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マルクス・ガブリエル『世界史の針が巻き戻るとき』を読んだ

前から興味があった哲学者、マルクス・ガブリエル『世界史の針が巻き戻るとき』を読みました。いまの社会とつながる感じで書かれているので読みやすかったです(が、「わかった」かと言われれば自信はありませんw)。

まずは、マルクス・ガブリエルが提唱する「新しい実在論」(New Realism)は、「現実は一つではなく、数多く存在する」「私たちは現実をそのまま知ることができる」の2つのテーゼが組み合わさっていると書かれています(p.42-45)。この「現実は一つではない」という見方が、僕は好きなのでした。そこに、デジタル革命との関連も書かれています。

「新しい実在論」はデジタル革命の結果として出てきた知見です。この40年から50年の間、世界は完全にデジタル化され、デジタル化というプロセス全体が、現実をすっかり変えてしまいました。量子力学と相対性理論が我々の宇宙に対する見識を変えたのと同じように。
存在するもの・しないものに対する我々の認識は、デジタル化によってすっかり変わりました。人間は自分たちの住む現実に対応するべく、絶えず新たな精神的現実を作り出してきたからです。そして「新しい実在論」こそ、それに応える最初の哲学になります。(p.45-46)

デジタル化によって、実在論も影響を受ける。人の生き方も変わってくるのだから当然か…と思いながらよみました。

「新しい実在論」によって、リアルとバーチャルの境界線が再び明確になるのです。境界線がぼけていることは現代のイデオロギーです。事実とフェイクの境界線、フィクションと事実の境界線などがぼけているという考えは、ポストモダンの哲学的思考の結果生まれたものです。(p.46)

また、デジタル革命によって民主主義は大きな影響を受けている、ということも書かれています。こちらも非常に興味深い。

民主主義における最大の危機とは何かと言えば、民主主義に対する人々の理解が間違っていることです。現在、人々は「民主主義は、自分が信じているものを何でも自由に言える権利で成り立っている」と思っています。民主主義を、特定の表現の自由と混同しています。しかし、どんなバカげたことでも好きに表現できることを民主主義と同一視してはなりません。(p.102

ということで、マルクス・ガブリエルの本、いくつか読んでみたいと思っています。ちなみに、『全体主義の克服』を続けて読んでみたのですが、こちらはちょっと僕には難しかった…。もっとじっくり読まないとだめだ、と思いました。再チャレンジする予定です。


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