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吉田松陰の春夏秋冬

幕末の思想家・吉田松陰は29歳で刑場の露と消えました。

松陰は長州藩の倒幕論を主導した人物で、徳川幕府としてはぜひとも除くべき標的でした。松陰は「安政の大獄」という政治弾圧で捕縛され、処刑されてしまったのです。

誰の人生もドラマだ

松陰は、人に四季ありと言いました。本当はもうちょっと難しい言い方で、「十歳ニシテ死スル者ハ十歳中自ラ四時アリ(10歳で死ぬ人は、その10年の中に四季がある)」と遺書『留魂録』のなかで書いています。

四時とは四季のこと。この言葉の意味は、誰の人生にも春夏秋冬があるという意味です。ある人の生涯がたとえ10歳で終わったとしても、100歳で終わったとしても、そこには等しく春夏秋冬がある。蝉の寿命と大木の寿命を比べても意味がないように、人間もまた、その命を長いとか短いとか比較しても意味はないと。

30歳になろうとする今、人生の花は咲き、実は成った。もうすぐ自分の四季は終わるから後のことはよろしく頼む、と弟子たちに万事を託して松陰はこの世を去りました。

松陰の言った春夏秋冬とは、要するに人生の起承転結のことでしょう。「誰の人生もドラマだ」あるいは「意味のない生などない」と松陰は獄中で書き遺したのです。そして草莽崛起(そうもうくっき)というスローガンを用いて、大衆が立ち上がって倒幕を果たせと呼びかけました。ご存知の通り、この後に大政奉還、戊辰戦争があり、明治維新となります。

コピーもまた春夏秋冬

コピーの世界ではいつも、名もなき人々が主人公です。

なかには有名人が出てくるコピーもあるでしょうけれど、「有名人の〇〇もビックリの高品質!」みたいに伝える場合がほとんどだと思います。

ふつうの人々の日常のワンシーンをドラマチックに描くことで、デザインや映像とあいまって、それを見た人に「私にも当てはまるな」と感じてもらう。そういうものがコピーではないかと思っています。

刺さる広告は10代、30代、50代と年齢が上がるにつれて変わっていきます。物の見方や趣味嗜好が変化するからです。そのたびに、刺さるコピーも変わっていく。そうすると、人は何かしらのコピーを目にしながら年を取っていくともいえます。これもまた人の四季ではないでしょうか。

で、上記の本を書いました。0歳から100歳まで、その年齢にぴったりなキャッチコピーを収録した書籍です。0歳にも刺さるコピーってすごいなと思って買いました。プロ仕様でない、ライトな本ではありますが、コピーが人の四季を映すものだとすれば、興味深い本だなと思うのです。

自分の人生を考えたとき、吉田松陰の「春夏秋冬」のどこに位置しているのか知る由もないです。でもこの本がヒントになったら面白いですね。もしかしたら、刺さったコピーのページに書いてある歳が、自分のほんとうの歳なのかもしれません。

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