ダイヤモンドとグラファイト

下北沢にある「シアターミネルヴァ」で行われた、ワタナベエンターテインメント所属の芸人たちによって行われているユニットライブ「大博打」に照明の暗転・明転の操作をするお手伝いとして参加させていただいた。このユニットライブに出演している2年目の「ドリルフィンフィンズ」の高橋さんと金成さんは、私の大学野球部の先輩である笠川さんと親交が深いことから、私によくしてくれている。今回の「大博打」を照明レバーをタイミングよく上げ下げするだけで無料で観覧することができたのも、お二人のおかげである。

ネタはどのコンビも面白かったが、後で聞いた話だと「大博打」では実験的なネタをするというコンセプトがあるらしく、コアなお笑いファン垂涎の舞台となっている。よかったらぜひ。

その中で私の兄貴分のドリルフィンフィンズのネタが面白かった。その内容はボケの金成さんが「サーモンを食べるのが好きなのに、川で泳いでいるシャケを愛さないのは、体目当てで女に近づく最低男と一緒だ」という乱暴かつ理不尽だけど、どこか納得のいってしまう主張を皮切りに、その理不尽な主張をエスカレートさせていく・・・と言った漫才であった。詳述は避けるが、そのほかにも「アイスが好きなら冷房を寒がるな」や、「ディズニー好きならムーランも見ろ」と、理不尽さと納得感の塩梅が面白かった。

その漫才を見た後、私もちょっとそういう理不尽な主張を思いついたので、ここに記したい。それは、「ダイヤモンド好きな人、鉛筆の芯も愛せよ!!!」である。おいおい何言ってんだ??と言った人が大半であると思うが、これには理由があるので、ぜひ最後まで読んでほしい。

「ダイヤモンド」は実は炭素でできているというのは周知の事実であると思うが、その炭素原子の結晶の配列がちがっただけのものが、鉛筆の芯の主成分である「グラファイト」なのだ。簡単にいうと、炭素を立体的に組んだのがダイアモンドで、炭素を平面的に並べて重ねたのがグラファイトである。このような関係にある物質を同素体という。組み体操でいうと、「ピラミッド」が「ダイアモンド」で、「扇」を並べたやつ(扇と扇の間はファンデルワールス力で弱く引き合っている)が「グラファイト」である。かえってわかりずらいか。つまり、「ダイアモンド」も「グラファイト」も並び方が変わっただけでどちらも本質は「炭素」なのである。

このダイアモンドとグラファイトの人気の格差は炭素原子からしたら理不尽だと思う。例えば、AKBおよび周辺グループのファンが、センターが変わった途端にファンを辞めてしまうということである。同様に、中目黒に掃き捨てるほどいるエグザイルならびに周辺団体のファンが、ちょっとダンスフォーメーションが変わっただけでファンを辞めちゃうような理不尽さだ。これではLoveもDreamもHappinessもへったくれもない。

ダイヤモンドも所詮炭素ということは、木炭も、はたまた焼死体も炭素である。炭素を平等に愛せよ。愛せよ木炭。愛せよ焼死体。

そういえば、「大博打」のライブの後に高橋さんに連れて行ってもらった油そばの店の水のピッチャーの中には、レモンではなく「木炭」が入っていた。愛せる。

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