
当然ながら、自分が専門知識をもっている分野であれば、そんな夢物語は信じないでしょうが、素人とは、そういうものなのです。
なので、依頼主は、丸投げすれば「売れる文章」が自動的にできてくるし、なんなら、デザインもオマケについてきて、勝手にどんどん売れ始めるに違いない、くらいなことを思っていて当然だと言えます。リサーチに協力するとか、資料を用意するなんて発想は、はなから持ち合わせていません。
それどころか、「そもそも必要のない文章」を依頼しようとされることも多々あって、「ちょっと待って!それ作ったとして、誰見るの?その人、どこからどうやって、ここにたどり着けるの??自然に湧き出てくるとかないよ?!」と言って止めるとか、いやいや、問題はそこじゃない、みたいな話も多いわけです。
だからこそ、依頼を受けた側が、上手に誘導できる必要があるのです。
ストレートにダメと言っても、どれだけ言葉を尽くしても、はじめてであればわからないことだらけで当然です。だからこそ、うまく条件を設定することで、自然と気づかせることができれば、いいですよね。
もし、そのためのヒントとして、この記事がお役に立てたなら幸いですし、もし「これで合ってるのか不安だ」と不安になったら、ご相談いただければと思います。
今、あなたが困っていることの大半は、依頼主側からも依頼を受ける側からも、たくさんのご相談にのってきている中で、みんながぶち当たる問題ですし、私自身もかつて両サイド経験してきていますので(通販の運営責任者とか、今のうちの会社の業務とか、発注側もよくやってるんです)、お伝えできることは、たくさんあります。
このところ、うちには「セカンド・オピニオンが欲しい」という方だけでなく、セールスコピーライターやデザイナー、広告代理店やコンサルタントといった支援業の方もよくいらっしゃいます。「谷本ゼミ」というグループコンサルと、3つのコースが選べる「個別コンサル」などをやっていますので、適宜ご活用いただければ幸いです。
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