一般技術職によるビジネスマネジャー検定受験記録

始めに

 齢30歳、役職はなく昇進予定も意欲もない不良社員一般技術(研究開発?)職です。このたびビジネスマネジャーという一見縁のなさそうな資格試験を受験し合格したため、記事にしてみました。
 私個人としては、有意義な内容であると思います。一方、資格の所持で有利になるケースがあるか微妙で受験費用もそこそこ掛かるため、試験は受けず勉強だけしてみるのもいいかも知れません。

主なコンテンツ

  • ビジネスパーソンには広くお勧めできる内容

  • 試験は結構大変、勉強だけして受験しないのも手

  • 公式問題集を過信は禁物かも

ビジネスマネージャー検定とは

 東京商工会議所主催の民間資格(日商簿記やビジネス実務法務検定など同様)です。年に数回開催されており、WBT,IBT形式の好きな方で受験できます。試験ボリュームは択一式40問で90分なので気軽な方だと思いますが、受験料は7,700円とやや気軽ではない価格設定…。
 合格基準は100点満点中70点以上。合格率は回によって結構変わるようで、第15回試験案内によると第12回は42.3%、第13回は62.6%、第14回は43.7%でした。
 具体的にどんな試験か、以下試験サイトから引用です。

企業組織の要である管理職(マネジャー)の土台づくり
管理職(マネジャー)は、企業と社員の結節点として、“経営ビジョンの浸透”や“事業戦略の策定・遂行”、“チームのモチベーションの向上”、“人材育成”などの多様かつ重要な役割を担っています。まさに企業の浮沈の鍵を握る要の存在です。

しかし、経営環境が絶え間なく変化する中、課題ごとにゼロから理論や手法を学び始めるマネジメントでは対応が遅れ、取り残されてしまうでしょう。マネジメントの成果(=アウトプット)を出し続けるためには、知識・理論の習得(=インプット)が不可欠です。

ビジネスマネジャー検定試験は、マネジャーとして活躍が期待されるビジネスパーソンに対し、その土台づくりのサポートを目的とし、「あらゆるマネジャーが共通して身につけておくべき重要な基礎知識」を効率的に習得する機会を提供します。

出典:上記公式サイト「ビジネスマネジャー検定試験®ってどんな資格?」より引用

 マネジャーと名称には付いていますが、「ビジネスにおいて重要なインプットを得るための資格」である(主たる想定受講層がマネジャークラス)と理解しました。そろそろ中堅社員に片足を踏み入れ、社内会議のファシリテート役を仰せつかる機会も増えてきました。研究開発職でも、というより研究開発職だからこそビジネス動向には敏感であるべきというのが私の持論でもあります。というわけで、"知識・理論の習得(=インプット)"を目的に受験することにしました。

試験勉強

 7月の試験を申し込み、4月から昼休みの時間を使い15分×20日×3か月ほど勉強しました。あまり勉強時間をかけられなかったので問題集のみ購入しましたが、他に公式テキストも出版されています。
問題集を一通り読むと、ざっくり次のような傾向のようです。

  1. マネージャとしての心構え

  2. ビジネスに用いるフレームワーク

  3. 近年ビジネスのキーワード

 このうち1.については一般論的な内容も多く、特に難しくはありませんでした。2.について、VRIO分析やSWOT分析などの各種分析ツールや、簡単な決算の読み解き(バランスシートやキャッシュフローなどによる企業評価など)が出題されます。3.については、近年のビジネスにおけるキーワードに関連した問題が出題されます。たとえばESG、働き方改革、ハラスメントなどです。2.と3.についてはビジネスに応用できるよう勉強していること、3についてはさらに一般常識として広く知識を有していることが求められます。
 そこそこ広い範囲ではありますがそれほど深い問題は出ませんので、実際の職務で関わりのある方は改めて勉強する必要はないかもしれません。私は問題集の模擬試験で初見から安定して80点以上取れており、合格率の低さは気になるものの楽勝だなというのが正直な印象でした。…この時までは。

試験当日

 IBTにて自宅受験しました。試験申し込みの15分前から試験システムから試験会場にログイン可能で、入室後担当者とWeb会議が繋がり不正防止確認を入念に行います。ちなみに試験中常にWeb会議システムにより1対1で監視されるため、普通の試験とはまた違った緊張があります。一通り確認が終わると、いよいよ試験開始です。
 …公式問題集と全然ちがうじゃん!!というのがファーストインプレッションでした。何が違うかというと、問題の出題形式です。問題集では1問1答形式の問題が多く、知識がなくとも文章読解のみで解けてしまう問題もありました。また、文章も短くよくまとまっていたのですが…。本試験では、「正しい組み合わせの組を答えなさい」という出題が多く、完全回答を求められます。しかも問題文が問題集より長く、わざとか?と思うほど読みづらい文章構成になっています。また、心構えやフレームワークは似たような問題が出ますが、キーワードは最新のビジネス情勢を反映しているようで問題集にはなかったものも出てきます。ただし、前述の通り内容はそんなに深いことを聞いてこないので、見かけに惑わされず読解に努めるのが重要だと思います。私は最後まで冷静になれませんでした。
 試験が終わると、瞬時に採点され結果が出ます。70点の合格ラインに対し、72点という超ギリギリの合格でした。

後日

 全然知らなかったのですが、昨年秋から希望者向けに合格バッジの配布が始まっていたようです。LecoS社が提供する、ブロックチェーンを使用したWeb証明を受けられます(受領にはLecoSへのユーザ登録が必要)。
 正式な結果が2週間ほどで通知されるはずなのですが、この記事執筆時点では届いていません。会社には速報画面をスクショして合格届を出したので、気長に待つことにします。

まとめ

 保有することにあまり利点がない(民間資格なので当然と言えば当然ですが)点が気になる資格ではありますが、ビジネスシーンで有用な内容を勉強できるのはとても魅力的であると思います。社内で使っていた内容が試験に出た!という経験もしました。
 皆様もビジネスパーソンとしての知識形成にご興味があれば、ぜひご一考いただければと思います。

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