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ビブリオテーク

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読んだ本について紹介。紹介するのは、他の人があまり読んでいない本ばかりかと。
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2020年2月の記事一覧

植物の生の哲学/エマヌエーレ・コッチャ

どうすれば良いか?を考える際、何を判断基準とするかが問われる。 何を信じて行動するか?という話だと思う。 その基準を再考することがここしばらくずっと問われているのだろうなと感じている。 根拠も乏しい思いこみであれこれ言うのももちろんどうかしているのだけど、科学的根拠や統計的エビデンスを持ちだしたところで、それも思いこみにすぎないことがわかってきているのではないか? 科学的にも統計的にも無理だと考えられることだって可能な場合はあるのだし、その逆だって十分ありえることを僕らは

道化の民俗学/山口昌男

現代の社会の倫理性を考える上でとても示唆に富んだ一冊だ。 山口昌男『道化の民俗学』。 1969-1970年にかけて2つの雑誌に連載された論文をもとに1975年に単行本として刊行された50年前に書かれた論だが、いまのようにコロナウィルスが世界中を巻き込んで人々の危機感を募らせた状況になると、いともたやすく互いに互いを蔑視し罵倒するようなことが当たり前のように起こってしまう、過度に繋がりすぎた現代社会にこそ、たくさんの学びを提供してくれる内容だと思いながら読んだ。 それにして

LIFE3.0/マックス・テグマーク

宇宙を研究していた理論物理学者がAIについて考えると、こんなにも大きく常識をこえて未来の世界を想像することができるのかと驚きつつも、ワクワクしながら読むことができた1冊。 『LIFE3.0』は理論物理学者でMITの教授であるマックス・テグマークが、人工知能を3番目の生命の進化系と捉えた上で、宇宙規模における生命と世界のこれからを想像して、その可能性や危険性、僕たち人間が取り組むべき事柄は何かを考えた本だ。 1965年、数学者のアーヴィング・J・グッドは、人間の知能を超えた