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日本IR協議会主催のセミナーに参加しました

こんにちは。
株式会社スペースマーケット 財務・IRを担当している田中と申します。

気づけば9月も今日で終わりで、あと3ヶ月で今年が終わってしまいます。
1日で表したら、もう夕方の6時です。ご飯食べてお風呂に入ってたら、すぐに1日終わりですよ。

今年はコロナ影響で自粛していたので、例年にも増して時が経つのを早く感じています。年越しの時に良い1年だったと思えるように、残り3ヶ月充実させたいですね。


さて、

本日は、先週の金曜日に、日本IR協議会が主催する"IR基礎講座"に参加したので、そこで個人的に大事だなと思った点について、本記事にまとめていこうと思います。

基礎講座というだけあり、基本的な内容が中心だったのですが、現役のアナリストの方が直にIR担当者に求めることを説明していたり、他企業のIR担当者がどのようにIR業務を行なっているかなど、多少踏み入った内容もあり、勉強になりました。

そのような勉強になった部分を、これから何点か紹介していきます。


企業と投資家で重視するものにギャップがある

セミナーの中で、企業価値向上に関するアンケートを企業と投資家向けに行なったものが紹介されており、ここまで如実に差が出るんだと驚きました。

まず、経営目標として重視すべき指標についての質問では、企業は"売上高"や"利益"の項目を回答する割合が多いのに対し、投資家は"ROIC"、"資本コスト"、"FCF"と回答する割合が多いという結果でした。

ここから、投資家はより効率性やキャッシュを重視する傾向があることがわかります。
肌感ですが、経営指標として"ROE"は企業側にも浸透してきているものの、"ROIC"や"FCF"などはまだまだ企業側が意識できていないというのは、各社の開示を見てもわかる気がします。

次に、資本効率向上のために必要な施策に関する質問については、企業は"製品・サービス競争力の強化"、"コスト削減"と回答する割合が多いのに対し、投資家は"事業の選択と集中"、"収益・効率性指標の全社レベルでの浸透"と回答する割合が多いようでした。

ここでも、企業が売上高や利益などの絶対値を優先して考えているのに対して投資家はそれとは違い、調達した資本を使ってどれだけ効率よく使っているかを重視していることが分かります。

株主・投資家の目線と、企業の目線が異なるのはある程度仕方がないかもしれませんが、ROICなどは企業の本業の利益率を示す指標であり、企業も注視すべき項目です。
このギャップを認識し埋めようとすることは投資家とのコミュニケーション引いては、企業価値の向上の近道であると思います。


ESG投資についてどう扱えばいいか

今まで、近年重要度が高まってきていると言われているESG投資について、なんとなく重要ということは分かっていつつも、なぜ重要なのかどのように扱えばいいのかという点まで深く理解できていませんでしたが、本セミナーで思考を整理することができました。

世界的にESG投資を重視した運用資産は毎年増え続けており、特に日本のESG投資の運用資産は2014年から2018年までの年間平均成長率が308%と、かなり伸びています。投資家は持続的な成長が見込める企業、すなわち長期的なリターンが期待できる企業を求めており、ESGの取り組みを見て確信度を深めるという考え方のようです。

では、ESG投資はどのように行われているのでしょうか。代表的なESG投資の手法には、下記のようなものがあります。

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・ダイベストメント:社会的に好ましくないとされる事業を投資対象から外す
・インテグレーション:投資を行う際にESG情報を判断材料に入れる
・エンゲージメント:投資先の企業にESG活動の改善を求める
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上記のうち、運用資産の多くを占めるのが"ダイベストメント"と"インテグレーション"です。現時点では、ESG活動の度合いを数値化することは現実的ではないようなので、判断基準としてはESG活動を"やっている"か、"やっていない"かになります。

投資家としては投資候補先の企業がESG活動を"やっている"か、"やっていない"かを判断するには開示を参考にするのがメインなので、ESG情報を出していない企業は、"やっていない"と判断されると考えていいと思います。
企業としてはESG活動を行なっているのであれば、決算説明資料にて自発的に発信していくのが吉ということですね。

実際のところ、ESG活動が企業価値を向上させているかどうかは、まだはっきりしていないようですが、投資家から保有されなくなるリスクがあるということは、資本コストの上昇に繋がっていきます。

ESG活動について考えることは、自社の持続的な成長について考えることに繋がるので、向き合うことで経営にも良い影響を与えるのだと思います。


望ましいIR活動のために

上記で紹介したもの以外にも、コロナ禍で海外機関投資家とのMTGが減少したことで、英文での情報開示の重要性が高まった話や、投資家の考え方についての話などありましたが、それぞれの会社の規模というものがあるので、なんでもかんでも即座に取り入れて良いというものでもありません。

まずはできることからという考えで、日々のIRMTGの中で、全ての投資家に同じように理解させるような説明の仕方を磨いたり投資家が重視する指標を理解し認識のギャップを埋めたり、常に改善していこうとすることが大事なのだと思います。

今やっているIR活動が経営に良い影響を与えて、企業価値が向上し、海外機関投資家へのアプローチなどやれることが増えていくと信じて、コツコツ丁寧に取り組んでいきます。

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