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クリエイティブは文句からはじまる(かもしれない)

遅めのランチ、地元駅前のハンバーガー屋さんに行った。

6月にオープンして、2度目の来訪。1度目は初日に行ったため混雑していたのだけど、今日はお客さんが3人しかいない! 店員さんのほうが多い。40席ある店内はガランとしていて、思わず「やってますか?」と聞いてしまった。

たしかに外から見て「いつも空いてるなあ」とは思っていたが、これほどとは・・・・!

いや、もちろん14時半という時間帯のせいもある。あるだろうけど、それなりに栄えた街で、なんなら近くのフレッシュネスバーガーはじめ、その他ハンバーガー屋さんには結構なお客さんが入っている(最寄り駅にはハンバーガー屋が7つもある)。

でも、わかるんだよなあ。今日はランチを考える余力がなくてとびこんだけど、そうじゃなかったら入ってない。「ぜひ再訪したい」と思えない店なのだ。

どうしてだろう? どうすれば「また来たい」と思ってもらえるんだろう?
・・・・と、頼まれてもないのに考えた。

まず、人はどんなときに「2回目の来訪」を考えるのか。ぱっと思いつくだけで3つあるな、とハンバーガーを頬張りながら思った。

まず、「期待を超えたよろこびがあること」。圧倒的においしいとか、新しい体験とかが、これにあたる。

もうひとつが、「ちょうどいい」こと。味、値段、立地、雰囲気、ボリュームやコスパ、あと入店への気負いなど、もろもろのバランスが絶妙な店は、気づくとふらっと入ってしまう。この「ちょうどいいよね」は、「作りたくないけどなんかいい感じのものが食べたいな〜〜〜」という休日のランチにしばしば発動される。

そして、「あそこにいけば、なにかおいしいものがあるだろう」感も再訪の動機になるかなと思う。店への信頼があるというか、メニューをめくれば食べたいものが見つかるという期待と確信。豊かな選択肢系。

で、その3点を当てはめてみると、このお店には、ちょうどよさも圧倒的なよろこびも選択肢もないのだ……!(ひどい)

まず、基本的な立ち位置はグルメバーガーとチェーン店の間くらいで、味の感動路線はたぶん目指してない。だから、「ふつうにおいしい」くらい。しかしドリンクやサイドメニューをつけるとけっこう高くなるので、よろこび指数が下がってしまう。ちょうどよくない。

なにより、基本のハンバーガーは1種類しかない。サイズ(3種類)とソース(5種類)、トッピングでお客さんが味をカスタマイズしていくスタイル。つまり「次は違うのも食べてみよう」と思ったら、自分でソースとトッピングを変えるしかないのだ。

しかしね、「自分でカスタマイズしたい」ってよほど1回目がおいしくないと成立しないというか、かなり積極的なニーズなんじゃないか・・・・と思うんだよねえ。

とくにその店がはじめてのときは「これがオススメです!」と胸を張って提供してほしい。味がキマった状態のラインナップから選びたい。

ちなみにこの店の近くにあるハンバーガー屋さんには「当店はケチャップのご用意がありません」、つまり「そのまま食え」と書いてあるのだけど、そのほうがうれしい。こっちに委ねないでほしいのだ。


・・・・と、ながながと文句を書いてきたけれど、もしいま「このお店を助けてください!」と言われたらどうするか。うーん。

ハンバーガーのラインナップを5種類くらいまで増やす? 

せっかくサイドディッシュが豊富(チキンウィング、コブサラダ、フィッシュ&チップスetc...)なのだから、小さいサイズのハンバーガーとサイドディッシュを組み合わせたセットをつくる? 

で、「はじめましての方にはこれ!」と店長おすすめを提示する? 

あ、席と席の間隔も少し広げたいな? 

それからそれから——。

こういうことを(無責任に)考えるのはものすごくたのしい。けれど、結局いつも「そんなの考え尽くした結果のコレなんだろうな、すみませんね」とも思う。思いつつも、「しかしなんでこれでうまくいくと思ったんだろ?」と首をひねったりもする。新規性や差別化を追い求めた結果、よくわからない穴に落ちてしまったのかな? とかね。きわめて余計なお世話だけど。

正解のわからない問いだし、仮説を検証することもできない。

でも、「どうすればもっとたくさんのひとに刺さるのか」を考えるクセがあるのは、きっと悪いことじゃない。だって、編集者ライター仲間とどこかに行くと、だいたいこういう話ばっかりになるからね。

そうそう、ピースオブケイクの加藤さんがまだダイヤモンド社にいたころ、「自分は文句が多い」っておっしゃってたなあ。並べるのもおこがましいのだけど。

「なんでこうなの?」からクリエイティブははじまる、のかもしれない。

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