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アイデアが提供者視点に寄ってしまう罠

こんにちは!株式会社NTTデータのデザイナー集団「Tangity」でサービスデザイナーをやっています Yujin です。

「自分達で考えたアイデアをブラッシュアップしたい」そういった相談をいただくことがあります。
しかし、いざアイデアを聞いてみると、ビジネスモデルや実現方式はすごくよく練られているものの、肝心のユーザー視点で見ると「このサービスは誰がどう使うのだろうか…」と思ってしまうものが多々あります。
これってどうして起きるのでしょうか?私なりの考察を今回は書いてみたいと思います。

1. 誰もが陥る罠なんです

最近ノンデザイナー向けにデザイン思考をライトに体験いただくデザインシンカー研修なるものを社内、社外色々なところで講師をさせていただいます。
2 日間の研修でDay1(ペルソナ立ててアイディエーション)〜インタビュー〜Day2(アイデアのブラッシュアップ)という流れになっています。
みなさんDay1で「このサービスあったらいいよね!」と嬉々として帰られるのですが、インタビュー後のDay2では「思ってもない声ばかりで…」と軒並み全員が神妙な顔つきに変わります。
その後インタビュー振り返りから得たインサイトを元に、みなさんユーザー視点が強くなりアイデアの質がガラッと変わる本当に面白い研修です。

話が逸れましたが、ペルソナを書いてアイディエーションしたにも関わらずユーザー視点にならない、ここにはみなさんが陥いりやすい罠があります。

2. 罠の正体とは

端的に言うと“あなた”から“ユーザーが遠い” ことによるユーザー視点の希薄さです。
あなたの日常触れ合わないユーザーであったり、会うことはあってもあなたの意思決定プロセスに影響しないユーザーはあなたの中で必然的に比重が低いのです。
逆に自分から近い”仕事” ”上司” ”連携先企業”については重要度が高く、誰も言わずとも思惑が溢れ出てきて自然とアイデアに盛り込もうとされます。
これはある種必然です。”仕事””上司”については想像もしやすいでしょうし、何よりそれらの意向を組んでおかないと障壁になることが目に見えているのでみなさん無意識にその思考になってしまう。
この状態でいくらアイデアを練っても”どうやって儲けるか” ”どうやって実現するか”といった部分ばかり突き詰めてしまい、肝心のユーザーは置いてけぼりです。(このモードの方に「どういう動機でユーザーはこのサービスを利用するのか?」と尋ねると、大概「このサービスの素晴らしさ」というズレた説明が返ってきます)

これだけ聞くとありきたりな答えだと思われるかもしれませんが、実はこれが意外と根深いのです。
というのも、その状態のあなたは ”バイアスの盲点” の罠にかかっているからです。
バイアスの盲点というのは、「自分自身の判断に対するバイアスの影響を認識できない」という認知バイアスの一つです。
本人はユーザー視点で考えているつもりでも、思い込みや先入観、さらに上記の提供者視点の強さに気づくと引っ張られてしまうのです。

3.回避策

“仕事” “上司”と同じように”ユーザー”についても身近に考えられないでしょうか?
簡易的な方法として、私は “頭の中で対象ユーザーにサービスを提案すること” をオススメします。
エスノグラフィーやインタビューができたら理想ですが準備や実施に時間がかかりますので、これなら1分でできます。

2年目の時に先輩社員に「パワポ資料を作るときは“読み手”を意識して書け!」と言われたことを思い出します。
仕事でこれを意識してない人はおそらくいませんよね?
同じことを ”サービス” を考える時には”ユーザー向け”にやりましょう。ということです。

  • サービスの説明は簡潔に伝えられていますか?

  • そのサービスの価値は伝わりますか?

  • そのサービスを相手が使うと思って訴求できますか?

  • サービスの素晴らしさだけ延々語っていませんか?

詰まった部分はクリアになっていない証拠です。

もちろん想像だけでユーザーニーズを汲み取ることは難しいのでインタビュー等の調査プロセスは必須ですが、その前段階で自分のアイデアがユーザー視点になっていそうか、自己確認の一つとして使ってみていただけたら幸いです。

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