君島登茂樹さん GOFUKU/HAKKO MONZEN

自分らしく生きるってどういうことなんだろう。

自分の生きたいように生きることって難しいことなんだろうか。

そのためのヒントは、自分の、心と身体の声に耳を傾けてみること。

あの人が辿った道から、そこにあるこだわりや気づきを知れば、自分らしく生きるヒントが見えてくるはずだ。


長野市のGOFUKUやHAKKO MONZENなど長野県内でいくつかの飲食店を経営する君島登茂樹さん。

古民家の温かい雰囲気に包まれた店内では、地元の野菜や調味料を使ったおいしい料理が提供されています。近隣のお客さんや観光客で賑わい、イベントを開催することもあるなど、飲食店の枠を超えて価値を提供しています。

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お店で、まちの中で、人とのつながりを大切にしながら仕事をする君島さんは、自分のやりたいことと働くことが違和感なくつながっているように感じられます。

肩の力が抜けているとても自然な笑顔は、「この人は自分の心と身体に正直に生きている」と思わせるような。

君島さんの経験やそこから生まれた飾り気のない考えから、身体と心に正直に生きるためのヒントを探ります。

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本日はよろしくお願いします。
君島さんは長野市出身で大学は東京に行っていたとお聞きしていますが、そのときに長野と東京の違いなど、感じていましたか?

もともと、子供の頃から趣味で家庭菜園をしていた祖母の野菜を食べて育ったんです。それから大学で東京に出て一番の衝撃は、野菜が美味しくないことだった気がします。値段は高いし、味がしない。いつも食卓に、当然のようにおいしい野菜が並んでいたことは当たり前じゃないと痛感しました。

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飲食の仕事を志したのはいつ頃だったんですか?

もともとは家業のアパレルを継ごうと思っていました。しかし、祖母から「一度は外の会社からもらったお金でご飯を食べなさい。」と言われ、就職活動を始めました。そこで感じたのは、自分も相手の企業も正直に話ができているのかという違和感で。面接の時に、一次、二次、役員面接で毎回同じ理念やビジョンに関しての質問をしたことがあったんですよ。そうしたら、企業の中の立場によって答えが違った。就活のシステム自体や大手の企業で働くことへのわだかまりは大きくなっていきました。それで、行きたかった企業の内定も少なく、不安とか、葛藤とかが溜まって身体を壊してしまったんです。その頃は食生活が偏りがちで主食がもやしだったりもしたので、異変が出るのは当然だったかもしれません(笑)。

身体を壊してから食と向き合うようになったんですね。

そうですね、この頃職や健康に対する意識が変化してきて、病気に対しても自然の力で身体を治したいと考えるようになりました。これも祖母の影響が強くて、実家で畑を手伝いながら日光の光を浴びたり土を触ったりすることが身体に良いということを祖母との暮らしの中で体感できたんです。

その後、起業の道を選択した。

自分が身体を壊している間にバリバリ働く友人を見て、負けたくないと思いました。はじめは、父のアパレル業の手伝いから始めました。しかし、セレクトショップの接客、運営が主な仕事でしたが、大量に作られたものを安く仕入れて出来るだけ多く売る仕組みに疑問を持つことが多くなったんです。なんで、自分が心からいいと思わないものを売ろうとしてるんだ、と考えてしまって。
同時に、自分の身体を作っている食への関心も大きくなっていきました。アパレルの仕事をする傍ら直売所を巡り、売っている野菜の作り手さんに片端から電話をかけて話を聞く。そうしていると、市場の価格や情報には農家さんそれぞれのこだわりや愛情が表現されていないことに気づいたんです。それで、お客様に生産者のこだわりを直接伝えることが出来る飲食店をやることを決意しました。

君島さん自身のこだわりや経験を一番反映できる場所が飲食店だったんですね。

そう!自分の生まれ育ったまちである権堂で、自分の身体を支えてくれた食や、良いと思える農家さんの野菜を伝える店として Farmers Kitchen GONDO を始めました。農家さんから直接仕入れた野菜を店先で売りながら、野菜を使ったカレーを出すことで、農家さんから飲食店、お客さんへと違和感なくつながっていく野菜の循環を作り出したかったんです。
そうして場を持つと、一緒にやれる仲間ができたり、新しい人との出会いがあったり、動けば動くほど道が開けていくような感じがしたことを覚えています。

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病気をされた経験を乗り越えて自分のやりたいことを実現している君島さんのメンタルの強さというか、踏み出す強さってなんだと思いますか?

自分のやりたいことに挑戦して失敗しても、死にやしないですから(笑)。ただ、人間はいつか死ぬ。自分のやりたいことがあるなら少しでも早くやったほうがいいし、1日1日アクションしないことをもったいないと思えることが、踏み出す強さに繋がると思います。だから、自分にとってはやらないことの怖さの方が大きいですね。病気をしてしまった時に、自分の思い通りにいかなかった経験が原動力になっているような感じがします。

君島さんのお話を聞いていると、生きることと働くことが違和感なくつながっているなあと感じられます。

そうですね、まさに。アパレルをやっていた頃に感じていた違和感は、仕事と生活の切り替えをすること自体に感じていた気がします。自分にとって仕事をすることと、生きることはつながっていて、その根元にあるのは好奇心だと思います。好奇心を持っているから仕事が、生活が楽しくなっていくし、自分の世界がどんどん広がり続けるんです。

現在、長野市にてGOFUKU、HAKKO MONZENの二店舗を経営されていますが、お店を通してどんなことを伝えていきたいですか?

昨年の9月にオープンしたHAKKO MONZENでは、地産の野菜はもちろん、地域の発酵食品を使って料理を提供しています。GOFUKUは、そう言った料理にも合う県内のクラフトビールも。飲食店の役割は、食を通して地域のことや新たな発見をご提供することだと思っていて。洋服屋さんで試着をするように、自分の生活と身体に取り入れるためのお試しの場のようなイメージを持っています。
同時に、農家さんと食卓の間の立ち位置でもあって。GOFUKUでは地域の若手の農家さんと出会い、食材について学べる場をつくったりもしています。作り手のことを紹介することで、食材について気づきや興味を持ってもらいたいし、それに関してお客様自身で好奇心を持って深掘りしてもらいたい。両店で扱っているものやコンセプトは違うけれど、基本的な目的や大切にしている想いは同じですね。

食材とも、人とも出会いの場になっているんですね。

そう。お客様が家に帰った後のアクションにも繋がるような仕組みも作りたいなと思っています。店舗での説明ももちろんだし、レシピ公開なども。家庭に持って帰ってもらって、楽しんでもらえたらいいな。そこまでのコミュニケーションを大切にしたいですね。

実際に使われている食材は、長野県内のものが多いんですか?

そうですね。これからその点へのこだわりをもっと深めていきたいですが、課題のひとつでもあります。商売として続けていく上で、やはりコストは考えなくてはいけないから、こだわりとのバランスが難しいですね。できることなら、油もお米も、調味料も、全ての食材にこだわり抜きたいですが、まだ各店舗の全食材のうち約60%〜70%しか県内産を使えていません。

オーガニック食材を使うことも意識してらっしゃるんですか?

そうですね。オーガニック野菜を作ってらっしゃる農家さんとのつながりもあります。ただ、オーガニックしか使わないっていうこだわりを持っているわけではなくて。一番大切にしているのは、どんな人が作っている食材か、です。そこを突き詰めていったら、オーガニックも魅力的な食材の一つという感じです。

とても共感できます。正解を示すわけではなく、選択するに至るまでの気づきやヒントを示すというか。そうやって寄り添うことができる存在が飲食店なんですね。

そうです。働いているスタッフにも、できるだけ楽しんでもらいたい。食材とか料理に好奇心を持って知ってもらって、同じようにお客様にも面白がってもらえたら。そうやって、お店で働く人、食べに来てくださるお客様、それぞれの内にあるイズムを大切にしてもらいたいですね。

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君島さんのこれまでの生活を聞いてみると、「食」が人生の基盤でもあり、羅針盤のように考え方の指針にもなっていました。

君島さんが、生活や自分の価値観を丁寧に紐解いていって食を大切にするようになったように、自分のことを見つめ直す時間をとることがとても大切なのかもしれません。


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古民家 dining BAR GOFUKU

〈住所〉
〒380-0833
長野県長野市鶴賀権堂町2300

〈営業時間〉
11:30~15:00 (14:30L.O)
18:00~22:00 Food L.O /22:30 Drink L.O

〈定休日〉
月曜日

〈電話番号〉
026-217-7391


〈ウェブサイト〉

https://gofuku.owst.jp/

〈facebook〉

https://www.facebook.com/gofuku.at.nagano/

〈Instagram〉
https://www.instagram.com/gofuku_at_nagano/

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HAKKO MONZEN

〈住所〉
〒380-0832 長野県長野市東後町16-1-1F

〈電話番号〉
026-266-0909

〈メールアドレス〉
hakko.craftfood@gmail.com


〈営業時間〉
ランチ 11:00~15:00(14:30L.O)
ディナー 18:00~21:30Food L.O /22:00Drink L.O

〈定休日〉
月曜日

〈facebook〉

https://www.facebook.com/hakko.monzen/

〈Instagram〉
https://www.instagram.com/hakko.monzen/