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VRの研究開発プロジェクト「TAMTO METAVERSE LAB」を立ち上げました。

いつもnoteを読んでくださってありがとうございます。
TAM Design Techチームのリーダーの角谷(@hitoshisum)です。

今年4月にOculus Quest2を買って衝撃を受けて、VRを仕事にしていきたいと思って、この半年間、本当にVRを事業化できるかいろいろ調べてきました。

たくさんのことを試す中で、ますますVRに魅力を感じ、チーム内で事業化できそうな感覚もつかめてきたので、VRサービスメニューをつくるための研究開発プロジェクトを立ち上げることにしました。

この記事では、その布石と今後の展開についてご紹介したいと思っています。

この取り組みに共感したり、興味を持ってくれる人がいたら、ぜひお話したいと思って記事にしていこうと思っています。

◆4月からの半年間、取り組んできたこと

VRはおもしろい・・・2021年4月

今年の4月、僕はちょうど1つのウェブサイトを作るプロジェクトを終えるところでした。そのウェブサイトは、「ロールプレイング」「疑似体験」といったキーワードを大事にしてチームのみんなで作ったものです。PCやスマホ端末上で、ウェブサイトや動画を通じて体験できることを真剣に考えて作りました。

そんな時、たまたま、なんとなく新しいデバイスがほしくて、以前からVRに興味があったことを思い出し、Oculus Quest 2を買いました。(数年前の感覚で「10万円くらいはするんだろうな」と思っていたので4万円弱なのは魅力的でした。)

そして衝撃を受けました。

「こ、、これが疑似体験をするということか・・・!」

たとえば、Oculusのチュートリアルアプリ。これがかなり出来がよくて、VR上で手を使ってものを掴んだり、投げたりすることができるのですが、「仮想空間で自分の体がうごいている!」という体験したことのない感覚に衝撃を受けます。それだけでなく、美しい世界、まるで360度を魔法で包まれたような世界を体で感じることできます。

「VRはここまで進んでいたのか!」と、遅まきながらその体験のすばらしさに感動しました。


VRはいま、まるでインターネット黎明期のようなテイをなしています。
情報感度の高い人たちがアンダーグラウンドで活動していて、急速にコンテンツが増えてきています。まだまだ一般化しているというにはコンテンツは少ないですが、例えばYouTube VR上にはすでに何百万回と再生されているVR動画も存在しています。

まるで地底でぐつぐつと煮えたぎるマグマのように今にも爆発しそうなVRの様相は、僕をさらにひきつけることになりました。

これから5、10年かけてやっていけそうだ!・・・2021年6月

それからというもの、仕事のかたわら、「VRおもしろいよ」といろんなところで話をしたりVRの情報を見始めるようになりました。

すると、すでに親和性の高い業界では取り組みが進んでいることを知りました。

某ミュージアムの社長さんがOculusを買って社内でやたらと話題にしているという話を聞いたり、バンダイナムコがスタジオを作ったニュースを見たり、国土交通省のデジタルツインの取り組みや、KADOKAWAが3DCGの制作会社を作ったというニュースを見たりするうち、思っている以上に進んでいる現実に、まるで自分が置いていかれるような感覚になりました。そして

「VRは確実にくる!」

今後、数年かけて新しく研究開発するお題がきまったように思いました。それが6月頃の話です。

VRは「作れる」・・・2021年7月~10月

VRを事業化するとして、そもそもVRのコンテンツって作れるのだろうか。作るのは難しいのだろうか。僕が次に取り組んだのは実際に自分個人で作ってみることでした。結論から言うと、エンジニアではない僕でもできるので、ちゃんと体制組めば仕事にできるなという感じです。

試しに作ったもの:Oculus Quest用のアプリ開発
とりあえず、あのOculusのチュートリアルみたいなものを作ってみたいということで、ものを掴んだり、投げたりできるアプリを作ってみました。

Unityをうまれて初めて触りましたが、50時間くらいでできました。
YouTubeの解説動画や、いろんなネット上の記事を参考にしながら作っていきました。
(我ながら50時間でここまでできたのはすごいなと自画自賛していますが)

実はUnityには「Unity Asset Store」なる、ウェブサイトを作るときの「Adobe Stock」のような素材サイトがあります。このアプリで使っている3Dモデルは、そこで売ってたものを買って、ポーンと配置しただけです。僕が作ったのは、つかめる仕組みだったり、銃を打てる仕組みだったり・・・ほとんどコードは書かずに、Unityで設定してくことで作ることができました。

実装の概要はこちらをよければみてみてください。

VR動画撮影
次に取り組んだのはVR動画制作です。
FELIX & PAUL STUDIOSが制作した「SPACE EXPLORERS」というVRドキュメンタリーがOculusのアプリストアで販売されているのですが、VRのドキュメンタリー撮影もできないかなと思って取り組んでみました。ドキュメンタリーまでは時間がかかってしまうので、1分半程度のVRのVLOGを作りました。

※撮影した動画をお見せしたかったのですが、家族で東京ドームシティの「ASOBono!」に行ったときのVLOGで、公開承諾を得ているものではないのでお見せできません。すみません。

Oculusなどのヘッドマウントディスプレイ(HMD)でみると、まるでそこにいるかのような3D映像で見ることができます。

VRの動画撮影には専用の機材が必要で、今回は5万円くらいのInsta360evoというカメラで撮影しました。4Kですが、VRだと結構粗いです。編集はAdobe Premiereでできました。
VRのVLOG自体は勉強込みで6時間くらいでできました。

実際に仕事で撮影する場合は、Insta360Pro 2という8K撮影できるカメラがあるので、それを使うことになりそうです。

VRでのイベント開催
僕自身はイベントはPWA Nightという一応フォロワーが2500人くらいの勉強会を主宰していて、仮想空間上でのイベント開催にはとても興味を持っています。ちなみにPWA Night CONFERENCE 2021の打ち上げはCyzySpaceという仮想空間でやってみました。

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VR上のイベントといえばたくさんありますが、例えばディズニーがClusterを使ってハロウィンイベントを実施していたり、(Clusterの制作もUnityでできます)

NTTがDoorというテンプレからイベントスペース作れるサービスを無料で提供していたり、

国内最大級のVRの展示会イベント「Vket」はVRChat上で毎年開催されています。VRChat上では展示会だけでなく様々なイベントが毎日のように開催されています。


「VRChat」でのワールド制作
メタバースやVRChatの話をすると5時間くらい話を続けられそうなので、ここでは詳細は説明しませんが、いま世界でもっとも利用されているメタバースの1つがVRChatです。数百万ユーザー、同時接続数は4万といった規模感で、ユーザーはアバターを通じて、体を動かしてゲームを楽しんだり、コミュニケーションをする仮想空間です。今は、そこのワールドを作って楽しんでいます。これもUnityです。

こちらは釣りのできるワールドです。水面のキレイな静かな夜の湖畔で、ルアーをなげて、リールを巻いて魚を釣ることができます。この動画はワールドをドローンを飛ばして撮影しています。公開して1週間程度で1000人のユーザーに遊んでもらいました。昼版のワールドと夜版のワールドがありますが、両方たして50時間くらいかと思います。これもBoothで販売されているアセットを利用しているので、3Dモデリングはまったくしてません。

その他
TAMTO METAVERSE LABのメンバーである坪ちゃんが個人で3Dモデリングに取り組み始めていますが、坪ちゃんが作成したモデルをVRChat上で動かしたりもしてみました。
ちなみに坪ちゃんはアバター制作にも取り組んでいます。

ここまでの取り組みを通じて、Unityの汎用性の高さや、参入のハードルがそこまで高くないことを感じることができました。(それ以上に、やりたい気持ちを高めるほうがハードル高いかも。HMDを買うところから・・・)

VRは人とつながって初めて、続けられる

Unityでアプリは作れそうだなということはわかりました。

では、VRを事業にするとして、何をするのがいいのだろう。
VRであついのってどこでしょうか。

僕は、VRは飽きる人は多いと思っています。
飽きる理由は、一人でやってるからです。
僕もボクシングゲームとかFPSをやって、一瞬で飽きました。

ところが、試しに話題のVRChatをやってみてわかりました。

VR上で誰かと友達になると、「また会おうね」と次につながります。
自分がなりたかった自分、もう一人の自分であるアバターに、友達ができます。

もう一人の自分が、一つの人格をもって誰かと関係し、もう一つの人生が仮想空間上で始まります。ゲームや、イベントへの参加など、現実世界でも行われているような社会活動を通じて、出会いや別れがあります。

僕はそれこそがメタバースだと思ってます。

性別、年齢、身体的の問題・・・様々な理由があって、現実が理想の自分ではない人にとって、なりたい自分になれる世界はとても魅力的だと思います。(それは多かれ少なかれ、だれにでもある問題なのではないでしょうか?そう考えると、誰しもがアバターを持つ時代になるかもしれませんね)

VRは、人とつながること、そして社会的な活動が生まれること、そこではじまるもう一つの人生、に本質がある気がします。
企業がそこで提供できるのは、現実社会と同じ役割ではないでしょうか。

チームの目指す方向性とVRの位置づけ

僕たちはTAMの中で、デザインテクノロジーチームと呼ばれています。
その役割は、「テクノロジーをベースにしたクリエイティブで新しい体験を作る」。それを通じて、お客様のビジネスに貢献することだと考えています。

いまはWebアプリケーションを作ることが世の中から求められています。その中でもPWAやSPA、Jamstack、CMS・・・といったフロントエンド分野に強みをもって、サービスを展開しています。いまは多くの企業がデジタル活用を進めているので、これからますますWebアプリケーション開発の分野のニーズも高まると思っています。

チームとしては、この数年はそこに注力していこうと思っています。
今期もたくさんの人を採用して、成長を志向していきます。

一方でVRは、これから数年かけて成長していく市場だと考えています。
いますぐのビジネス化を目指すというよりは、現時点からノウハウを付け始めていきたいという気持ちです。今期、研究開発を通じて数件程度の案件を受注して、徐々にサービス化に向けて取り組んでいければと考えています。来期にはさらに実績やノウハウを元に展開を広げていき、5年後には5~10名ほどのチームが作れるといいなと考えています。※これは現時点の構想なので変わる可能性もおおいにあります。

「TAMTO METAVERSE LAB(めたらぼ)」と今後noteで書いていくこと

ようやくタイトルにあった「TAMTO METAVERSE LAB」の話までくることができました。ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。

めたらぼは、僕のチーム(社名がTAMTOといいます)のVRを研究開発するプロジェクトです。事業化へのイメージができてきたところで、より取り組みを加速させるために、情報感度の高い20代のメンバーで構成しました。

Metaverseとは、ITmediaNewsさんから引用させていただくと、このようなことです。

メタバース(metaverse)とは、英語の「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語。もともとはSF作家ニール・スティーヴンスンが1992年に発表した作品『スノウ・クラッシュ』に登場する、架空の仮想空間サービスに付けられた名前だった。その後、テクノロジーの進化によってさまざまな仮想空間サービスが登場すると、それらの総称としても使われるようになった。

めたらぼではサービス化を目指して、研究開発をしていきます。noteではその姿を情報発信していこうと思っています。その中で、何か引っかかることがあった人と話をしていきたいと思っています。

めたらぼ連載予定
- XR(VR/AR)、メタバースに関する考察
- メンバーが触ってみて、いいなと思ったものを紹介
- 実際に作ったものを紹介(作り方など)
- 周辺機器や、機材等の紹介・触ってみた記録
- インタビュー等

メンバー紹介
今後このメンバーでnoteを書いていこうと思いますので、よろしくお願いします!

- 坪ちゃん
昔から絵を描くことが好きで、漫画用に3D素材を作りたいと思いBlenderにチャレンジし始めました。最近はVRCのアバターを作ってみたくなり、日々模索しながら格闘中です。
めたらぼではアバターを作り上げることを私自身の目標に据えて、様々な事柄を発信していければなと考えています。よろしくお願いします!

- 佐川君
オンラインゲーム「メイプルストーリー」を通し、インターネットで初めて人と仲良くなることができました。定期イベントに参加してギルドの仲間とモンスター倒して……子供の頃の忘れられない思い出です。もっとたくさん話をしたいと気がつけばタッチタイピングを覚えていました。
今VRやメタバースが出現したことにより、あらゆる人がより深くつながることのできる素敵な時代がきたと感じています。めたらぼでは、そんな世界を楽しみつつ皆さんにその魅力をお伝えできれば嬉しいです。
遅ればせながら、佐川史弥と申します!これからよろしくお願いします!

- リュウ
ディレクター、新しいこと好きの中村と申します。最近はディレクター職では満たしづらい創作意欲をVRお絵かきソフト「TiltBrush」で満たしております。めたらぼでは、自分の体験を通じて感じたVRの可能性や魅力についてお伝えできればと思っております。よろしくお願いいたします。

- 角谷
TAMデザインテクノロジーチーム(=TAMTO)代表です。近年は大規模プロジェクトのPMO、プロデュースしながら、20人のチームをリードしています。PWAの勉強会コミュニティ「PWA Night」を主宰しつつ、土日と平日の夜は大体VRChatにいるか、Unityと格闘しています。インターネット黎明期のような混沌としたメタバース界隈に興奮を覚えています。VRに興味がある人、ぜひお話したいです。