年越し

 祭りは晩秋に開始する。雪の降る少し前のことだ。決まった衣装がある。綿の入った白い着物に、飾り帯をする。寒さが身にしみる時期のこと、暖をとることは重要だ。

 祭りの食べ物は贅沢だ。一年を通じて大事に育てられた獣たちが集まり、村中総出で解体作業をする。皮をはいで、血抜きをして、肉の塊を作る。

 祭りにとって火は重要だ。暖をとるためにも必要なものであり、肉を焼くためにも必要なものになるが、何よりも重要なのは、その火は神官が熾したという事実だ。神の火。

 神に捧げた火で村が育てた肉を食い、神に捧げた酒を飲んで、村で育った村人が集う。

 永の眠りに入るために。

 祭りのなかで、村人たちは眠りのなかへ入っていく。そしてもう目覚めることはない。祭りのために掘られた穴のなかへ身を埋めて地に横たわり、我が身を村へと捧げる。

 凍てつくような冬が過ぎ、春になると、地から子どもが生まれる。陽光のなか、子どもたちは走り回る。この子どもたちをまた、村が育てる。

 獣として。

――了――

※『シメ・シ・アワセ』にて掲載


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