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『日本の伝統文化である殺陣(たて)の技術を継承したい』殺陣の指導・役者 “馬場哲男”さん

殺陣(たて)の指導や出演、所作指導などをされている馬場哲男さんにお話しを伺いました。

プロフィール
出身地 
埼玉県
活動地域
東京をはじめ全国各地で活動中
現在の職業
殺陣の指導、基礎稽古の指導、出演、スタンドイン、所作指導など
活動経歴
2009 必死剣 鳥刺し (東映) 監督・平山秀幸
2010 桜田門外ノ変 監督・佐藤 純彌 森山繁之助役
2011 ステキな金縛り(東宝) 監督・三谷幸喜
2012 清須会議 (東宝) 監督・三谷幸喜
2013 蜩の記 (東宝) 監督・小泉堯史
NHK朝ドラ 花子とアン
2016 真田十勇士 堤監督
2017 大河ドラマ おんな城主 直虎
2018 散り椿 監督・木村大作
2020 峠 最後の侍 小泉堯組

すべての動きに責任をもってつくる

Q. 現在どのような活動指針を持って、どのような活動をしていますか?
馬場哲男さん(以下、馬場 敬称略)
:殺陣(たて)の指導、基礎稽古の指導、出演、スタンドイン、所作指導などをしています。殺陣について、多くは時代劇でチャンバラをするというイメージかと思いますが、武士らしい立ち居振る舞い、時代としてふさわしい動きができるかどうかが大切です。

アクションシーンの一連の動きにすべてに責任をもってやっています。目をついてしまったら失明してしまう危険性もあるので、安全にも気を配り、きちんと動きを作り込みますね。尚且つ、エンターテイメント性も意識し、クオリティーを落とさないようにしています。

Q. 今の活動のきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?
馬場
:殺陣は、チョウユンファやチャンツィーが出演している中国映画「グリーンディスティニー」に憧れたことがきっかけです。演技も良いし、役として素晴らしい殺陣があるんですね。剣豪の切り方と、弱い人や女性の切り方は全然違くて、アクションも演技も両立していて素晴らしかったです。素晴らしい殺陣に見入ってしまいました。

殺陣は、流血を出したら終わりです。だから、殺陣は絶対に人に当てたら駄目です。カメラのある角度を演技中も常に把握しつつ、バレない様に計算をして斬っているように見せるんですね。とても技術が必要です。「グリーンディスティニー」は、そこが見事に表現されていて面白かったんです。



Q.その発見や出会いの背景には、何があったのですか?
馬場:
高校生の時に、別の高校の友人が演劇をやっていたんですね。面白半分の気持ちで、その演劇を鑑賞したら面白かったんです。その演劇に出演していた男性が、声がすごく良かったことが印象的でした。演劇というクリエイティブな場や文化に触れられるのが良いなと思いました。高校の時は、剣道部では部長をしていて、将棋部も掛け持ちしていました。

でも、自分の高校でも演劇を始めようと思って、演劇部に所属しましたが、女性ばかりで・・正直なところ最初の頃は全く溶け込めませんでしたね。それでも、演劇のクリエイティブな魅力や深く追及する作業に惹かれていき、大学でも演劇部に所属しました。

日本の伝統芸能である殺陣を継承したい

Q.どのような夢をお持ちですか?
馬場:
小泉 堯史(こいずみ たかし)監督の作品に出演したことは、殺陣を始めた当初からの役者としての夢でしたので光栄です。小泉監督の「雨あがる」の殺陣を見て、感銘を受けたので、小泉監督の作品に出演できたことは本当に嬉しかったですね。

では、殺陣・アクションとしての夢は、基礎がある殺陣の継承を行いたいということです。殺陣は、日本の伝統芸能の一つだと思います。能や歌舞伎のように歴史や伝統があり、日本の殺陣には。日本にしかない独自の文化をもっています。ただ系統として残せるものや決まった形や流派というものがないので、継承が難しい。殺陣の技術が途絶えてしまったら、時代劇が撮りたくても撮れない日が来てしまうかもしれません。正直なところ、ハリウッドの人が殺陣を作っても、日本の方が納得できるものではないのかと思います。殺陣の技術を継承していくことが大切だと考えています。

Q.夢を具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?
馬場:
殺陣の技術を継承していくために、殺陣をやっている人の地位向上の必要性があります。これは、何かをすればすぐに改善されるような簡単な問題ではありません。長い目をもって多角的に試行錯誤すること、色んな方のお力や知恵をお借りすることが重要になると思います。

例えば、今年2月にご逝去されました佐藤純彌監督は、ご生前日本アカデミー賞の協会特別賞として殺陣を称えてくださいました。しかしながら、そういった栄誉ある賞の常設の部門が現在殺陣やアクションにはありません。ですので、殺陣、アクション部門を新設するなど、勇気あるご英断を頂けましたら、現場の励みや継続的な技術やモチベーション向上に繋がるかと思います。そういった形が増えれば、一般の方にも分かりやすくなり、もっと興味を持って頂けるかもしれません。もちろん、私たちはその評価に見合うだけの研鑽を精進しなければなりません。まずは、その一つとしまして、個人的に新たに技術を継承する場所を探しているところです。


馬場さん、今日は本当にありがとうございました。

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馬場哲男さんについての詳細情報についてはこちら
↓↓↓
https://www.facebook.com/baba.tetsuo
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編集後記
今回インタビューの記者を担当した田中、西尾、三笠(カメラ)です。そもそも殺陣(たて)について初めて知ることばかりでした。安全面だけでなく、見せ方にまで配慮し、どこまでも気を配ることができる殺陣(たて)とは、まさに日本人ならではの巧みな技であると思いました。次世代に日本の精神性や技術が正しく継承されるように、今後もご活動を応援しています。

また、今回はリライズ・ニュースマガジンにご出演いただいた音楽喫茶「アカシア」のマスター渡邊啓吾さんのご紹介で、インタビューが実現しました。“人と人とを繋げるハブでありたい”という渡邊さんのご縁です。ご紹介ありがとうございました。


今回は、音楽喫茶“アカシア”でインタビューをさせていただきました。
マスターの渡邊さん(中左)

この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。