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「2030」先送りに思うこと

「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度にする」という目標(通称「2030」)を掲げてきた安倍政権ですが、この目標を先送りにする検討に入った…という報道が先月末から複数ありました。

報道を聞いての私の感想は、残念→不安→妙な納得感(諦観?)といったところでしょうか。

「実現不可能」と言われても

目標が設定されたころから「実現不可能」とは言われていました。でも野心的な目標をあえて設定することで政府の本気度を示すものだと思っていましたし、実際、そうすることで従来の枠にとらわれない柔軟な施策を目指したものだと信じていました。

ですから、それをあっさり先送り…しかも一部報道によれば達成時期については明記しない方針という話も出ており…残念な思い…そして女性に対するエンパワーメントの動きが後退してしまうのではないか…という不安もわきあがってきました。

女性管理職比率は9年で1.6%増

報道を受けて厚労省による「平成30年度雇用均等基本調査(確報)」(↓)を見てみたのですが、企業における女性管理職比率は平成30年度のデータで11.8%(課長相当職以上・役員ふくむ)で、9年間でわずかに1.6%しか伸びていません。

無題のプレゼンテーション (1)

1.6%をどう見るか…ですが、「2030」が設定されて以降、「女性活躍推進法」をはじめとするさまざまな施策が行われてきて、あきらかに企業に勤める女性を取り巻く状況は大きく変わったとは感じるんです。ですから、意外…というか、自分の体感値と、実際の値との間に乖離がありすぎて、なんとも受け止めきれない感じが正直なところです。「あれだけやったのに、たったこれだけ…?」というような。ざっくばらんに言うと、そんな感じです。

「非自発的な退職は減った」という体感

実際、Warisを経営していて、創業当初(2013年)は「妊娠を機に会社から退職をすすめられた」ですとか「時短勤務になったことで仕事をまかせてもらえない」「会社から正当に評価してもらえない」といった部分にストレスを感じ、だから退職したい、独立したいという女性が多かったです。非自発的な理由での退職や独立ですね。

今でもそうした女性がゼロだとは言いませんが、ぐっと少なくなりました。むしろ今、ご登録される女性たちはよりポジティブな要素が強く「自分らしく働きたい/生きたい」という思いが強くて(ある意味)軽やかに独立や副業という道を模索する中でWarisにいらっしゃいます。

変化は確実に起きています。一方で「女性管理職比率」のように平均化してしまうと変化はほとんど起きていないように見えます。

変化の手触りと進む二極化

先日の日経新聞では女性の活躍を推進する上場企業を集めた「なでしこ銘柄」が売上高営業利益率や配当利回りにおいて東証一部平均を上回ったという報道がされていました。女性活躍に積極的な企業は、財務面でも優位性がある傾向はこれに限らず、さまざまなデータがあります。実際、近年ESG投資が注目を集めるようになったのもこうした傾向があってのことですよね。

女性の力を生かせる企業と生かせない企業。平均的な女性管理職比率で見るとこの10年、日本に大した変化は起きていないですが、一方で二極化は進んでいるのかな、と。

「2030」の達成が困難になった…といったところで女性エンパワーメントの動きが後退することはないというか、「メリットがあるからやる」、ただ、それだけだと思います。

「限りある資産」を生かせる?

労働人口が圧倒的に減少する日本で人は大切な大切な限りある資産。多様性を力に変えられた企業だけが残っていくということ(むろん多様性=女性では決してないですが、人口の半数を占める女性の力すらまともに生かしてこれなかったのが日本という社会、ではあります)。むしろそうではない企業からは女性が軽やかにやめていくだけなんですよね。

Warisはビジネス系フリーランスとして働きたい女性たちと企業とのマッチングがコア事業なのですが、フリーランスとして活躍するうちに独自のサービスやプロダクトを開発し、従業員を雇用し、スタートアップとして展開していく女性たちもいらっしゃいます。「経営者」という立場(=指導的立場)で活躍する女性リーダーのエンパワーメントも、もっと積極的に会社として取り組んでいきたいと考えています。

「2030」先送りのニュースは残念ではありましたが、私たちは私たちなりの方法で自分らしく生きる・働く女性リーダーを一人でも多く生み出せるように活動していきます。



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