税金で外交抑止力こそ強化してほしい

「戦争をいかに避けるか」など考えるだけでも重苦しくなる話題ですし、堅苦しく感じたり、あるいは、名前に立憲がついているからイヤと言う人もいるかもしれないし、ロシアによるウクライナへの侵略を目のあたりにし、日本の防衛はどうするんだ!!>>>軍事力だ!! 核抑止だ、と考えてしまいがち。

一方で

「防衛費をともかく上げれば大丈夫なのか? 核抑止力の拡大解釈のように、敵基地攻撃能力=戦争抑止力と考えても、実際はチキンレースであり、どちらかがクラッシュするまで続けるのか?」

あるいは、「台湾有事とは、結局のところアメリカと中国という大国間の勢力争いに、気がつけば巻き込まれていただけじゃないのか?」 

などなど、ふと感じることがある人には選択肢を考える上でもオススメします。元防衛官僚の柳沢協二氏が、自分の経験に基づき、とても上品かつソフトに淡々と語られているので、大げさな言葉は聞き飽きた方でも耳を傾けやすいと思います。 

==============

個人的に特に同感と思えたのは、「戦争を避けるための外交」

日本ほど、敗戦後にアメリカや西欧の民主主義に感化された東アジアの国はないはずです。一方で、日本ほど、中国、韓国、アジア圏との交流を歴史的に重ねてきた国も、東アジアにないはずです。少なくとも戦後日本は、その大多数が黄色人種であるのにバナナと揶揄されるほどの「文化的多様性」があったはずです。

「日米の同盟を強化し、同時に日本の軍事力も強化することで、不信感をつのらせる相手に圧力をかけながらの外交」

ではなく、

日本だからこそできる「バランサー的外交」、米国と中国の、あるいはロシアの間に入って、「何なら日本でおもてなししますから互いにじっくり話してください。 戦争以外のやり方がきっとあるはずです。 答えを探すのに日本もお手伝いさせて下さい」と取り持つ外交ができたし、今からでも遅くはないはずです。

「おもてなしの国」とは、互いに争う国を思いとどまらせるべく取り持とうとする国なら、それは確かに、「強い国」ではないが「美しい国」だと私も思います。それで日本国民の象徴であるという天皇、そしてその制度が本当に生きるなら歓迎です。

この小さな国土で、多くの人口がひしめきあって暮らしている、資源も決して多くない日本が、アメリカや中国の真似などできるわけがない。結局はアメリカの東アジアの軍事基地にしかなれず、結果的にアメリカと中国の争いを加速させてしまい、本来必要なかった戦争に巻き込まれてしまうのは、絶対に避けるべきでしょう。

日本外交の目的は、世界に「アメリカ的民主主義」を軍事力を使ってでも広めることですか? 各国の、各時代における政治体制の違いはどうであれ「多国間が戦争を避けるよう貢献する」ことではありませんか?
そしてそれこそ、日本の現実的国益ではないかと、私は思います。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?