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生き残る「昭和」を探して。

幼い頃から駄菓子屋や銭湯が大好きで、大人になった今改めてその魅力を感じ、現代に生き残る昭和の原風景を探している。

ここでは私が出逢い、そして素晴らしいと感じた昭和ならではの文化について綴っていきたい。

私がこうして昭和の良さを発信したいと思ったきっかけは、「懐かし自販機」と呼ばれる食品自販機の魅力に取り憑かれたことから始まった。

前記に挙げた通り、私は幼い頃から駄菓子屋や銭湯・昔ながらの商店が大好きだった。
商店街のおでん屋や惣菜屋、玩具屋達がズラリと立ち並ぶ光景は今思い出してもワクワクするものだ。

しかし、私が生まれた平成初期から徐々に懐かしい文化達は姿を消していった。
馴染みのある商店がある日突然閉店し、優しかったおばちゃんに会えなくなってしまったこともあった。

大人になり更に失われつつある昭和文化に寂しさを覚えていた時、とある動画に出会った。

ー懐かし自販機との出会いー

その動画は渋い雰囲気の自販機コーナーの中に佇む「うどん・そば」と書かれたパネルの自販機から、美味しそうな熱々のうどんが出てくるというものだった。

昭和40年代〜平成初期にかけて各地のサービスエリアやドライブイン等に多く設置されていた食品自販機。
めん類以外にもトーストサンドやハンバーガーの自販機もあり、平成生まれの私は初めて見るその自販機達に、とても興奮したのを覚えている。

昭和の空気を色濃く残した激渋な自販機コーナーと、長い年月そこに立ち続ける自販機。
そして管理の大変な懐かし自販機を維持し、お客さんに安くて美味しいものを食べて欲しいと願う、御店主の想いが伝わってくる動画だった。

その動画は食品自販機を「懐かし自販機」として世に広めた魚谷祐介さん【http://jihanki.michikusa.jp】の動画で、シンプルなのに惹かれる無駄のない映像構成とそれぞれの自販機コーナーに合わせた楽曲は、懐かし自販機の魅力を最大限に引き出していた。

古きものにしか出せない味わい、侘びしくもどこか感じる温かみ、そして現代の人の多くが忘れつつある本来のおもてなしの心。
懐かし自販機には私が昭和文化に感じていた全てが詰まっていた。

ー「懐かし自販機に逢いに行こう」ー

懐かし自販機に逢いに行こうと決めた私は、まずは身近に訪問できる場所から足を運んだ。
自販機コーナーにも個性があり、客層も地域や店の雰囲気で異なっていた。
その地方独特の味付けのうどんやそばを食べ、御店主や常連さん達と出会い、昔話を聞かせてもらったりもした。

気がつけば中国地方や四国、東北と全国に足を伸ばしていた。

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【ベンダーショップもみぢの里/岡山県真庭市】

自販機に逢う為に朝から何時間も運転し続け、1日に何軒も回り何杯もうどんを食べた。
夏の暑い日、自販機に逢う為に最寄駅から日陰のない田んぼ道を40分も歩いたのは良い思い出だ。

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旅先では沢山の素敵なご縁もあった。特に単身で自販機や温泉巡りをしていると、地元のおじちゃんおばちゃんに声をかけてもらえる。「若い人が来てくれると嬉しいねぇ」と言ってくれる人も多く、何度も温かいおもてなしを受けた。

ー昭和を全身で味わう温泉巡りー

そして自販機と一緒に温泉も回るようになった。
旅の合間には必ず温泉で疲れを癒やしていた私は、魚谷さんが出版した温泉本、「侘寂(わびさび)温泉」を参考に鄙びた渋い温泉を巡ることにした。
大衆浴場も懐かし自販機と同じく、失われつつある文化の一つだ。

現代ではスーパー銭湯やスパと行った温浴施設が目立つが、私はやはり昔ながらの温泉銭湯が好きだ。
木製の脱衣棚と衣類かごが置かれた、簡素ながらも風情溢れる脱衣所。
そして扉を開ければ広がる懐かしいタイル張りの浴槽。

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【近江屋旅館/山形県南陽市 赤湯温泉】

年月を重ねた味わい深い空間に囲まれ湯に浸かれば、あっという間に昭和の時代にタイムスリップできる。

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【郷緑温泉館/岡山県湯原町】

懐かし自販機とはまた違う激渋さと、そこへ溢れ出す豊かな湯に温泉大国に生まれた幸せを感じるのだ。

ー目指すのは「旅人」ー

私はいつか「旅人」になりたい。
旅人と言ってもただ旅をするのではなく、旅をする中で得た経験を文章や写真・映像などの媒体を使って発信し、それにより価値を得て生きていけるという意味での旅人だ。

自販機旅を始めてから、私は人間的にとても成長出来たように思う。
それは今の時代では中々感じることの出来ない、人との繋がりの温かさや何かを維持する為に必要な哲学を、自販機を通して学んだからかもしれない。

私はそれを発信し、昭和文化に感じる良さの「本質」を伝えていきたい。
そして少しでも味わいを感じてもらえたなら幸いだ。

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便利で機械的な現代では、味わい深い風景も少なくなり、人情溢れる商店も減ってしまった。
そんな時、昭和の文化はどこかひと手間かかっているがそこに人の温かみを感じ、他者との繋がりの尊さを覚える。

もし少しでも昭和の懐かし文化に興味を持ったのなら、是非逢いに行ってほしい。
きっと思った以上に沢山の事を感じ、学べるはずだ。
今ならまだ間に合う。
生き残る昭和に逢いに行こう。


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