WBC分析
WBC(だぶるびーしー)分析
WBC Wはwill(ウィル)、Bはbeen(ビーン)、Cはcan(キャン)
●will(~するつもり)
願望、意欲、態度、望み、決意、意志、精神
●been(やった、だった)
体験、知識、在籍、学歴、賞歴、栄光、実績
●can(~できる、~する能力がある)
才能、技能、人脈、資格、資産、立場、設備
WBCそれぞれの円が交差する中心と、マーケティングの4Pを連鎖させるのがプラス・マーケティング戦略の入り口である。
北星鉛筆の事例
拙著に登場する鉛筆メーカーを例にとると、
●will(ウィル)
鉛筆ある限り、家業として鉛筆を作り続ける決意。しかし、安さが取り柄の中国製エンピツは、瞬く間に日本市場を席巻。何とかしなければ…。
●been(ビーン)
創業(昭和26年)から続く半世紀もの社歴。
●can(キャン)
鉛筆を作る生産設備。土地・社屋。工場。蓄積された製造技術。老練な従業員。
古くからの取引先。販売チャネル。
中小の鉛筆メーカーとして、現状を維持していくだけなら、充分な陣容である
が、単なる鉛筆では、価格で中国製品に勝てない。
となると、先細りは目に見えている。
そこで杉谷社長は、鉛筆メーカーだからこそ出来る、鉛筆ではない商品の開発に取り組んだ。着眼したのは、
「当社には、鉛筆メーカーならではの、鉛筆を削ったオカクズがある」
廃棄物でしかなかったオカクズを商品化することで、現有チャネルでも流通が可能な「木製粘土」を開発した。
この木製粘土「もくねんさん」は、乾けば木に戻る。ということは、粘土細工のみならず、素人でも、仏像など三次元彫刻を楽しめる。
また、木製粘土「もくねんさん」は、世界特許を取得しているため、どこにも真似されることない「北星鉛筆しか作り出せない価値」である。
これこそ正に鉛筆メーカーの付加価値。
SWOT(すうぉっと)分析
この類いの分析には、通常、SWOT分析が用いられる。SWOT分析とは、
ストレンクス:Strength(強み)
ウィークネス:Weakness(弱み)
オポチュニティ:Opportunity(機会)
スレット:Threat(脅威)
の頭文字を集めたもので、
・内部環境のストレンクスとウィークネスをX軸に、
・外部環境のオポチュニティとスレットをY軸に配し、
表を作る。
マーケティング戦略を立てるための自己分析を行うというものである。
私見だが、SWOT分析は、SWOT分析を活用できる企業が用いればよいと思う。否定はしないが、肯定もしない。
なぜなら「どうして成功できたか?」成功例の後付け説明や、問題点のあぶりだしに過ぎないからである。
現実には、弱みは沢山あるが、強みの少ないケースが多く、SWOTにならない。
そういえば、むかし、あるメーカーの取締役が、こう漏らしていた。
「社長がコンサルタントを雇ったってコトで、環境分析とか持ってきたけど、
御社の強みは生産設備があることですとか、御社の弱みは市場が限られていることですとか、
そんなコタァ、あいつらにン百万円払って言われるまでもなくとうに知ってるっつーの」
WBC分析の使い方
では、あなたの会社、あるいはあなた自身に、WBC分析をあてはめてみよう。
あてはめられない項目があったら、作り出すか、第三者に訊いてみるしかない。
●will(~するつもり)
・あなたは、どんな仕事のプロフェッショナルになりたいか?
どんな商売で、幾らの売上をあげ、何年で何%づつ成長させたいか?
・そのためには、5つの資産のうち、どれを、どれだけ捧げられるか?
※5つの資産[労力][時間][財産][人脈][気力]
・その仕事を続けるにあたり、社会へ対して宣言できる決意文はあるか?
●been(やった、だった)
・その仕事のプロになるために、どんな
体験を積んできたか?
知識を蓄えてきたか?
どこで体得してきたか?
どんな実績や栄光があるか?
●can(~できる、~する能力がある)
その仕事を高度に完遂するために、どんな
才能があるか?
技能があるか?
人脈を持っているか?
資格があるか?
有形・無形の資産を持っているか?
地位や立場にあるか?
設備を有しているか?
WBCそれぞれ3つの輪の中心に位置するものが価値であり、その価値を「代金と引き換えられる商品」にするのが4Pである。
要するに、あなたの持つ何で、誰の、何を解決してあげられるか?ということである。
これらを明確にするところからマーケティングは始まる。
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