「差」でできた社会に苦しくなった現代が、これから目指すべき世界。
こんにちは!たむらゆうきです。
農業の世界だけでなく、この現代社会全体として常々に「差」をよく感じます。
ビジネスにおいてもいかに競合といかに「差」をつけるかがよく言われますし、為替の世界でも買った時と売った時の「差」で儲けていくというのが一般的な原理です。受験では他の受験生との「差」で合否が決まります。
現代農業においてもこの「差」というものはとても重要な概念で、いかに他の人が育てていない時期に作物を供給するか、他の産地と差別化を図って売上を上げていこうということがよく謳われます。
とにかくこの世界は「差」によって形成されているわけです。
ですがこの「差」が生まれるのと同時に、その裏で多くの悲しみや苦しみも
生まれています。
例えば農業の世界で値段が上がるときはどんな時かを考えてみると、「他の人や産地の出来が悪い時」に野菜の値段というのは上がっていきます。
他の人や産地との「差」が生まれる中で、良くできた少数の人が笑い、その裏にたくさんの悲しみや悔しさも同時に生まれているのです。
現代資本主義社会の縮図のようでどこかもどかしい気持ちを感じた方もいらっしゃるかと思いますが、これが現実であり、この「差」で形成された社会を僕たちは生き抜かなければなりません。
「差」に疲れつつある世界
ですが、ここ最近、特に令和に入ったあたりからは「差」に対する考え方が大きく変わりつつあるように感じます。
ビジネス書やビジネス系Youtuber界隈では「差別化」というワードげ激減していますし、農家の間でも「差」によって生まれる経営リスクや売上の乱高下に嫌気がさし個人で販路を開拓する人も増えてきています。
社会全体としても「この人とあの人の”差”はこうだよね」という認識から「この人がいて、あの人もいる。」というおおらかな認識に移り変わっています。
この社会の変化に対して僕は、
現代社会は「差」というものに疲れている証拠、と考えています。
ずっと「差をつけろ差をつけろ」と言われ続けて押し付けあってきて、その結果として自分だけが良ければいいとか、他の人の悲しみなんて関係ないとか、気がついたらそんな思考が心を覆いかぶさるわけです。
ですが、僕らの心というのはそんなに自己中なものでもなくて、本当の心の奥底では自分だけでなく周りの人や社会全体が笑顔でよりよい社会になってほしいと思っているはずです。
「けれどそんなキレイゴトを言っていたら他の人と「差」をつけられて置いていかれるんじゃないか」というある種の思い込みが心を覆いかぶさり、本心と建前のギャップで精神を壊していく人が多く散見されます。
ではなぜこんなにも「差」というものが人々を苦しめるのか。
それは僕らのDNAレベルの感覚の中に「差」という概念は存在しないからです。
「差」ではなく「和」で生きる
基本的に「差」というものは海外からつい最近入ってきた考え方になります。
例えば同じように足でボールを扱うサッカーと蹴鞠を考えてみると、
サッカーはいかに相手の裏をかき、騙し、惑わせ、ゴール数の「差」によって勝敗が決まります。
対して蹴鞠は、相手がいかに受けやすいボールを蹴るか、敵も味方もなくただ純粋にみんなでボールを繋いでいくことを楽しむものです。(蹴鞠でフェイントをかけたらそもそも遊びとしてなりたたくなります。笑)
他にも、和食には混ぜる感覚がありません、「和える」のです。
非常事態の時には、誰かが自分だけが助かろうとするのではなく、全員が「和」になって助けあいます。
このように海外の、特にヨーロッパ圏は「差」で社会を形成し続けてきた文化がある中で、日本ではずっと「差」を中心とした社会ではなく「和」をもってして社会が作られてきたのです。
どれだけヨーロッパの文化が入ってきても、やっぱり僕らの根本にあるのは日本人としての思想や価値観です。
何千年かけて培われてきた「和」のDNAというのは否定するのではなく、上手に活用することで僕らはさらに飛躍できるのではないかと思うのです。
あの人と自分にはこれだけ「差」があって、、、
うちの産地はダメでけどあの産地は豊作で、、、
あのライバル会社とうちの商品はこれだけ「差」があって、、、
という「差」に注目するのではなく、
あの人はあの人らしさがあって、自分に自分らしさがあって、それを上手に和えていく。
産地どうしで技術や知識の共有を図り、農家全体として盛り上がっていく。
ライバル会社はライバルではなく、一緒に業界を盛り上げていく同志だと捉える。
ちょっと発想を転換するだけで、今まで「差」だと思い「差」をつけなきゃと思っていたことが、「和」に昇華するのです。
「和」というDNAのプログラムを利用していくことで、僕らはもっともっと飛躍できると思っています。
まずは日常の景色の中で無意識に「差」だと思っていることに気づき、それを「和」に昇華させてみてください。
「差」が「和」になる瞬間、マイナスがプラスになるその瞬間、すべての物ごとが輝き始めます。
まだまだ続く、令「和」の時代が楽しみですね。