小島剛さん amijok/NorthSouthEastWest

自分らしく生きるってどういうことなんだろう。

自分の生きたいように生きることって、難しいことなんだろうか。

そのためのヒントは、自分の、心と身体の声に耳を傾けてみること。

あの人が辿った道から、そこにあるこだわりや気づきを知れば、自分らしく生きるヒントが見えてくるはずだ。


”無邪気”な笑顔が印象的な小島剛さんは、長野県松本市のamijok、長野市のNorthSouthEastWestを営んでいます。

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両店舗はマフィンが人気のカフェです。2店舗を訪れてみて感じるのは無理のないおしゃれさと心地よさ。その空間を作り出した小島さんの雰囲気とどこか似ているように感じました。

2020年春にオープンしたNorthSouthEastWestは、アウトドアの提案をするNATURAL ANCHORS、北欧を中心としたヴィンテージ家具を扱うPh.D.とともに場をつくっています。
信頼できる仲間とともに、新たな挑戦をはじめた小島さんは、何を道標として進み続けているのでしょうか。

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本日はよろしくお願いします。いきなりですが、カフェを始めるに至るまで、葛藤やもやもやを抱えていたことはありましたか?

 よろしく〜。そうね、なんだか、20代の頃はずっと頭で考えがちだった気がします。何かをやりたいと思った時にどうすればいいんだろうと方法を考えてしまうことが多くて。気持ちを優先できてはいなかった。ワクワクすることを大切にしようと心から思えるようになったのは、29歳の頃。カフェを始める3年前で、いろいろなことが重なってすごく気分が落ち込んでたんだ。それで、ゆっくり自分の心と向き合う時間がとれた。本当にやりたいことって何だろう、自分にとって大切にしたいものってなんだろうって考えた時に思い浮かんだのは、子供のころの遊び場だったの。

子供の頃?

 そう。小さい頃、何も考えずに外で遊んでいたら、友達が集まってきて、楽しい風景が自然とできていった。あの時間は、みんな遊びに真剣で、ありのままだった。自分の中の原風景として大切にしているね。

確かに、子供のころ遊んでいる時は確実に素ですね。

 そう。大切にしたい原風景に気づくことができてからすぐに自分のお店をはじめることを決めた。奥さんと、2人とも洋服が好きだから勉強するためにアパレル業に勤めたりもして。なんでお店をやりたいのか、丁寧に見つめ直す時間もとった。そうやって深ぼっていくと、物の良さを伝えることとか、人との関わりが好きなんだと気付いたんだよね。それで、多くの人との関わりの幅が広いカフェを選びました。

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小島さんは人との一対一で向き合うこととか、人が集って形づくられる地域を大切にしている印象があります。実際にカフェをやられていて、大切にしていることはありますか?

 人やまちとのの関わりは、確かにずっと大切にしているかもなあ。自分たちが街を良くしていくきっかけになれるかも、っていうくらいゆるいもので、あえてそういう曖昧さみたいなものを大切にするようになってる。これは、お客様との向き合い方にも通じていて。amijokを始めた頃は、こうあるべきだっていう気持ちが強かったんだ。例えば、「来店されたお客様全員に話しかけよう」とか。でも、ある時期からゆとりが大切なことに気づけたんだ。お客様ごとに楽しみ方は違うし、過ごし方の余白を残しておくというか。

お話しいただいた、原風景の遊び場にもつながる気がしますね。人が自由に行き来して、自分の気持ちにしたがって動き続ける感じ。
お店の中を見ていると、細かいところまでこだわりがあるように感じられますが、マフィンなど、出している商品にもこだわりはありますか?

 こだわりはない!!(笑)…と、言い切れるのも、余白が大切だと思えるようになったからで。こだわりという形の押し付けをしたくないんだよね。

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このインタビューでは、オーガニックマーケットの派生として、「食」「農」のキーワードを持っているんですが、小島さんのお話を聞いていると、小島さんの生き方自体に考えるヒントがあるように感じられます。そのあたりどうでしょうか。

 う〜ん、言い方によっては感じが悪くなってしまうかもしれないけれど、オーガニック野菜を取り扱っている農家さんってすごくこだわりが強い人が多いんだよね。でも、そのこだわりって、時に足枷になってしまうかもしれない。
僕自身、オーガニックにとても関心はあるけれど、お肉とかコンビニのジャンクフードとか大好きだもん。でも、そういう人がいていいと思うんだよ。選択できるような余白をつくっていきたいし、絶対はないと思う。

確かに、ひとつの正解のようなものを示されてしまうと、苦しくなってしまうことありますよね。選択肢を増やすことがとても大切なのかも。

 でも実際のところ、無農薬で育てた野菜ってすごく美味しいよね!すごく手間暇かかっていて丁寧に作られているのがわかるし。NorthSouthEastWestの二階にあるLight houseでもオーガニック野菜を取り扱っていて、そういう野菜を身近に感じてもらえる場所になったらいいなと思うね。

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NorthSouthEastWestが今後長野市の中でどんな存在になりたいと考えていますか?

 循環するものをつくっていきたい。食は人にとってとても大切な要素だし、さっきも話に出たように、選択肢が増えたりお客さんの感性をノックできるような立ち位置でありたいです。一緒にやっているNATURAL ANCHORSは、いろいろな人がアウトドアに飛び出すきっかけになる。Ph.D.は昔から歴史のある家具を扱いながら、時を回す存在であるし。そういった関わりの中で回るとか、循環するっていうことをとても大切にしていて。

すごくわかります!人とか組織、お店などの空間って、新しい風が入らないとどんどん淀んでしまう気がしますよね。新しい風を入れると、すっきりするというか、健康的な感じです。
思うと、NorthSouthEastWestに来るのは、新しい風を入れる動作に近い気がします。自分にとって新しい発見をもらえたり、循環を加速させる場所です。

 それはすごく嬉しいなあ。ありがとう。さっきはこだわりがないって言ったけれど、身体に良いことや美味しいことへの研究を怠らないことは前提の話で。あえて出さないけれど、すごく計算された上での空間やお客様への働きかけだったりするんだよ。

今日のお話の中でも何度か「景色」の話が出ていますけれど、小島さんの、叶えたい景色が浮かんだ時にそこに一直線で向かっていく姿はとても眩しく感じます。

 やりたいことが思い浮かんだ時、よりも風景が見えた時にグワっと進むことができる感覚があって。その時に、絶対にやるんだと、自分の中で固まるの。

お店ができるずっと前だったと思うんですけれど、雑誌のBRUTUSの表紙の風景を見たいとお話をされているのを聞いたことをよく覚えています。

 そうそう!!雑誌のBRUTUSの表紙で、芝生でいろいろな人が思い思いに過ごしている風景だったんだけれど。寝転がってビールを飲んでいたり、子供たちが遊んでいたり。そういう風景を店の目の前にある長野市役所の広場で見られたらなあと思っているの。来ていただけるお客様にとって、「素」に戻れる場所をつくっていきたいね。

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小島さんは、ずっと朗らかな雰囲気で、こちらに寄り添ってお話をしてくださいました。

先頭に立って引っ張っていきながら、自由に進むための余白を残しているような。原風景の中で真剣になって一番楽しい遊び方を探っていたように、選択の連続の主を常に自分に持つこと。

自分の等身大でいられる場所を見つけることが生きるための軸になるかもしれません。

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café&select 『amijok(アミジョク)』

<住所>
〒390-0811長野県松本市中央3丁目4-14

<営業時間>
11:00~16:00 (マフィンテイクアウトのみ)

<定休日>
木曜日・第2、第4水曜日

〈電話番号〉
0263-88-6238

<ウェブサイト>
https://amijoktk.exblog.jp/i9/

<Facebook>
https://www.facebook.com/amijok.cafe/

〈Instagram〉
https://www.instagram.com/amijok_2011/


NorthSouthEastWest(ノースサウスイーストウェスト)

〈住所〉
〒380-0813
長野県長野市大字鶴賀緑町1607-12

〈営業時間〉
[月〜金]
7:30~18:00

[土・日・祝]
9:00~18:00

〈定休日〉
第1.3.5 月曜日、毎週火曜日

〈Instagram〉
https://www.instagram.com/north.south.east.west_2020/