急成長に拍車、shopifyが仕掛ける次なる戦略
急成長しているshopifyが次々に新しい発表をしています。
Shopify.incはカナダのオタワに本社がある時価総額 1012.3億ドルのテクノロジー企業です。(2020年6月18日現在)
2004年9月にTobias Lütke(トバイアス・トビ・ルーク)氏らが創業しました。
2015年5月にニューヨーク証券取引所に上場し、中小企業に向けたクラウドベースのeコマースプラットフォームサービス「shopify」を提供しています。
shopifyは誰もが簡単にインターネット上にお店を出せるサービスです。
shopifyの主な収益源は2つあります。
1つ目がショップ(マーチャント)がshopifyを使うために支払う定期課金。
2つ目がshopifyのショップで売り上がったときの決済手数料です。
定期課金はショップ数が増えるほど増加し、決済手数料は各ショップでの販売額が増えれば増加するということです。
ショップ数と販売額
ショップ(マーチャント)の数
まずはショップ数。2019年第4四半期では100万店舗に到達しています。前年同期の82万店から22%増加しています。ショップが増えた分shopifyの定期課金の収益は増加しています。
すべてのショップの売上高
すべてのショップの売上高は2020年第1四半期は174.0億ドルで前年同期から46%もの増加でした。2018年の411.0億ドルから2019年の611.0億ドルへと49%増加しました。
Shopify Paymentsでの支払額
shopifyでは様々な決済システムが使えます。
(Shopifyで利用できるオススメ決済サービス ベスト10)
shopifyで使える決済システムの内、shopifyの独自決済システム「Shopify Payments」での支払額は2020年第1四半期は73.0億ドルで、前年同期の49.0億ドルから49%増加しました。2018年の165.5億ドルから2019年は56%増の258.0億ドルになりました。
これらShopify Paymentsをはじめとした決済サービスの決済手数料が2つ目の収益源として成長を支えています。
(図データはShopify Quarterly Resultsより)
ストアオーナーに寄り添う機能として便利な痒いところに手がとどく機能を安価にSaaSとして展開してこのように急成長してきたshopifyが、その成長を加速度的に上げる取り組みを今年だけでもいくつも発表しています。
ストアオーナーを現金で直接支援!Shopify Capitalとは?
Shopify CapitalとはShopifyのストアオーナーに対して、ストアの今後の売上をshopifyが事前に買い上げる形で運転資金をストアオーナーに現金で貸し出してくれるキャッシングサービスです。ストアオーナーは今後のストアの売上から固定の%でshopifyに返済していくシステムです。
もちろんshopifyの貸出額よりshopifyへの返済額の方が多いことは確かですが、銀行ローンの利回りビジネスによる貸付やVC(ベンチャーキャピタル)がベンチャー企業を御するのとは根本的に性質が違います。
shopify Capitalの場合だと売上が上がれば上がるほど繰上げ返済でき、売上が下がってもペナルティはなく、例え営業不振になっても返済が理由で存続危機になることもありません。
Shopify Capitalのすごすぎるところ
・ローンではない
・返済期間がない
・毎月の返済額の固定のノルマがない
・利子がない
・早ければ即日承認される
ローンのように利子はなく返済期日もありません。毎月の固定返済額もありません。売上が上がれば返済され、売上がなければ返済はなく、しっかりと売上が立つよう改善していこうということです。
最低200ドルから最高50万ドルまでのキャッシングが可能です。
今まではアメリカとイギリスでの利用が可能でしたが、先月5月のshopify reuniteでコロナで影響を受けているカナダのショップオーナーに対してもShopify Capitalのサービス提供を開始すると発表されました。
残念ながら日本はまだ対象外ですが、今後サービス対象となるエリアを拡大していくということです。
最初のカナダのShopify Capitalの申請はたった34分で承認されたようです。
将来の売上によって返済されるキャッシングであるShopify Capitalならスモールスタートしたショップオーナーが融資を受け在庫調達して、在庫リスクを抱えながら返済に追われるパターンにはまらずにすみます。
現状、日本ではまだShopify Capitalは使えないためスモールスタートの場合の資金調達はクラウドファンディングが良いのでしょうが、Shopify Capitalが解禁されたらかなりの心強いサービスになることは間違いありません。
銀行融資を借りるときはいわゆる属性や信用力や資本などを担保に評価されます。Shopify Capitalの担保は今までのshopifyでの活動状況です。
Shopify Capitalを申請可能になる基準や承認される基準は公開されていませんが、Shopifyストアでの活動状況を信頼の担保として審査に通るとShopify Capitalの利用が可能になります。
Shopify Capitalを利用するにはShopifyよりメールが届き、管理画面内で通知が表示されるようになります。
つまり日本でShopify Capitalが解禁になったときにShopify Capitalを利用できるようにする最短の方法は、解禁前の今のうちからshopifyのストアで実績を積んでおくことです!
Shopify Capitalの今後の日本での展開される可能性を考慮すると、新規にオンライン販売を検討している人にとっても数あるECプラットフォームからShopifyを選択する価値はあります。
まとめるとShopify Capitalはストアオーナーにとってはありがたい新しい資金調達手段であり、shopifyにとってはストアオーナーのストアを大きくすることでshopifyは貸し出し差額も回収でき、売上手数料も増え、新規囲い込みもできる一石二鳥にも三鳥にもなる戦略です。
販売チャネルの更なる拡大、唯一の統一王を目指す。
shopifyの最たる利点の1つとしてストアオーナーはshopifyが提携した販売チャネルでの売上、在庫管理を全てshopifyの管理画面を通して一元的に統一して管理することができます。
データの取得先が一つに纏まっているというは管理をする側からすると本当にありがたいです。
shopifyが提携先を増やせば増やすほどストアオーナーにとってはリーチできる見込み客の絶対数が増加することを意味します。
shopifyは販売チャネルとして有力なサービスと次々に手を組んでインターネット上で出店できるエリアを全網羅的に拡大しています。
2020年になってからも次々に大型の提携を発表しています。例えば4月には楽天と提携し、今月6月には世界最大コマースのウォルマートとの提携が発表されました。
(画像はWALMARTより)
ウォルマートとの提携によりストアオーナーは1億2000万人もの月間ビジターがいるウォルマートのオンラインストアでもshopifyを経由して自社商品を販売できるようになりました。
GoogleショッピングやFacebookがアメリカでスタートしたfacebookShopsとの今年の後半での連携も発表されています。
ストアオーナーがリーチできる層はそれら提携を活用することでまさに全世界のインターネットユーザーすべてに届く勢いです。
サブスクリプション機能を標準搭載
現在shopifyでサブスクリプション型の商品を販売する場合はサブスクリプション機能を提供するアプリケーションを追加して販売する必要がありました。アプリの紹介はこちらの記事をご覧ください。
先日のShopify Reuniteの発表で今年の後半からはサブスクリプション機能を標準機能として実装することが明らかになりました。
多くのビジネスオーナーがサブスクリプション型への販売戦略の変更を検討している今、標準機能としての実装はビジネスオーナーに刺さります。
ここでご紹介した戦略は発表されたうちの一部でしかありませんが、これほどまでにストアオーナーに寄り添ったスタンスを貫いているshopify。
今年新たに発表している戦略だけ見てもshopifyがまだまだ躍進することは明白です。
特に今年の後半からはアメリカやカナダなどの北米圏だけでスタートしていたサービスが日本でも展開される可能性が高いです。日本にいる僕たちからすると今のうちにshopify上のストアを進展させておくこと、それがshopifyの成長の波を上手に取り込む鍵になります。
YOSHIKI
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