境界
あらゆる闇を照らすひかりに
境界が歪んでいく
此の岸に在り彼の岸を眺めては
あなたの輪郭が際立って
また初秋の影が〈わたし〉を縫いつける
留まれよ足下のアスファルト
或いは桂花の香がそろり忍び寄って
もう終わったんだよ呟く
どしゃ降りのよな混沌に在って
呪文のよに選択を迫る
笑うのか泣き叫ぶのか頭ではなく
胸のうち おまえ自身に問えと
鳴る風が波の音が蝉の最期のひと鳴きが
とっぷりと身体を満たすまで
どちらともつかないモラトリアム
その狭間に息づいている
そしてわたしは西を向いて
かたちを変えながら流れゆく雲に
まだ見ぬ異国の街夢想してまた
自分の影足下を見つめている
心の在処つかみきれずにただ
動けなくなるあなたの立つ場所
まばゆく白い世界ゆがむ境界
そのなかでいつまでも足掻いている
tamito
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