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第15週目 / ウクライナ日記を読んで / マジョリティが消える民主主義 / 真の文明国とは? /(20/09/12-09/20)

こんにちは。外の気温はだいぶ秋めいてきましたね。

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先日、「ウクライナ日記」という本を読み終えました。

ウクライナは地政学的に大国との戦争に巻き込まれやすいこともあり、国家が安定した期間は少なく、不幸な運命を辿っている国でもあります。

現在も西部の親欧米派と、東部のロシア派との国内分裂が起こっており、他国は政治の安定を望んではいるものの、チェルノブイリ原発事故の財政負担もあり、特に近隣国の欧州は素直に手を差し伸べることができないようです。

ロシアは第二次世界大戦で2700万人程の死者数を出した教訓をもつことから、対立するEU諸国との隣接することで国家衝突を防ぎたい思惑もあり、ウクライナな衛星国(緩衝国)として、国内の争いを代理戦争のように都合よく利用をしているとも前段で書かれていました。

ウクライナの人口は併合されたクリミアを除けば3400万人。人口は欧州をくくりとするなら、第5位のスペインの4700万人に続く、国土は欧州最大とフランスと肩を並べる大きさです。

僕は以前、ロシアを訪問したことがあるのですが、その時の素敵な風景の美味しい食事は一生忘れられません。

訪問前は、ロシアという国の薄暗さと冷え込んだ印象でそれほどワクワクしなかったのですが、行った後は、僕の好きな国の一つとなりました。

きっとウクライナも、商業的な華やかを持つ欧州と、社会主義の名残がまだ残るロシアの幾何学的な建造物が醸し出す、無機質でそれでいて美しさを感じる雰囲気が混じり合った、素敵な風景が広がっているのだろうなと、予想できます。

あとがきで訳者は、ウクライナに安定する日々を願っている書かれていて、僕も全く同じ気持ちになりました。その土地に住むひとりひとりは私達と同じように、仕事をして休日はプライベートを楽しむことを望んでいる人達だと思います。

世界中の限られた資源の中で自国の生活水準を上げていくことは、他国の影響により妨げられることがあり、それが国家間の戦争の一因になっています。

しかし世界を平等にすることは、一方では先進国の国民の生活水準を下げることにも繋がり、多くの市民にとっては納得いくことではない現実もあります。

経済や物質的な充実だけが裕福であるのなら、世界が限られて資源で循環している限り、今後も国家間の資源の奪い合いが終わることはないのかもしれません。

それでは、今週もよろしくお願いします。

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テニスプレイヤーの大坂なおみ選手がBML(Black Lives Matter)に関連する抗議を行い、日本国内でも話題になった。特にアメリカの黒人差別問題は、歴史的な強い背景がある。

400年前、アメリカはアフリカからの多くの黒人奴隷をモノのように売買していた。そこには「人間の命」は存在しなかった。その後の、奴隷制の是非により生じた南北戦争により、奴隷制は法的に廃止された。

しかし、政府はその後の黒人を生活を守る措置はをとらなかった。そのことで彼らは負債から生活を始め、資産家の下で肉体労働で返済するしかなかった。そして、人種的なコミュニティ、言い方を変えれば、黒人の貧困層へのコミュニティ化が更に強まった。

現在はアメリカ国内で黒人が要職につくことも増えているので、問題は改善しているように見えるが、ジョージ・フロイトさんの殺害問題から顕在化したような、人の心に残る表面化しにくい差別心から問題は起こり続けている。黒人差別は人間の心にはびこる大きな問題となっている。

アメリカでは黒人の警官からの殺害率、また犯罪率は高い。犯罪率の高さは経済的な問題が理由であり、警官の殺害率の高さは、犯罪率の高さによる偏見もあるのだろう。

歴史的な背景により生じる経済的な問題は徐々に完全しつつあるのかもしれない。しかし人間のレイシズム(人種差別)の病は、今もなお続いている。

では、白人はどうかというと、2040年には人口の過半数を割り、マイノリティ(少数派)となることが予想されている。

アメリカには白人労働者の問題もある。
一時期のアメリカの反映を支えた工業都市で働く彼らは、雇用を奪う原因として移民問題を抗議すれば(本質は移民問題だけだはないが)レイシストと呼ばれ、競争が激しいと主張すれば、それは自己責任とであると反論され、行き場のない状態となっている。

さらには、その集団がマイノリティ化することで政治的な影響力も弱体化し、政治的な支援も受けにくくなっている。

トランプ大統領は、こられの層を不満を代弁することで、支持基盤として取り込み、結果、常に40%の支持を得られていると言われている。

多くの人種や思想を持つ人々の社会への参画が進めば、マジョリティ(多数派)が存在が消えていく。そして、これからの民主社会はマジョリティによる意見を全てとすると歪みが起きやすくなる。

少数の集団で形成される社会では、僅差の多数派従う社会は不安定さを生む。少数の集団も社会を形成する一員であるということを、忘れてはいけないということだ。

2020年の「Social Progressive Index」を確認すると、日本は安全や水質は高いスコアだが、「Inclusion=社会一体性」、「高等教育へのアクセス」「個人の自由と選択」は下がる。

特にinclusionが低い。全体的には日本は恵まれている国のひとつだが、やOpportunity(機会)のスコアに問題があることがわかる。

とくに掘り下げて確認をすると、

・Child stunting(子どもの発育阻害)
・Media censorship(メディアの検閲)
・Greenhouse gas emissions(温室効果ガスの排出)
・Freedom of expression(表現の自由)
・Satisfied demand for contraception(避妊に対する満足のいく需要)
・Equality of political power by gender(ジェンダーによる政治力の平等)
・Acceptance of gays and lesbians(ゲイやレズビアンの受け入れ)
・Citable documents(引用可能なドキュメント)

と、男女差別、性差別、表現の制約が目立つ。

「男らしい行動」「女らしい行動」という言葉は広い世代で使われている。この言葉は男女平等が進む国々と対比では、普通の言葉ではないことを自覚する必要がある。

中国の作家、方方(Fang Fang)は

一つの国が文明国家であるかどうかの基準は……ただひとつしかない、それは弱者に接する態度である

と説いている。

強者の論理に流されず、少数派への社会参画と挑戦の機会を与え続ける。

多くが、多数派と少数派の双方に所属していると思う。
多数派の立場では、少数の声に耳を傾けて行動する。少数派の立場では、勇気を持って意見を主張する。これが社会、地域、組織の人々が真に平等に過ごすことで、生きがいを見つける機会となり、そして世界が楽しく暮らすことができる一歩かもしれない。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
それでは素敵な週末をお過ごしください。

来週もよろしくお願いします。

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